補欠選挙の実施に関する公職選挙法の規定

少し前の共同通信配信の産経新聞の記事

衆院東京4区、4月補選なしの公算 「一票の格差」係争中で
 強制わいせつの現行犯で逮捕された中西一善自民党衆院議員(40)の辞職に伴う衆院東京4区の補欠選挙は11日、4月24日の統一補選での実施が困難であることが分かった。2003年衆院選に関する一票の格差をめぐる選挙無効訴訟が最高裁に上告中で、公選法33条の規定により選挙無効などの訴訟が係属中の場合は補選が実施できないため。総務省選挙部によると、同規定による国政選挙の補選先送りは極めて異例。
 中西議員の辞職願は15日の衆院本会議で許可される見通し。与野党ともに候補者擁立を急いでいたが、選考作業は中断。異例の事態により、各党は4月の統一補選で実施される衆院宮城2区と同福岡2区への対応の練り直しを迫られた。
 総務省選挙部によると現在、東京4区を含む衆院小選挙区の選挙無効訴訟が最高裁に上告中。4月の統一補選実施確定期日の今月15日までに訴えが取り下げられるか、判決が出ない限り、補選は10月の統一補選以降にずれ込むことになる。訴訟の原告側代理人の森徹弁護士は「この問題を受けて、訴訟を取り下げる考えがないことを確認している」と話している。
 衆院宮城2区と同福岡2区については係属中の訴訟はなく、予定通り4月の統一補選となる。
 中西議員は10日夜、河野洋平衆院議長あてに議員辞職願を提出。総務省衆院から辞職願提出の連絡を受け、係属中の訴訟の調査を始め、11日になって事実関係を把握した。
 今回の選挙無効訴訟は03年12月に東京高裁に提訴。昨年12月に棄却され、直後に最高裁に上告している。2000年国勢調査によると、議員1人当たりの人口が最も少ない高知1区と東京4区との1票の格差は1・78倍。(共同)
(03/12 01:57)
http://www.sankei.co.jp/news/050312/sei008.htm

さて、興味があったのは、
「2003年衆院選に関する一票の格差をめぐる選挙無効訴訟が最高裁に上告中で、
 公選法33条の規定により選挙無効などの訴訟が係属中の場合は補選が実施できないため。」
根拠条文が知りたいなぁ、なんて思っていたのでちょうどいいや、と思いつつ、調べてみると、

公職選挙法(昭和二十五年四月十五日法律第百号)
(一般選挙、長の任期満了に因る選挙及び設置選挙)
第三十三条  地方公共団体の議会の議員の任期満了に因る一般選挙又は長の任期満了に因る選挙は、その任期が終る日の前三十日以内に行う。
2〜5項略

