私的録音録画補償金の返還のハナシ

私的録音録画補償金の根拠は、著作権法30条2項である。

著作権法(昭和四十五年五月六日法律第四十八号)
(私的使用のための複製)
第三十条  著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
 一  公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合
 二  技術的保護手段の回避(技術的保護手段に用いられている信号の除去又は改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合
2  私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(放送の業務のための特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性能を有するもの及び録音機能付きの電話機その他の本来の機能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するものを除く。)であつて政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
 ※「私的使用」の定義があるので1項も引用している。


もっとも、この原則によれば、私的複製の際に権利者に補償金を払うことを原則となることになる。しかしこれでは、実際上複製行為を捕捉できず、制度はないに等しくなる。
そこで特例が定められており、(制度の詳細は、法104条の2以下、著作権法施行令57条の5以下に規定される(末尾参照)。)

私的録音録画補償金の支払の特例)
第百四条の四  第三十条第二項の政令で定める機器(以下この章において「特定機器」という。)又は記録媒体(以下この章において「特定記録媒体」という。)を購入する者(当該特定機器又は特定記録媒体が小売に供された後最初に購入するものに限る。)は、その購入に当たり、指定管理団体から、当該特定機器又は特定記録媒体を用いて行う私的録音又は私的録画に係る私的録音録画補償金の一括の支払として、第百四条の六第一項の規定により当該特定機器又は特定記録媒体について定められた額の私的録音録画補償金の支払の請求があつた場合には、当該私的録音録画補償金を支払わなければならない。
2  前項の規定により私的録音録画補償金を支払つた者は、指定管理団体に対し、その支払に係る特定機器又は特定記録媒体を専ら私的録音及び私的録画以外の用に供することを証明して、当該私的録音録画補償金の返還を請求することができる。
3  第一項の規定による支払の請求を受けて私的録音録画補償金が支払われた特定機器により同項の規定による支払の請求を受けて私的録音録画補償金が支払われた特定記録媒体に私的録音又は私的録画を行う者は、第三十条第二項の規定にかかわらず、当該私的録音又は私的録画を行うに当たり、私的録音録画補償金を支払うことを要しない。ただし、当該特定機器又は特定記録媒体が前項の規定により私的録音録画補償金の返還を受けたものであるときは、この限りでない。

1項で、機器や記録媒体の購入の際に指定団体に支払うことになっており、簡便な方式となっている。
法30条2項の原則からすれば、同一機器媒体であって、複製ごとに補償金が生じることになるが、この規定により同一機器媒体であれば「一括」に支払われることになる。


ただ、全く私的使用、私的録画にまで用いない場合にまで、補償金を支払うべき理由は存しない。そこで、2項が返還について定めている。
ここでは支払った者が、指定管理団体に対し、「専ら私的録音及び私的録画以外の用に供することを証明して」返還を請求する必要がある。
ただ、実際、その立証は難しい。
機器媒体に原始的瑕疵があって録音録画できなかった場合や野鳥や自分の声しか録音できていない場合の他、テキストには返還請求できる例としてあげられている。
 余談だが、海賊版の媒体が対象媒体であった場合、私的録音録画のためのものではないので、逮捕されたあと、返還請求する余地がある。
 もちろん、許諾料相当額の支払い義務は生じるだろうし、信義則等の問題はあるが、理論上は返還請求できることになる。
許諾を受けて録音録画した場合も含まれるとは言うまでもない。
1度しか録音録画できない媒体の場合には立証しやすいだろうが、繰り返し利用できる場合には立証は難しい。
著作権の保護期間の経過したものしか録音しなかったというような事実を過去の録音の履歴も含めてすべてが立証できた場合には、返還請求できるが、実際には立証は困難であるとも説明されている。
理論上、返還訴訟できるは、立証の問題や費用の問題、取り返せる金額を考えると、訴訟になるまでは考えられず、中山先生が「合法性の《アリバイ》的な規定」と評している。
ここで考えなければならないのは、現在の一括徴収方式自体が特例であるということだ。
購入行為に着目した一括方式について、加戸先生は「特定機器又は特定記録媒体の購入は、ほとんどの場合それらを用いた私的録音・録画が予定されているものであって、
また、権利者にとっても外形的にも把握可能な行為であることを理由としています」と説明している。
そうすると、記録媒体については「私的複製」の蓋然性があることが明文がないものの政令指定の条件というべきであり、だからこそ2項程度ののアリバイ的規定で足りると解するべきであろう。
私的複製の程度が下がる媒体にまで課するのであれば、2項の内容についても検討を要するというべきであろう。
そうでなければ、機器媒体を指定した政令を、法令の委任に反するものとして、違法というほかないであろう。


