書籍販売サイトで本の装丁を表示すること

amazonなどといった書籍販売サイトで、書籍の装丁が表示されているが、
このことの著作権法上の問題点如何。


本の装丁も「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」
である限り著作物として法の保護を受ける。
したがって、原則としてこれを複製、公衆送信等してはならず、amazonの表示行為も原則許されない。
では、例外的にどうか?ということになるが、この場合であたりうる法文上の公衆送信の主な例外規定は
引用であろう。
しかし、本の装丁についてコメントしている場合を除いて、引用にあたりうることはないと思われる。
また、本文を引用しても、出所表示に本の装丁を表示させる必要はないからである。
だからといって、amazonが法違反しているとは思われないことから、
権利者(出版者なり、著作者なり)から許諾を得ているものと推測できる。
だから、表示されていないものあると思うのだが、どうであろうか。


では、このサイトで表示することはどうか。
ISBNコードなどを一定の方法で記述すると、本書の紹介と共に装丁を表示させることができる。
このことについては、過去に「はてな」でも話題になったようである。
http://www.hatena.ne.jp/1107703141
私見を述べるなら、販売サイトが、アフリエイト先で表示する場合も含めて許諾を得ているから…
ということだと思うのだが、どうであろうか。
したがって、どのような用い方をしようと、「はてなダイアリー」で用いる限り、違法性はないと思われる。
(少なくとも筆者はそうおもって利用している。)
販売サイトがそういうことまで含めて許諾を得ていないのであれば、問題であろうが、
はてな」がその利用に際し、引用などに限っていないことからすれば、許諾あるものとして問題ないであろう。
引用などといった限定的なものを、何の説明もなく使わせるのは問題である。
仮に引用だとすれば、今日の読書日記などといって、毎日読んだ本を画像付きで紹介することは許されない。


リンク説というのもあるが、
回答者の紹介する著作権情報センター(CRIC)の説明は、

リンクとはホームページをほかのホームページに結び付ける機能をいい、ホームページに飛び先を書き込んで、それをクリックするだけで目指すホームページにジャンプできるようにすることを「リンクを張る」という言い方をします。リンクを張ることにより、他人のホームページにある著作物に容易にアクセスすることができるだけに著作権侵害とはならないかが問題となります。
結論を先にいえば、リンクを張ることは、単に別のホームページに行けること、そしてそのホームページの中にある情報にたどり着けることを指示するに止まり、その情報をみずから複製したり送信したりするわけではないので、著作権侵害とはならないというべきでしょう。
(中略)
もっとも、クリックすることにより、他人のホームページ上の情報が自分のホームページのフレームの中に取り込まれるという形式のものであれば、話は別です。このような場合、自分のホームページの中に他人の情報を複製することになるので、複製権の処理が必要になってくるように思われますし、また取り込む情報が一部分であるならば不要な部分をカットしたということで同一性保持権も働く可能性があるからです。
http://www.cric.or.jp/qa/multimedia/multi15_qa.html

とある。販売サイトへのリンク(URLへ移動させること)はフレーム内でない限り問題ないが、
(これでも自分のサイトでなく他人のサイトであることがわかれば必ずしも違法ではないと思うが、
 まぁ、その点には深く立ち入りません。)
しかし、ここでの説明では画像を表示させるところまでは含まれていない。
「バーナーアイコン」などでリンクさせる場合がありますが、あれは「バーナーアイコン」を提供している
リンク先の人の許諾があるからであって、リンクだからというわけではないのである。
画像をリンクで表示すれば、CRICの説明にいうフレームで表示することと何らかわりなく、
この説明に依存するなら、違法ということになると思われる。
回答者のいいたいことは、画像そのものではなく、コードの記述にすぎない、ということかも知れないが、
結果、それで画像を表示させるのであれば、そのことについての問題は生じ得うるというべきである。


いずれにせよ、「はてなダイアリー」で所定の方法で本の装丁を表示させることで、
はてな市民が法的に不利益を被ることはないものと思われる。