補欠選挙の規定などないではないか、と思っていたら、次の公選法33条の2

衆議院議員及び参議院議員の再選挙及び補欠選挙
第三十三条の二
1〜2項 (再選挙の規定につき省略)
3  衆議院議員の統一対象再選挙又は補欠選挙は、参議院議員の任期が終わる年において第二期間の初日から参議院議員の任期が終わる日の五十四日前の日(その日後に国会が開会されていた場合は、当該通常選挙の期日の公示の日の直前の国会閉会の日)までにこれを行うべき事由が生じた場合は、前項の規定にかかわらず、当該通常選挙の期日に行う。
4  参議院議員の統一対象再選挙又は補欠選挙は、在任期間を異にする参議院議員の任期が終わる年において第二期間の初日から通常選挙の期日の公示がなされるまでにこれを行うべき事由が生じた場合は、第二項の規定にかかわらず、当該通常選挙の期日に行う。
5  参議院議員の統一対象再選挙又は補欠選挙は、次の各号の区分による選挙が行われるときにおいて当該選挙の期日の告示がなされるまでにこれを行うべき事由が生じた場合は、第二項及び前項の規定にかかわらず、次の各号の区分による選挙の期日に行う。
一  比例代表選出議員の場合には、在任期間を異にする比例代表選出議員の第一項に規定する再選挙(選挙の一部無効による再選挙を除く。)が行われるとき。
二  選挙区選出議員の場合には、当該選挙区において在任期間を同じくする選挙区選出議員の第一項に規定する再選挙(当選人がその選挙における議員の定数に達しないことによる再選挙に限る。)又は在任期間を異にする選挙区選出議員の同項に規定する再選挙(選挙の一部無効による再選挙を除く。)が行われるとき。
6  (再選挙の規定につき省略)
7  衆議院議員及び参議院議員の再選挙又は補欠選挙は、その選挙を必要とするに至つた選挙についての第二百四条又は第二百八条の規定による訴訟の出訴期間又は訴訟が係属している間は、行うことができない。この場合において、これらの期間に第一項又は第二項に規定する事由が生じた選挙についての前各項の規定の適用については、第一項中「これを行うべき事由が生じた日」とあるのは「第二百四条若しくは第二百八条に規定する出訴期間の経過又は当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙については、中央選挙管理会)の第二百二十条第一項後段の規定による通知の受領のうちいずれか遅い方の事由が生じた日」と、第二項から前項までの規定中「これを行うべき事由が生じた場合」とあるのは「第二百四条若しくは第二百八条に規定する出訴期間の経過又はこれらの規定による訴訟が係属しなくなつたことのうちいずれか遅い方の事由が生じた場合」とする。
8  衆議院議員及び参議院議員の再選挙及び補欠選挙の期日は、特別の定めがある場合を除くほか、次の各号の区分により、告示しなければならない。
一  衆議院議員の選挙にあつては、少なくとも十二日前に
二  参議院議員の選挙にあつては、少なくとも十七日前に

とあり、公職選挙法第33条の2第7項が答えということになります。
なお、参考までに、

衆議院議員又は参議院議員の選挙の効力に関する訴訟)
第二百四条  衆議院議員又は参議院議員の選挙において、その選挙の効力に関し異議がある選挙人又は公職の候補者(衆議院小選挙区選出議員の選挙にあつては候補者又は候補者届出政党、衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては衆議院名簿届出政党等、参議院比例代表選出議員の選挙にあつては参議院名簿届出政党等又は参議院名簿登載者)は、衆議院小選挙区選出)議員又は参議院(選挙区選出)議員の選挙にあつては当該都道府県の選挙管理委員会を、衆議院比例代表選出)議員又は参議院比例代表選出)議員の選挙にあつては中央選挙管理会を被告とし、当該選挙の日から三十日以内に、高等裁判所に訴訟を提起することができる。
衆議院議員又は参議院議員の当選の効力に関する訴訟)
第二百八条  衆議院議員又は参議院議員の選挙において、当選をしなかつた者(衆議院小選挙区選出議員の選挙にあつては候補者届出政党、衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては衆議院名簿届出政党等、参議院比例代表選出議員の選挙にあつては参議院名簿届出政党等を含む。)で当選の効力に関し不服があるものは、衆議院小選挙区選出)議員又は参議院(選挙区選出)議員の選挙にあつては当該都道府県の選挙管理委員会を、衆議院比例代表選出)議員又は参議院比例代表選出)議員の選挙にあつては中央選挙管理会を被告とし、第百一条第二項、第百一条の二第二項、第百一条の二の二第二項若しくは第百一条の三第二項又は第百六条第二項の規定による告示の日から三十日以内に、高等裁判所に訴訟を提起することができる。ただし、衆議院比例代表選出)議員の選挙においては、当該選挙と同時に行われた衆議院小選挙区選出)議員の選挙における選挙又は当選の効力に関する事由を理由とし、当選の効力に関する訴訟を提起することができない。
2  衆議院比例代表選出)議員の当選の効力に関し訴訟の提起があつた場合において、衆議院名簿届出政党等に係る当選人の数の決定に過誤があるときは、裁判所は、当該衆議院名簿届出政党等に係る当選人の数の決定の無効を判決しなければならない。この場合においては、当該衆議院名簿届出政党等につき失われることのない当選人の数を併せて判決するものとする。
3  前項の規定は、参議院比例代表選出)議員の選挙の当選の効力に関する訴訟の提起があつた場合について準用する。この場合において、同項中「衆議院名簿届出政党等」とあるのは、「参議院名簿届出政党等」と読み替えるものとする。

共同通信社間違っています。
所詮みんなこの程度。これじゃ、この条文忘れた政党を責めれんわなぁ。