さて、具体的な返還手続については、各指定団体(SARAH,SARVH)が定め、文化庁長官に届け出ている。
http://www.sarah.or.jp/info/info11.html
http://www.sarvh.or.jp/images/p071_06.pdf
この内容の合理性についても検討する必要があろうが、返還を受けるべき者が経済的不利益を負担する合理性があるのか、
文化庁長官への届出のみという行政関与とも関連して、検討しなければならない問題のように思われる。

   第一章 私的録音録画補償金に係る特定機器及び特定記録媒体

(特定機器)
第一条  著作権法 (以下「法」という。)第三十条第二項 (法第百二条第一項 において準用する場合を含む。以下この条及び次条において同じ。)の政令で定める機器のうち録音の機能を有するものは、次に掲げる機器(他の機器との間の音の信号に係る接続の方法で法第三十条第二項 の特別の性能を有する機器に用いるものとして文部科学省令で定めるものを用いる機器を除く。)であつて主として録音の用に供するもの(次項に規定するものを除く。)とする。
一  回転ヘッド技術を用いた磁気的方法により、三十二キロヘルツ、四十四・一キロヘルツ又は四十八キロヘルツの標本化周波数(アナログ信号をデジタル信号に変換する一秒当たりの回数をいう。以下この条において同じ。)でアナログデジタル変換(アナログ信号をデジタル信号に変換することをいう。以下この条において同じ。)が行われた音を幅が三・八一ミリメートルの磁気テープに固定する機能を有する機器
二  固定ヘッド技術を用いた磁気的方法により、三十二キロヘルツ、四十四・一キロヘルツ又は四十八キロヘルツの標本化周波数でアナログデジタル変換が行われた音を幅が三・七八ミリメートルの磁気テープに固定する機能を有する機器
三  磁気的かつ光学的方法により、四十四・一キロヘルツの標本化周波数でアナログデジタル変換が行われた音を直径が六十四ミリメートルの光磁気ディスクに固定する機能を有する機器
四  光学的方法により、四十四・一キロヘルツの標本化周波数でアナログデジタル変換が行われた音を直径が八十ミリメートル又は百二十ミリメートルの光ディスク(一枚の基板からなるものに限る。)に固定する機能を有する機器
2  法第三十条第二項 の政令で定める機器のうち録画の機能を有するものは、次に掲げる機器(ビデオカメラとしての機能を併せ有するものを除く。)であつて主として録画の用に供するもの(デジタル方式の録音の機能を併せ有するものを含む。)とする。
一  回転ヘッド技術を用いた磁気的方法により、その輝度については十三・五メガヘルツの標本化周波数で、その色相及び彩度については三・三七五メガヘルツの標本化周波数でアナログデジタル変換が行われた影像を、幅が六・三五ミリメートルの磁気テープ(幅、奥行及び高さが百二十五ミリメートル、七十八ミリメートル及び十四・六ミリメートルのカセットに収容されているものに限る。)に連続して固定する機能を有する機器
二  回転ヘッド技術を用いた磁気的方法により、いずれの標本化周波数によるものであるかを問わずアナログデジタル変換が行われた影像を、幅が十二・六五ミリメートルの磁気テープに連続して固定する機能を有する機器
三  光学的方法により、特定の標本化周波数でアナログデジタル変換が行われた影像又はいずれの標本化周波数によるものであるかを問わずアナログデジタル変換が行われた影像を、直径が百二十ミリメートルの光ディスク(レーザー光が照射される面から記録層までの距離が〇・六ミリメートルのものに限る。)であつて次のいずれか一に該当するものに連続して固定する機能を有する機器
イ 記録層の渦巻状の溝がうねつておらず、かつ、連続していないもの
ロ 記録層の渦巻状の溝がうねつており、かつ、連続しているもの
ハ 記録層の渦巻状の溝がうねつており、かつ、連続していないもの

