ホワイトバンドキャンペーンを考える

今日はホワイトバンドの日である。

ほっとけない世界のまずしさ
http://hottokenai.jp/
9/10ホワイトバンドデー
http://www.hottokenai.jp/event/910.html
http://hottokenai.jp/action/archives/2005/08/910.html

そこで、今回は「ほっとけないホワイトバンドの誤解」というテーマ。
ホワイトバンドキャンペーンについて考えてみたいと思います。


さて先日、こんな「はてな」がありました。

question:1125584148
ホワイトバンドについての質問です。http://www.hottokenai.jp/正直、私はこういった寄付を募る団体はあまり信用していないので寄付をしたことがありませんが、ここは有名人もポスターなんかにでているので、ある程度まともなところなのかなと思って、まあ300円ぐらいなら買おうかと考えていました。ところが、今日のことなんですが、友人にこの団体もちょっと怪しいらしいと聞きました。はじめに断っておきますが、決して誹謗中傷するつもりで書いているのではありません。実際のところどうなのでしょうか?ご存じの方おりましたら、教えて下さい。

おそらくこの方に限らず、キャンペーンを募金だと思っている人は少なくないだろうが、
上記質問の回答にもあるように、それは間違いである。

ホワイトバンドの300円は募金ではないのですか?
ホワイトバンドの300円は、いわゆる募金運動ではありません。 「ほっとけない 世界のまずしさ」キャンペーンは、善意によってなされる寄付や募金の意義や価値を十分認めつつ、それだけでは世界の貧困はなくならないという認識から出発しています。世界の貧困には、それを生み出す世界の構造の問題があり、それを 変えることなくしては、いくら善意の寄付を積み上げても、貧困 を生み出す速度には追いつけないのです。それゆえに、「ほっと けない」と連動している世界各国のキャンペーンでは、「チャリティーではなくジャスティス(正義)を」、「あなたのお金でなく声をください」というスローガンを掲げています。貧困の詳しい構造については、こちら(特に「このキャンペーンはチャリティですか?以降)をご覧ください。
http://hottokenai.jp/faq/white.html

このキャンペーンはチャリティですか?
「お金ではなく、あなたの声をください。その声をあらわすホワイトバンドを身につけてください。」
これが、世界で展開するホワイトバンドプロジェクトの共通のテーマです。
このキャンペーンのゴール(目的)は、寄付を募ることでなく、啓発活動だけでもなく、啓発活動の結果として「貧困をなくす政策をみんなで選択する」ことです。
募金ももちろんとても大切です。でも世界の「とてつもない貧困」は、もはや募金だけではもうどうにもならないところまできています。根本的なことを解決しない限り、地球上の貧困は決してなくなりません。根本的なこと、それが、政策の転換です。
「貧困をなくす政策」の具体的な細かい議論は進行中ですが、「政策を貧困をなくす方向へ転換していくこと」がこのキャンペーンの目的であることに、変わりはありません。
一人でも多くの人に世界の「とてつもない貧困」の状態を知ってもらい、なんとかしようと声をあげてもらいたい。その声のシンボルがホワイトバンドであり、みんなの声を集めて、より貧困をなくす方向へ政策を進めよう、という意志の象徴です。
http://www.hottokenai.jp/faq/

ホワイトバンドが募金ではないことについて
 雑誌さんからの Q&Aを転載
http://hottokenai.jp/faq/white2.html

とある。
「ほっとけない世界のまずしさ」=「募金」と思ってしまうかもしれないが、そうではない。
もちろん安易に誤解してしまった方も悪いが、キャンペーンの趣旨からすれば、そうでいいわけがない。
キャンペーンの趣旨を理解してホワイトバンドを着用しなければ意味がないのではないか。
一方、ホワイトバンドの300円、募金ではないとすると、どうなるのか?

