共用録画でも見れるのは自分の設定した分だけでしょ?

私的使用複製の幇助は、複製可能性を抑止すればするほど、幇助者が複製主体と認定され、違法な複製となる。
この例が、昨年仮処分命令のあった録画ネット(http://www.6ga.net/)の裁判である。
そして、その頃から懸念したことが遂に裁判になった。

マンション用録画装置は違法、在阪民放5社が提訴
 1週間分の番組を録画でき、好きな時間帯に視聴できるマンション用録画システムは、不特定多数の使用を目的とする複製などを禁じた著作権法に違反するとして、在阪の民放5社が、録画機器の販売会社(東京)に、販売差し止めなどを求める訴訟を21日、大阪地裁に起こした。
 訴状によると、このシステムは3月末に入居開始予定の大阪市内の分譲マンションに導入され、録画を指示した番組は共有のサーバーに保存し、1週間以内なら、入居者がいつでも再生、視聴できる。同時に5局の番組を録画でき、サーバー1台で約50世帯が使用可能とされる。
 民放側は「集団的複製、利用行為という私的使用の範囲を逸脱した違法行為で看過できず、提訴に踏み切った」としている。
 被告の販売会社側は「著作権の侵害ではない。今後の対応については、訴状などを見て検討したい」とコメントしている。訴訟などが解決するまで、サーバーは設置されないという。
(読売新聞) - 1月22日0時1分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050121-00000214-yom-soci

「共用録画は著作権侵害」 民放5社が販売会社を提訴
 マンションに居住者共用のテレビ番組録画用サーバーを設置し、居住者が予約した番組を一括録画して自由に視聴できるシステムは著作権を侵害するとして、在阪の民放5社が21日、東京のシステム機器販売会社「クロムサイズ」にシステムの販売や使用差し止めなどを求める訴訟を大阪地裁に起こした。
 提訴したのは毎日放送朝日放送関西テレビ読売テレビテレビ大阪。5社はこの日、同様の仮処分も申し立てた。
 訴状によると、録画システムは集合住宅用に開発され、サーバー一式で約50戸に対応。民放5チャンネルをまとめて録画予約することが可能で、番組のデータは1週間、共有のサーバーに保存され、入居者は予約した番組を各戸の端末で自由に再生できる。
共同通信) - 1月21日20時24分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050121-00000191-kyodo-soci

株式会社クロムサイズ(http://www.cyz.co.jp/)の「選撮見録(よりどりみどり)」である。
http://www.cyz.co.jp/html/ind-jpmi01.html
このシステムの問題については、
http://www.cyz.co.jp/html/pre001.htmlで、岡邦俊、小畑明彦両弁護士が私見をのべている。
(ただし、現在トップページからリンクをたどっていけるのかどうかが未確認につき、
 両氏が現在もそのような私見であるかどうかは不明である。あくまで回答日現在。)
詳細な検討は現時点では避けるが、かつで読んだときにはそれほどの不都合を感じなかった。
しかし、録画ネットの決定の趣旨からすれば、なお適法性といいきるには疑問が残る。
大雑把にいえば、このシステムはビデオデッキの共有ということだろうが、これをも違法となるのだろうか?
資源的なことを考えれば、こっちの方がいいシステムだと思うし、なんでもかんでも視聴できるシステムではないはず。
システムは共有でも、私的使用目的で使用する者がするシステムである(はずだ)。
一方で複製物は一人でも複数人でも一つである。
各戸利用者が複製主体であれば、それを幇助する行為は違法とはいえない。
本提訴のでの主張が、目的を逸脱した複製の幇助行為が違法というのか、
複製主体が販売会社であるというのか、訴状をみてないので、わからないが、
私の理解しているシステムであるならば、違法性はないと考える。
一方で、現在の裁判所の考え方では違法となる可能性も否定できない。
今後を見守りたい訴訟である。