特定記録媒体)
第一条の二  法第三十条第二項 の政令で定める記録媒体のうち録音の用に供されるものは、前条第一項に規定する機器によるデジタル方式の録音の用に供される同項各号に規定する磁気テープ、光磁気ディスク又は光ディスク(小売に供された後最初に購入する時に録音されていないものに限る。)とする。
2  法第三十条第二項 の政令で定める記録媒体のうち録画の用に供されるものは、前条第二項に規定する機器によるデジタル方式の録画(デジタル方式の録音及び録画を含む。)の用に供される同項各号に規定する磁気テープ又は光ディスク(小売に供された後最初に購入する時に録画されていないものに限る。)とする。


   第五章 私的録音録画補償金

私的録音録画補償金を受ける権利の行使)
第百四条の二  第三十条第二項(第百二条第一項において準用する場合を含む。以下この章において同じ。)の補償金(以下この章において「私的録音録画補償金」という。)を受ける権利は、私的録音録画補償金を受ける権利を有する者(以下この章において「権利者」という。)のためにその権利を行使することを目的とする団体であつて、次に掲げる私的録音録画補償金の区分ごとに全国を通じて一個に限りその同意を得て文化庁長官が指定するもの(以下この章において「指定管理団体」という。)があるときは、それぞれ当該指定管理団体によつてのみ行使することができる。
 一  私的使用を目的として行われる録音(専ら録画とともに行われるものを除く。以下この章において「私的録音」という。)に係る私的録音録画補償金
 二  私的使用を目的として行われる録画(専ら録音とともに行われるものを含む。以下この章において「私的録画」という。)に係る私的録音録画補償金
2  前項の規定による指定がされた場合には、指定管理団体は、権利者のために自己の名をもつて私的録音録画補償金を受ける権利に関する裁判上又は裁判外の行為を行う権限を有する。

(指定の基準)
第百四条の三  文化庁長官は、次に掲げる要件を備える団体でなければ前条第一項の規定による指定をしてはならない。
 一  民法第三十四条 (公益法人の設立)の規定により設立された法人であること。
 二  前条第一項第一号に掲げる私的録音録画補償金に係る場合についてはイ、ハ及びニに掲げる団体を、同項第二号に掲げる私的録音録画補償金に係る場合についてはロからニまでに掲げる団体を構成員とすること。
  イ 私的録音に係る著作物に関し第二十一条に規定する権利を有する者を構成員とする団体(その連合体を含む。)であつて、国内において私的録音に係る著作物に関し同条に規定する権利を有する者の利益を代表すると認められるもの
  ロ 私的録画に係る著作物に関し第二十一条に規定する権利を有する者を構成員とする団体(その連合体を含む。)であつて、国内において私的録画に係る著作物に関し同条に規定する権利を有する者の利益を代表すると認められるもの
  ハ 国内において実演を業とする者の相当数を構成員とする団体(その連合体を含む。)
  ニ 国内において商業用レコードの製作を業とする者の相当数を構成員とする団体(その連合体を含む。)
 三  前号イからニまでに掲げる団体がそれぞれ次に掲げる要件を備えるものであること。
  イ 営利を目的としないこと。
  ロ その構成員が任意に加入し、又は脱退することができること。
  ハ その構成員の議決権及び選挙権が平等であること。
 四  権利者のために私的録音録画補償金を受ける権利を行使する業務(第百四条の八第一項の事業に係る業務を含む。以下この章において「補償金関係業務」という。)を的確に遂行するに足りる能力を有すること。

