またまた産経新聞から国会職員給料問題

最後の聖域?国立国会図書館。公務員の給料って?
http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050207#1107755244
またまた立法府財政問題
http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050210#1107973588


に、続いてまたまた産経新聞が、今度は常任委専門員らの給与を指摘した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050215-00000002-san-pol
記事を順にみていくと、まず

国会職員19人、議員より高給 常任委専門員ら…給与体系、人勧の対象外
 国会職員計約四千人のうち十九人が、衆参国会議員の現在の年収二千七十七万円を上回る年収を得ていることが分かった。国会議員が経費節減で歳費の削減を進めているにもかかわらず、国会職員だけが独自の給与体系をよりどころに見直しを先送りしてきたためだ。特に年収二千万円前後の高給を受け取る常任委員会専門員が三十人も存在。給与の逆転現象やこれら幹部職員の高給への批判は国会議員らからも強く、今後、国会制度改革の見直し対象となりそうだ。
 衆参両院事務局の人事課などによると、国会職員の中で最高給は国立国会図書館長の年収三千四十一万円(俸給月額、調整手当、ボーナスの総額=以下同じ)。

国立国会図書館長の俸給月額については前々回にみた。
一部を再掲載しておくと、

国立国会図書館法(昭和二十三年二月九日法律第五号)


第二章 館長
第四条
 国立国会図書館の館長は、一人とする。館長は、両議院の議長が、両議院の議院運営委員会と協議の後、国会の承認を得て、これを任命する。
○2 館長は、職務の執行上過失がない限り在職する。館長は、政治活動を慎み、政治的理由により罷免されることはない。館長は、両議院の議長の共同提議によつては罷免されることがある。館長の待遇は、国務大臣と同等とする。

となっており、国務大臣の待遇は、

特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年十二月十二日法律第二百五十二号)
内閣総理大臣等の給与)
第二条  前条第一号から第十六号の二までに掲げる特別職の職員(以下「内閣総理大臣等」という。)の受ける給与は、別に法律で定めるもののほか、俸給、調整手当、通勤手当及び期末手当(国会議員から任命されたものにあつては俸給、調整手当及び期末手当、秘書官にあつては俸給、調整手当、住居手当、通勤手当、単身赴任手当、期末手当、勤勉手当及び寒冷地手当)とする。
第三条  内閣総理大臣等の俸給月額は、内閣総理大臣等のうち大使、公使及び秘書官以外の者については別表第一に、大使及び公使については別表第二に、秘書官については別表第三による。
(2項以下、略)


別表第一 (第三条関係)
官職名            俸給月額
内閣総理大臣         二、二二七、〇〇〇円
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
国務大臣 等         一、六二六、〇〇〇円
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となっている。

 次いで、衆参事務総長(二人)=二千九百七十六万円▽両院法制局長(二人)=約二千九百万円▽国立国会図書館副館長=二千四百三十三万円▽衆参事務次長、衆参法制次長、衆院調査局長(計五人)=約二千四百万円▽常任委専門員、裁判官訴追委員会事務局長、裁判官弾劾裁判所事務局長(計八人)=約二千百万円の計十九人が国会議員の給与を上回る。

ここからが法律では、わからない。

特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年十二月十二日法律第二百五十二号)
(国会職員の給与)
第十一条
 第一条第三十号に掲げる特別職の職員(※国会職員のこと)の受ける給与の種類、額、支給条件及び支給方法は、国会職員法(昭和二十二年法律第八十五号)及び同法の規定に基く国会職員の給与等に関する規程の定めるところによる。

国会職員法(昭和二十二年四月三十日法律第八十五号)
第六章 給与、旅費、災害補償及び年金等
第二十五条
 国会職員は、その在職中給料を受ける。
○2 国会職員は、給料の外、必要な手当その他の給与及び旅費を受けることができる。
○3 国会職員の給料、手当その他の給与の種類、額、支給条件及び支給方法並びに旅費については、別に法律(これに基く命令を含む。)で定めるものを除く外、両議院の議長が、両議院の議院運営委員会の合同審査会に諮つてこれを定める。

結局最後は、「国会職員の給与等に関する規定」というネット上では確認できない規定に委ねられている。
そのこと自体、問題なんだから、高給取りの衆議院の方、早急にサイトに掲載して下さい。

※「国会職員の給与等に関する規程(抄)」を別途
 http://page.freett.com/okeydokey/に掲載しました。
                   2005/2/18追記

さて、これらの職を行政府の同様の職と比較すると、例えば、
衆参事務総長(2976万円)は、事務次官
両院法制局長(2900万円)は、内閣法制局長官
国立国会図書館副館長(2433万円)は、内閣法制次長
衆参事務次長、衆参法制次長、衆院調査局長(約2400万円)は、官房長、
常任委専門員、裁判官訴追委員会事務局長、裁判官弾劾裁判所事務局長(約2100万円)は、
例えば公正取引委員会の事務総長と同じとか…。
月額俸給での比較ができれば、いいのですが、とりあえずは視点の提案だけ。
行政府との権力の対抗という意味では、少数精鋭のはずの立法府に高給の人が多くても、
それだけの仕事をしているのであれば、いいと思うのですが…。
ただ、現実をみるには、国会職員の給与規定がわからないので、なんとも…。