ホワイトバンドの売り上げはなにに使われるのですか?
 こちらの円グラフ(http://www.hottokenai.jp/white/300yen.pdf)をご覧ください。 ホワイトバンドの売上の3割は、世界の貧困をなくすための活動 費に使われます。この、「世界の貧困をなくすための活動」は、 現地での支援活動ではなく、途上国から先進国に富が流れてしまう ような構造や、貧困からの脱却のために努力する人々やNGOの活動 を台無しにしてしまうような政治や経済の仕組みを変えるための 活動です。そのためには、ホワイトバンドをつけた人の声を集め、 政治や政策をつくる人達への影響力をもっていくことが必要です。
ただし、ホワイトバンドNGOから購入した場合は、NGOの活動支援になります。詳しくはこちら。

ホワイトバンドプロジェクトは、「ほっとけない」キャンペーンに賛同するNGO
の活動支援の一環として、各団体ホワイトバンド5000個まで、ほぼ原価+制作費に近い価格(100円)で卸しています。詳細は、各団体のホームページをご参照ください。
http://hottokenai.jp/ngonews/archives/001_campaign_news/000590.html#more

*円グラフを見ましたが、なぜ7割も経費に使われてしまうのですか?
NGOによるチャリティー・ショップが充実している国や、オンライ ン・ショッピングへの抵抗が少ない国と違い、日本でこういったも のを全国へ広く流通させようとするならば、通常の流通ルートに乗せて、お店においてもらう必要があります。そのため、ホワイトバ ンドを売っているほかの国に比べ、経費は割高になっているかもしれませんが、それもホワイトバンド運動を日本全国に広めるためと ご理解いただきたいと思います。
*収支報告はされるのですか?
実際の売り上げの会計情報は、ホームページ上で公開し高い透明性を確保していきます。ホワイトバンドの販売が開始されたのは7月 頭ですので、売上の代金がホワイトバンド・プロジェクトに届きは じめるのは9月以降です。キャンペーンの終了予定である2005年 12月末時点での会計報告を、2006年3月までに公開する予定です。 また、経過報告も予定しています
http://www.hottokenai.jp/faq/white.html

円グラフを記載したPDFを紹介すると、消費税5%を含まない286円の内訳目安として、
30%がホワイトバンドの原価及び製作経費、40%が流通費、30%が貧困の解消に向けた取り組みに関する啓発費用である。
原価製作経費、流通費の妥当性を検証するだけの力をもちあわせていないので、
ここでは30%の貧困の解消に向けた取り組みに関する啓発費用について考えてみたい。
まず、サイトを見る限り「ほっとけない 世界のまずしさ」キャンペーンは、
「貧困をなくそう」という声を表すホワイトバンドを身につけるということだそうだ。
しかしながら、そのことが十分に広まっていない。このことは致命的な欠陥ではないだろうか。
しかも、「お金ではなく、」としているにもかかわらず「募金」と思っている人が多いようである。
(しかもそれを認識しているようである。
 →参照:朝日放送「ムーブ」サイト、http://asahi.co.jp/move/calendar/20050909.html参照)
これではホワイトバンドを売って着用させるための情宣活動であって、
とてもではないが、30%の費用を「声を伝える」という本来の目的を達するために使っているとは思えない。
活動手法としては極めて不適切であると言わざるを得ない。


では、この活動主体はどこなのか?

「ほっとけない 世界のまずしさ」は、貧困の克服を訴えるグローバルな市民キャンペーン(G-CAP :ジー・キャップ:Global Call to Action Against Povertyの略 :www.whiteband.org参照)の日本キャンペーンで、各国のキャンペーンと連携を取りながら活動しています。
このキャンペーンは、実行委員会を中心に、賛同団体NPO/NGOホワイトバンド・プロジェクト、協力企業などとの連携で成り立っています。


*「ほっとけない世界のまずしさ」キャンペーンは誰がどのように運営しているのですか?
このキャンペーンは、実行委員会(委員は以下参照)とホワイトバンド・プロジェクト(株式会社サニーサイドアップ主催)の事業パートナーシップで運営されています。
(組織図 略)

実行委員
(2005年7月15日現在)
稲場雅紀 (アフリカ日本協議会)
岩附由香 (児童労働を考えるNGO - ACE)
内山 隆 (CHANCE ! Pono2)
黒田かをり(CSOネットワーク)
高橋清貴 (日本国際ボランティア・センター)
田中徹二 (オルタモンド)
林 達雄 (アフリカ日本協議会)
マエキタミヤコ(サステナ)
山田太雲 (オックスファム・ジャパン)
事務局メンバー
(実行委員会における議決権をもたないメンバー)
今田克司 (CSOネットワーク)
キャンペーン自体のガイドラインも作っています。「ほっとけない世界のまずしさ」キャンペーンはこのガイドラインにしたがって運営されています。

とある。
主体は「ほっとけない世界のまずしさ」キャンペーン実行委員会ということか。いまいち不明確である。
加えて実行委員長が誰であるのかもわからない。国内における活動の最高責任者は誰なのだ?事務局はどこにあるのだ?
この点「ガイドラインhttp://hottokenai.jp/who/Guidelines12.pdf)」をみると、