私的録音録画補償金の支払の特例)
第百四条の四  第三十条第二項の政令で定める機器(以下この章において「特定機器」という。)又は記録媒体(以下この章において「特定記録媒体」という。)を購入する者(当該特定機器又は特定記録媒体が小売に供された後最初に購入するものに限る。)は、その購入に当たり、指定管理団体から、当該特定機器又は特定記録媒体を用いて行う私的録音又は私的録画に係る私的録音録画補償金の一括の支払として、第百四条の六第一項の規定により当該特定機器又は特定記録媒体について定められた額の私的録音録画補償金の支払の請求があつた場合には、当該私的録音録画補償金を支払わなければならない。
2  前項の規定により私的録音録画補償金を支払つた者は、指定管理団体に対し、その支払に係る特定機器又は特定記録媒体を専ら私的録音及び私的録画以外の用に供することを証明して、当該私的録音録画補償金の返還を請求することができる。
3  第一項の規定による支払の請求を受けて私的録音録画補償金が支払われた特定機器により同項の規定による支払の請求を受けて私的録音録画補償金が支払われた特定記録媒体に私的録音又は私的録画を行う者は、第三十条第二項の規定にかかわらず、当該私的録音又は私的録画を行うに当たり、私的録音録画補償金を支払うことを要しない。ただし、当該特定機器又は特定記録媒体が前項の規定により私的録音録画補償金の返還を受けたものであるときは、この限りでない。

(製造業者等の協力義務)
第百四条の五  前条第一項の規定により指定管理団体が私的録音録画補償金の支払を請求する場合には、特定機器又は特定記録媒体の製造又は輸入を業とする者(次条第三項において「製造業者等」という。)は、当該私的録音録画補償金の支払の請求及びその受領に関し協力しなければならない。

私的録音録画補償金の額)
第百四条の六  第百四条の二第一項の規定により指定管理団体が私的録音録画補償金を受ける権利を行使する場合には、指定管理団体は、私的録音録画補償金の額を定め、文化庁長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2  前項の認可があつたときは、私的録音録画補償金の額は、第三十条第二項の規定にかかわらず、その認可を受けた額とする。
3  指定管理団体は、第百四条の四第一項の規定により支払の請求をする私的録音録画補償金に係る第一項の認可の申請に際し、あらかじめ、製造業者等の団体で製造業者等の意見を代表すると認められるものの意見を聴かなければならない。
4  文化庁長官は、第一項の認可の申請に係る私的録音録画補償金の額が、第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。)及び第百四条の四第一項の規定の趣旨、録音又は録画に係る通常の使用料の額その他の事情を考慮した適正な額であると認めるときでなければ、その認可をしてはならない。
5  文化庁長官は、第一項の認可をしようとするときは、文化審議会に諮問しなければならない。

(補償金関係業務の執行に関する規程)
第百四条の七  指定管理団体は、補償金関係業務を開始しようとするときは、補償金関係業務の執行に関する規程を定め、文化庁長官に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2  前項の規程には、私的録音録画補償金(第百四条の四第一項の規定に基づき支払を受けるものに限る。)の分配に関する事項を含むものとし、指定管理団体は、第三十条第二項の規定の趣旨を考慮して当該分配に関する事項を定めなければならない。

著作権等の保護に関する事業等のための支出)
第百四条の八  指定管理団体は、私的録音録画補償金(第百四条の四第一項の規定に基づき支払を受けるものに限る。)の額の二割以内で政令で定める割合に相当する額を、著作権及び著作隣接権の保護に関する事業並びに著作物の創作の振興及び普及に資する事業のために支出しなければならない。
2  文化庁長官は、前項の政令の制定又は改正の立案をしようとするときは、文化審議会に諮問しなければならない。
3  文化庁長官は、第一項の事業に係る業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、指定管理団体に対し、当該業務に関し監督上必要な命令をすることができる。

(報告の徴収等)
第百四条の九  文化庁長官は、指定管理団体の補償金関係業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、指定管理団体に対し、補償金関係業務に関して報告をさせ、若しくは帳簿、書類その他の資料の提出を求め、又は補償金関係業務の執行方法の改善のため必要な勧告をすることができる。

政令への委任)
第百四条の十  この章に規定するもののほか、指定管理団体及び補償金関係業務に関し必要な事項は、政令で定める。


http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%92%98%8d%ec%8c%a0%96%40&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=S45HO048&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1

著作権法施行令(昭和四十五年十二月十日政令第三百三十五号)

