筒井康隆vs.北宋社(渡辺誠社長)

無許諾出版 - Copy&Copyright Diary経由

「無断で短編集」筒井康隆さんが連載で抗議発表
2006年01月10日19時55分
 「無断で短編集を出版され、印税も支払われない」と、作家の筒井康隆さんが、7日発売の文芸誌「文学界」で出版した北宋社渡辺誠社長)への抗議を公表した。
 同誌に筒井さんが連載中の「巨船ベラス・レトラス」第13回。それによると、筒井さんが一昨年暮れ、北宋社が「満腹亭へようこそ」(98年)という自分の短編集を出版していることを初めて知り、収録作品の元の出版社である新潮社を通じて抗議した。
 これに対し、渡辺社長から「筒井さんのサイン会に行き、口頭で承諾をもらった」と回答があったが、筒井さんは承諾を否定している。
 さらに、同社発行のアンソロジーの何冊かにも筒井さんの短編が無断で収録されており、謝罪と本の断裁、印税の支払いなどを巡って双方の代理人がFAXでやりとりしていたが、昨年2月25日以降何も回答がないため、公表に踏み切った。
 渡辺社長は「いずれも承諾は得ており、無断ではない。印税はまだお支払いできず、その点は申し訳ない。まだ話し合いの途中だと思っていた」と話している。
http://www.asahi.com/national/update/0110/TKY200601100296.html

口約束でも契約は契約ですが、こうやって問題になるからこそ通常書面で確認しておくわけです。
両者に口約束でも成立するような信頼関係でもあれば、あとになってこういうこともあるんでしょうが、
記事からはそういう事情は感じられず、渡辺社長はきちんとその承諾を書面にしておくべきだったでしょう。
それとも口頭承諾が出版界の常識なんでしょうか?
そもそも本件では、本当に承諾があったのかどうかが争点となっていますが、
サイン会での口頭の承諾で印税の割合まで話し合があったのかどうか?
それともとにかく承諾さえあれば、標準的な印税が決定されるのか?
このような場面(著者vs出版社(通常出版物))こそが、著作権が厳格に機能するべき場面だと思うのですが、
いまいちよくわからない世界のようです。