盗まれないようにするな!というのはナンセンスだけど…

盗難カード救済3分類、重過失なら補償せず…金融庁
 金融庁は13日、偽造・盗難キャッシュカードによる預貯金の不正引き出しの被害者救済策を発表した。
 盗難カードの被害補償について、預金者の過失の度合いを〈1〉無過失〈2〉軽過失〈3〉重過失――の3段階に分け、過失の度合いに応じて金融機関の補償割合を定めたのが特徴だ。
 救済策によると、預金者に落ち度が無い場合、金融機関が全額を補償する。カードの暗証番号に預金者の生年月日や電話番号など他人に推測されやすい数字を使用していた場合は軽過失とみなし、預金者と金融機関で被害を50%ずつ負担する。カードに暗証番号を書き込んでいた場合などは重過失とみなし、金融機関は補償しないとした。預金者の過失の立証責任は金融機関が負う。
 原則として金融機関が全額補償する偽造カード被害への対応と異なり、盗難カード被害のすべてについて全額補償としなかったのは、盗難被害を装って金融機関から補償をだまし取る「なりすまし」犯罪を抑止するためだ。
 今回の被害者救済策は金融庁有識者研究会の議論を取りまとめたもの。これとは別に、自民党はカードの不正利用被害救済の立法化を目指しており、金融庁案より盗難カードへの補償を手厚くする方向で最終調整している。政府・与党の結論がまとまるまでにはなお流動的な要素がある。
(読売新聞) - 5月13日10時41分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050513-00000301-yom-bus_all

クレジットカードと違い、暗証番号がないと使えないキャッシュカードに補償が必要なのかどうか、
いまだによくわからない。
一説によればカードから暗証番号がわからなくても引き出せるカードを作成することが可能だそうなのだが…。
参考:http://www.security-joho.com/topics/2005/vardhigaibousi.htm
今実際に行われている犯罪はどうやって暗証番号の壁を処理しているの?
結局は別途暗証番号を入手していると思うのだが…。
そういう意味では、盗難カードも偽造カードも一次的には預金者の責任は暗証番号に尽きる。
暗証番号の入力が行われて引き出された、ということを前提にすれば、
まずは預金者の暗証番号管理についての過失判断が問題となる。
筆者としてはここで、生年月日、電話番号、住所(郵便番号)を用いるのは重過失(=補償なし)でもいいと思う。
もっとも、この案のように軽過失だとしても、銀行はこれらについては登録できないシステムにしてもよいだろう。
登録時に責任は預金者が負う旨の確認をしてもよい。
こんな暗証番号ともいえない暗証番号を利用する預金者を救済すべき理由は一切ない。


さて、立証責任をどちらに負わせるかは難しい。
暗証番号が推知容易な番号であったことの立証責任を銀行に科しても不都合はない。
暗証番号は銀行側で管理しているし、これらの預金者の事情を知るのはそれほど困難ではない。
一方で、例えばカードに番号を書いていないという事情をどちらに負わせるかはかなり難しい。
どっちに負わせるしても現実的に不可能のように思うのである。
負わされた方が負けである。仮にカードに書いてあったとしてもどうやって立証するのか?
偽造カードなら正規カードは手元にあるけど、盗難の場合こそ手元にないんだし。
それとも銀行に負わせることにより、カードに書けないような対策をさせるのか?
でも、財布にカードとメモをはさんだ場合はどうか?となるとどうしようもない。
(メモの存在を銀行が立証することも、不存在を預金者が立証することもきわめて困難である。)
この立証責任を銀行に科してしまうと結局補償せざるを得ないように思われるのである。
金融庁は暗に今のカード(本人認証システム)ではもうダメだとでもいいたいのだろうか?
なんにせよあまりに過保護な内容にはしてほしくない。