   第七章 私的録音録画補償金に関する指定管理団体等

(業務規程)
第五十七条の五  法第百四条の七第一項 の補償金関係業務の執行に関する規程(以下この章において「業務規程」という。)には、同条第二項 に規定するもののほか、次に掲げる事項を含むものとする。
 一  法第百四条の四第二項 の規定による私的録音録画補償金の返還に関する事項
 二  法第百四条の八第一項 の事業のための支出に関する事項
2  前項に規定するもののほか、業務規程で定めなければならない事項は、文部科学省令で定める。

著作権等の保護に関する事業等のために支出すべき私的録音録画補償金の額の割合)
第五十七条の六  法第百四条の八第一項 の政令で定める割合は、二割とする。

(業務の休廃止)
第五十七条の七  指定管理団体(法第百四条の二第一項 に規定する指定管理団体をいう。以下この章において同じ。)は、その補償金関係業務(法第百四条の三第四号 に規定する補償金関係業務をいう。以下この章において同じ。)を休止し、又は廃止しようとするときは、あらかじめ、次に掲げる事項を記載した書面をもつて、その旨を文化庁長官に届け出なければならない。
 一  休止又は廃止を必要とする理由
 二  休止しようとする日及び休止の期間又は廃止しようとする日(第三項において「廃止の日」という。)
 三  権利者(法第百四条の二第一項 に規定する権利者をいう。次条第一項第六号において同じ。)に対する措置
 四  法第百四条の四第二項 の規定による私的録音録画補償金の返還に関する措置
 五  法第百四条の八第一項 の事業のための支出に関する措置
2  文化庁長官は、前項の廃止の届出があつたときは、その旨を官報で告示する。
3  法第百四条の二第一項 の規定による指定は、廃止の日として前項の規定により官報で告示された日に、その効力を失う。

(指定の取消し)
第五十七条の八  文化庁長官は、指定管理団体が次の各号のいずれかに該当するときは、法第百四条の二第一項 の規定による指定を取り消すことができる。
 一  法第百四条の三 各号に掲げる要件のいずれかを備えなくなつたとき。
 二  法第百四条の七第一項 の規定により文化庁長官に届け出た業務規程によらないで補償金関係業務を行つたとき、その他補償金関係業務の適正な運営をしていないとき。
 三  法第百四条の八第三項 の規定による命令に違反したとき。
 四  法第百四条の九 の規定に違反して報告をせず、又は帳簿、書類その他の資料の提出を拒んだとき。
 五  次条において準用する第四十九条の規定に違反したとき。
 六  相当期間にわたり補償金関係業務を休止している場合において、当該休止により権利者の利益を著しく害するおそれがあると認められるとき。
2  文化庁長官は、前項の指定の取消しをしたときは、その旨を官報で告示する。

(準用)
第五十七条の九  第四十六条、第四十八条及び第四十九条の規定は、指定管理団体について準用する。この場合において、第四十六条中「法第九十五条第四項 又は第九十七条第三項 の」とあるのは「法第百四条の二第一項 の規定による」と、第四十八条中「二次使用料関係業務」とあるのは「補償金関係業務」と、第四十九条第一項中「二次使用料関係業務」とあるのは「補償金関係業務」と、「開始前に」とあるのは「開始前に(法第百四条の二第一項 の規定による指定を受けた日の属する事業年度にあつては、その指定を受けた後遅滞なく)」と、同条第二項 中「二次使用料関係業務」とあるのは「補償金関係業務」と、「決算完結後一月」とあるのは「当該事業年度の終了後三月」と読み替えるものとする。

(指定の告示)
第四十六条  文化庁長官は、法第九十五条第四項 又は第九十七条第三項 の指定をしたときは、その旨を官報で告示する。

(二次使用料関係業務の会計)
第四十八条  指定団体は、二次使用料関係業務に関する会計を、他の業務に関する会計と区分し特別の会計として経理しなければならない。

(事業計画等の提出)
第四十九条  指定団体は、毎事業年度、二次使用料関係業務に関する事業計画及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に文化庁長官に提出しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2  指定団体は、毎事業年度、二次使用料関係業務に関する事業報告書及び収支決算書を作成し、決算完結後一月以内に文化庁長官に提出しなければならない。

http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%92%98%8d%ec%8c%a0&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=S45SE335&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1

参考文献
加戸逐条、中山著作権法、金井小倉コンメンタール下 ほか