祝日法改正についての技術的考察


こういう記事がありました。

みどりの日>「昭和の日」に改正へ 今国会で成立見通し
 4月29日の「みどりの日」を「昭和の日」に改める祝日法改正案が今国会で成立する見通しとなった。30日の自民、公明両党の幹事長らの会談で、今国会成立を目指すことで一致したためだ。
 4月29日は昭和の「天皇誕生日」。同改正案は「昭和の日」の意義を「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧みる」と規定している。祝日の「みどりの日」は5月4日とする。
 同改正案は02年に議員立法で提出され、03年の通常国会衆院を通過したが、参院で継続審議となり、同年秋の衆院解散に伴い廃案となった。昨年再提出され、継続審議になっていた。【坂口佳代】
毎日新聞) - 3月30日20時21分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050330-00000100-mai-pol


コンパクトに良い感じでまとまっていていますが、具体的にどう変わるのは、自分で調べるしかありません。

追記(こっちの方が一般向け):
この種の記事に関連して、名称が変わるだけ…と思っている方もおられますので、朗報を。
http://d.hatena.ne.jp/setsura/20050330/1112196142
http://d.hatena.ne.jp/cateyes/20050331/
以下にも触れていますが、この改正によって5/4が祝日となり、
今までは、5/3、5/4が日曜のときは5/3-5/5の三連休にとどまっていたのが、
(ここでは土曜日は休日と考えません。)
5/3、5/4が日曜の時は5/6が代休になることで四連休になり、
毎年ではありませんが、1日休日が増えることになります。これが今の法律案。
休みが欲しい!という観点からすると、4/29が昭和の日になることではなく、
5/4がみどりの日として祝日になることの方が重要だったりします。
そういうことからすると、この記事も完全にまとまっているわけではありませんね。
※ちなみに以下の記事はややこしい話なので興味ある方だけどうぞ。

ということで、調べてみました。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/g15901014.htm

第一五九回
衆第一四号
   国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案
 国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)の一部を次のように改正する。
 第二条みどりの日の項を次のように改める。
  昭和の日 四月二十九日 激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。
 第二条憲法記念日の項の次に次のように加える。
  みどりの日 五月四日 自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。
 第三条第二項中「あたるときは、その翌日」を「当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日」に改め、同条第三項中「日曜日にあたる日及び前項に規定する休日にあたる日を除く。」を「「国民の祝日」でない日に限る。」に改める。
   附 則
 この法律は、平成十八年一月一日から施行する。
     理 由
 国民の祝日として昭和の日を加えるとともに、みどりの日を五月四日とする等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g15901014.htm

国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案要綱
第一 昭和の日の新設(第二条関係)
 一 国民の祝日として、新たに昭和の日を加えること。
 二 昭和の日は、四月二十九日とすること。
 三 昭和の日の意義は、「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。」とすること。
第二 みどりの日の改正(第二条関係)
  みどりの日を五月四日とすること。
第三 その他(第三条関係)
 一 国民の祝日が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い国民の祝日でない日(現行は、国民の祝日の翌日)を休日とすること。
 二 その他所要の整理を行うこと。
第四 施行期日(附則関係)
  この法律は、平成十八年一月一日から施行すること。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/youkou/g15901014.htm

ここで、
改正案の第三条第二項中「あたるときは、その翌日」を「当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日」に改め、同条第三項中「日曜日にあたる日及び前項に規定する休日にあたる日を除く。」を「「国民の祝日」でない日に限る。」に改める。
というのがややこしいのですが、

国民の祝日に関する法律(昭和二十三年七月二十日法律第百七十八号)(抄)
最終改正:平成一三年六月二二日法律第五九号
第二条  「国民の祝日」を次のように定める。
   みどりの日 四月二十九日
                  自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。
   憲法記念日 五月三日
                  日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する。
   こどもの日 五月五日
                  こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。
第三条  「国民の祝日」は、休日とする。
2  「国民の祝日」が日曜日にあたるときは、その翌日を休日とする。
3  その前日及び翌日が「国民の祝日」である日(日曜日にあたる日及び前項に規定する休日にあたる日を除く。)は、休日とする。
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%8f%6a%93%fa%96%40&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=S23HO178&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1

どういうことかとうと、今までは3条3項でにより、5/4が日曜や5/3日曜の代休でない場合だけ休日になっていたので、
「2 「国民の祝日」が日曜日にあたるときは、その翌日を休日とする。」
という規定でたりたのが、これが祝日となったことで、5/3、5/4が日曜となったときは、翌日も祝日なので不都合というわけで、
「2 「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。」
として、要は5/3-5/5のいずれかが日曜なら5/6日が代休になるということ。


次に3条3項なんですが、
「3 その前日及び翌日が「国民の祝日」である日(日曜日にあたる日及び前項に規定する休日にあたる日を除く。)は、
   休日とする。」
具体的にいえば、5/3と5/5の「国民の祝日」に挟まれた5/4は、先に述べたように日曜や5/3の代休でない場合には休日にします、
という規定。
確かに、これをこのままにすると、「その前日及び翌日が「国民の祝日」である日」である5/4は、
日曜日にあたる日及び前項に規定する休日にあたる日(代休)でもないことから、祝日なのに休日となり不都合である。
そこでこれを改める必要が生じる。
本法律案はこれを
「3 その前日及び翌日が「国民の祝日」である日(「国民の祝日」でない日に限る。)は、休日とする。」 にするという。
確かに、こうすれば5/4は「国民の祝日」なので重ねて休日になるという事態は回避される。
しかし、それならば、そもそも3条3項は削除すればいいのではないか?とも思えるのである。
実際、その前日及び翌日が「国民の祝日」である日は現在のところ5/4しかない。

訂正:
と思っていたのだが、9月で9/23が秋分の日とした上で、
敬老の日が一番遅い設定つまり21日(月)となる場合(直近では2009年9月)には
22日が「その前日及び翌日が「国民の祝日」である日」となる。
よって、このような改正を行う必要があるということになる。


したがって、以下の文は削除します。(2005.4.8)

その5/4が国民の祝日になるのだからそもそも3条3項は不要なのである。
一方で、何らかの法律により、その前日及び翌日が「国民の祝日」が生じる場合に、
(例えば、11/5に憲法改正投票をするので、その日を祝日にするという法律ができたような場合)
11/4は「その前日及び翌日が「国民の祝日」である日」であってこの日を休日にするという意図があるのであれば、
(日曜日にあたる日及び前項に規定する休日にあたる日を除く。)という部分を残した上で、「国民の祝日」を加え、
(日曜日にあたる日、国民の祝日及び前項に規定する休日にあたる日を除く。)とするべきなのである。
そうでないと、上の例でいうならば、11/3が日曜である場合、11/4は2項による休日となると同時に、
3項によっても休日なり重ねて休日となってしまうからである。
実体的な検討としては二通りの考え方があるが、いずれにせよ、提案されているような法文には問題があるように思われる。

追記:
なお、改正祝日法の施行期日は「この法律は、平成十九年一月一日から施行する。」と修正された上で可決、成立し、
平成17年5月20日に(平成17年)法律第43号として公布されました。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1D9A936.htm