 国会議員の歳費がこれら幹部職員より下回るのは、「民間企業がリストラを進める中、国会議員も身を切る姿勢を示す必要がある」(自民党国対幹部)とし、平成十五年四月から歳費を一律10%カットしたため。これが給与のねじれ現象の一因だ。国会法三五条は国会議員の歳費に関し、「一般職の国家公務員の最高の給料額より少なくない歳費を受ける」と規定、本来の基準年収を二千二百二十九万円としている。

さて、国会法の規定を確認しておくと、

国会法(昭和二十二年四月三十日法律第七十九号)
第三十五条  議員は、一般職の国家公務員の最高の給料額より少くない歳費を受ける。
第三十六条  議員は、別に定めるところにより、退職金を受けることができる。

(36条はおまけ。議員年金の話もあるし…。「できる」だけだけど…。)
となっている。

 一方、年収約千八百万−二千百万円と国会議員より多いか同程度の高給を受け取る常任委専門員が計三十人いる。
 給与は「国会職員の給与等に関する規定」という独自の基準により、一般の国家公務員の給与水準の基準となる人事院勧告も対象外だ。
 常任委専門員は、中央省庁の局長級に相当し衆参あわせて三十人。給与体系上1号給から4号給までのランクがあり、最高給の年収二千三百六十四万円が規定されている4号は現在ゼロ。年収約二千百万円の3号は六人。年収約千九百万円の2号は十一人、最低ランクの1号の十三人でも年収約千八百万円で、中央省庁の局長級(年収千八百五十三万−千九百九十九万円)に匹敵する。
 常任委専門員は「専門性の高い実務上の知識・経験で議案の審査や議員立法国政調査活動全般について提言、助言を行う」(衆院人事課)ことが職務。実際には、議員の委員会質問の作成や法案づくりに関する資料収集を日常業務とする。
 ある中央省庁幹部は「国家公務員の適正給与の基準として、調整する相手の役職と同程度という目安がある。専門員は局長級の給与をもらっているが、調整相手は中央省庁のせいぜい課長クラス。局長級を相手に調整しているという話は聞いたことがない」と、高給ぶりを批判する。
 これに対し、国会職員側は「専門員は各常任委員長や理事に政策面で提言するなど、役割は大きい。議員立法が多くなっている現在は特にそうだ」と反論している。
     ◇
 常任委専門員 国会法43条は「常任委員会には、専門の知識を有する職員(専門員)および調査員を置くことができる」と規定。衆参両院に各15ある常任委員会に1人ずつ専門員がいる。各常任委員長の申し出により、議長の同意および議院運営委員会の承認を得て、事務総長が任命。各委員会所属の国会議員の立法、調査活動の助言・補佐が職務とされる。
     ◇

第五章 委員会及び委員
第四十三条  常任委員会には、専門の知識を有する職員(これを専門員という)及び調査員を置くことができる。

前回国立国会図書館の職員で、「専門調査員」というのをみたが、
今度は、各委員会に「専門委員」がいるという話しである。
両者の違いはなんだ!?となるが、確かに2人も高給取りがいるかというと微妙ではある。
委員会レベルの専門館と、国会議員を補佐するというものだろうが…。
政党議員の政策秘書政党助成金など、一部重複しかねない支出がある。
立法府の強化という総論に賛成だが、だからといって貴重な税金を無駄使いしていいことにはならない。
どういう形で、国会事務サイドを構成して、どのような形で議員をサポートするシステムなのか、
国会自身明らかにする必要があろう。
その上で、比較的分かりやすいと思う行政府と比較するべきであろう。
そのためには、まず関係法令(規則、規定)を行政府並みに公表して下さい。
その点を比較するだけでも、行政官僚に劣っており、高給には首を傾げる。
国会事務局は国会議員にとっておろそかになりやすい。
一方で、行政府からは独立しており、行政府から口出しできない(するべきではない)
だからこそ、特に国会議員は議会事務局職員の給与等も時代に即して反映するべきであろう。
そして、国会議員がそのことを指摘できないでいるのに、そのことを自らの利益のために、
助言できなかった専門委員は専門委員失格ではないだろうか?
ある程度の高給が保障されているからこそ、それを助言するべきでったように思われる。
専門委員の方々、自らの高給の正当性をアピールためにも、きっちり改革して下さい。

 ■主な国家公務員の年収
 (月給+ボーナス+調整手当、単位・万円、一部概算)
 内閣総理大臣4165 
 衆参議長3481※
 国務大臣3041 
 国立国会図書館長3041 
 衆参事務総長2976 
 衆参法制局長2900 
 中央省庁事務次官2433 
 警視総監2295 
 中央省庁審議官2143 
 常任委専門員(3号給)2100 
 国会議員2077※
 中央省庁局長1853−1999 
 常任委専門員(2号給)1900 
    同   (1号給)1800 
 ※は平成17年3月までの時限措置として歳費の一部削減を踏まえた額。太字は国会職員
産経新聞) - 2月15日3時1分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050215-00000002-san-pol