録画ネット事件(3)〜放映権?ほか

録画ネット事件(1)〜選撮見録その6〜録画ネット決定(1)事案紹介と判旨
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050203#1107399229
録画ネット事件(2)〜選撮見録その7〜録画ネット決定(2)評釈
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050209#1107879578

impressに録画ネット事件に関する記事があった。
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2005/05/20/7690.html
この記事に関する記述をもとに少しだけコメント。

春日氏は、NHKとの交渉の過程で「五輪などのスポーツ中継においては、放映権の契約の中に『海外への番組流出を防止する』ことを義務付ける条項があり、このようなサービスを認めるとその条項に引っかかってしまう」と言われたことがあるとも発言。原田氏も「もし本当にそれで放映権の契約に問題が発生するのなら、我々も日本国内の多数の視聴者に迷惑をかけるのは本意ではないのでサービスを止める用意はある」と述べつつ、「具体的にそれにより放送局側にどのくらいの損害が発生するのかがわからないとこちらも判断しようがない」と、放送局側の情報公開を求めた。

ただ、私的複製として許容される範囲内については放送局のコントロールはそもそも及びえない。
私的複製にあたらないのであれば、放映権云々に関わりなく著作隣接権著作権)を根拠にコントロールしうる。
しかし、私的複製に当たる場合には、日本国著作権法上放映権なるものを理由に私的複製を制限できるか、
ということを検討する必要があるように思う。
放映権に基づき放送されたものをどう扱うは一義的には個人の領域のことである。
少なくとも私的複製の許容範囲内にあたる行為、さらに個人的な事項についてまで放映権者が干渉するのはどうかと思うし、
そこに法律が介入するのもおかしいと思うのだが…。
レコード事業者が私的録音補償金をめぐって馬鹿騒ぎしているが、放映権云々もそれと同じことのように思う。
権利者側が時代の流れについていかなくてはならないのである。
その怠慢を救済すべく、わざわざ法を拡大解釈して個人の自由を害するのは裁判所の採るべき措置ではないであろう。


ちなみに録画ネット 日本のテレビ番組を海外でもにはいろいろ資料がそろっています。
http://www.6ga.net/x_shiryo.php


あと、直接関係ないのだが、
http://www.6ga.net/macintosh.phpのテストファイルはちゃんと権利処理してるのかなぁ?
NHKの番組のように思うのだが…。
http://www.6ga.net/trial1.phpのファイルは筆者の環境では再生できなかったので、
何のファイルかわからないのだけど…。こちらも場合によっては同様である。

文献紹介
柴野相雄「差止請求は誰に行われるのか? 「録画ネット事件」から考える著作権の侵害主体性論」
ビジネス法務5(4) 110-114,2005/4
http://webcat.nii.ac.jp/cgi-bin/shsproc?id=AA11504883
所蔵少なし…
http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/index.html