<キャンペーン事務局の連絡先>
〒108-0023 東京都港区芝浦3-3-6 CIC-601 大阪大学東京オフィス内CSOネットワーク気付
「ほっとけない世界のまずしさ」キャンペーン事務局
電話:03-3457-1165、FAX:03-5440-9114、Eメール:hottokenai@csonj.org

とある。あいかわらず代表はわからないのだが…。
しかしこのガイドラインは企業・団体向け資料である。

*キャンペーンへの参加について、私には何ができますか?
個人の方は・・・
私達のマニフェストhttp://www.hottokenai.jp/pub/Manifesto050608.pdf)に賛同してくださる方は、
ホワイトバンドをつけてください。
イベントに参加してください。
企業/団体の方は・・・
キャンペーンが作成したガイドラインに合意して頂ければ、
賛同団体としてウェブサイトに掲載させて頂きます。事務局までご連絡ください。
http://hottokenai.jp/faq/index.html

サイトのわかりやすいところに、代表者氏名及び事務局は記載するべきではないだろうか?
これは最低限の表示事項だと思うのだが…。
(なお、仮に記載があっても探している筆者が見つけられないのだから意味がない。
 サイトを見やすくすべきである。)


ところで、上記ガイドラインには、

商標登録出願について:
区分:14、16、25、35類
対象:「ほっとけない」
対象:「hottokenai

とあるので、商標出願からちょっと調べてみた。
「ほっとけない」ではなく、「ほっとけない 世界のまずしさ」で出願された模様。

(210) 【出願番号】 商願2005−66986
(220) 【出願日】 平成17年(2005)7月6日
    【先願権発生日】 平成17年(2005)7月6日
    【最終処分日】
    【最終処分種別】  
    【出願種別】

                                                                                                                                              • -

    【商標(検索用)】 ほっとけない 世界のまずしさ
(541) 【標準文字商標】
(561) 【称呼】 ホットケナイセカイノマズシサ
(531) 【ウィーン図形分類】

                                                                                                                                              • -

(731) 【出願人】
    【氏名又は名称】 特定非営利活動法人アフリカ日本協議会

                                                                                                                                              • -

    【類似群】 17A01 17A02 17A03 17A04 17A07 21A02 21B01 26A01 35A01
    【国際分類版表示】 第8版
(500) 【区分数】 4
(511) (512) 【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
14 身飾品
16 印刷物
25 被服
35 広告

(210) 【出願番号】 商願2005−66987
(220) 【出願日】 平成17年(2005)7月6日
    【先願権発生日】 平成17年(2005)7月6日
    【最終処分日】
    【最終処分種別】  
    【出願種別】

                                                                                                                                              • -

    【商標(検索用)】 hottokenai
(541) 【標準文字商標】
(561) 【称呼】 ホットケナイ
(531) 【ウィーン図形分類】

                                                                                                                                              • -

(731) 【出願人】
    【氏名又は名称】 特定非営利活動法人アフリカ日本協議会

                                                                                                                                              • -

    【類似群】 17A01 17A02 17A03 17A04 17A07 21A02 21B01 26A01 35A01
    【国際分類版表示】 第8版
(500) 【区分数】 4
(511) (512) 【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
14 身飾品
16 印刷物
25 被服
35

国内商標の出願人は「特定非営利活動法人アフリカ日本協議会」である。
特定非営利活動法人アフリカ日本協議会」が代表的立場にあるということか。
なお、特定非営利活動法人アフリカ日本協議会のサイトは、http://www.ajf.gr.jp/
代表者等は、http://www.ajf.gr.jp/about_us/setsuritsu_gaiyo.html
また、事務局メンバーの所属する「CSOネットワーク」のサイトは、
http://www.csonj.org/、法人格はないようだが、代表などがサイトからわからないのはいただけない。
http://www.csonj.org/about/index.html
http://www.csonj.org/access/index.html
事務局は上述のように「CSOネットワーク」にある。


上記のようにいまいち活動が不明確であることから、筆者としては活動の趣旨自体については否定しないけれども、
その趣旨を広めるための活動方法には大いに疑問のあるところであり、このキャンペーンには賛同しかねます。
今後当サイトではこの団体の健全性を確保させる、という観点から、このキャンペーンをみていきたいと思います。
なお、このキャンペーンの賛否については、各自で判断してください。
なお、事務局に上記改善を提案すべく
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