棋泉vs米長邦雄訴訟(4)

棋泉vs米長邦雄訴訟
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050520/1116520052
棋泉vs米長邦雄訴訟(2)
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050521/1116607505
棋泉vs米長邦雄訴訟(3)
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050523/1116786786

こんなのがありました。
将棋サイトの方が原告本人にした一問一答なので、
法律的な主張はいまいちよくわからないままなのですが…。
一応あったので更新してみた、という程度。

訴訟に関する一問一答
質問者 Web駒音管理人・こばやし
http://www.koma.ne.jp/mario/yonenagaq&a.htm

ところで、原告サイトはこのWeb駒音の下位にあるのですが、どういう御関係なんでしょう?
さて、内容について。
なお、筆者は将棋界のごたごた(選挙?)?には関心ないので、
あくまで訴訟に関係する部分についてのみ触れます。

1.提訴の時期
こばやし
ただ今訴状を読ませて頂きまして、初めて詳しい事情を知りました。
Web駒音の掲示板には様々な疑問・質問が寄せられています。
管理人として、掲示板を代表し、質問させてください。
まず基本的な確認ですが、武者野先生が社長をしている(株)棋泉から
『将棋セミナー21』(初級・中級。上級)が同時発売されたのが2000年5月。
約1年が経過し、米長氏の「失敗作である。市場に出ているのが恥ずかしい」
との強い要望により、発売停止・強制廃棄になったのがその1年後ですよね。
ところがさらにその1年後、2002年3月にサクセスから
『みんなの将棋』(初級・中級。上級)が同時発売され、
失敗作と指摘され発売停止になった『将棋セミナー21』の内容がほとんど
同じだったというのが今回の訴訟に至る経過であると報じられています。
要点としてはこれでよろしいですか?


武者野
だいぶ端折っていますが、大筋としてはそういうことです。

せっかくなので端折ってほしくなかったですねぇ。
両者が似ているから…どこがどう似ているのかそこがポイントなんですよ。
なるほど、初級・中級・上級というは3部作ということなんですね。
で、今度の同じ三部作で「内容がほとんど同じ」だったと。
要点でもなんでもないですが、まぁ、ちょっとは理解しました。
訴状読まれたのでしたら、もう少し詳しく教えて>こばやしさん。

こばやし
Web駒音の掲示板で、まっさきに呈された疑問が、
「『みんなの将棋』(初級・中級。上級)が発売されたのが3年前のことなのに、
それがなぜ今頃になって提訴を決意したのだろう?」ですね。
(略)
こばやし
ということは、この時期の提訴はまったく偶然だと?


武者野
米長氏のHPに今日初めて『時効』という文字が躍っていましたね。
『時効』というのが大きなキーポイントです。
できるなら(社)日本将棋連盟棋士同士の訴訟は避けたかったので、交渉しよう
と粘り強く人を介してましたが、まったく取り合う姿勢がありませんでした。
著作権侵害の時効は3年だそうです。2002年3月7日から3ヶ月間に
短期集中販売されていたとすると、時効は2005年6月7日に成立。
実際はもう少し長い間販売されていたのでしょうが、とにかく時効を
迎えると訴えの根拠自体が消滅してしまう。
(略)


こばやし
なるほど、傍目からは気がつかない時効というキーポイントがありましたか。

あの米長氏のサイトが何を言いたいのか、筆者にはよくわかりません。
訴えられて極めて遺憾ってのはあるのでしょうが、「何か立証できますよ」って言いたげ。
でも何を立証できるのか。そもそもの争点がわからないから(つまり双方とも実は主要なことは何も語ってない)
何のことなのか?
さて、「なんでこの時期に?」ってのはたいがい時効です。
でもここで「著作権侵害の時効は3年だそうです」ってことは、民事不法行為一般の民法724条で考えた。
そうだとすれば、これは損害及び加害者を知ったときから3年なので、必ずしも販売時が起算点ではないかと思うのですが…。
違います?>弁護士さん
ちなみに、著作権法自体に時効の規定はないので、どう理解するかはいろいろありそうですけど、割愛。

両ソフトの一致性
こばやし
ところで先に公開した画面比較ですが、「たまたま一部が一致しただけでは?」と
大泉逸郎の歌―『孫』でしたか、これなどを例に出した疑問の声もありましたが?


武者野
講座と問題集は順番や構成の違いこそあれ、「完全一致」と言っていいです。
そのような疑問の声があるのでしたら、HPの画面比較を増やしておきます。

私見では、「順番や構成の違い」も重要な判断要素であり「完全一致」ではありません。
特に上級と中級と初級の分類に違いがあれば、かなり異なってくるかと思います。
一方、同一のところに全く同一の問題が取捨選択され、まったく同じ表現で出題されているならば、
当該点につき、侵害性は認められる可能性はありそうです。
このあたりはすでに述べたことと同じ。

著作権に関する契約
こばやし
この件が報道され始めた当初は沈黙を守っていた米長氏でしたが、
最近になって「商品(将棋セミナー21)については、両者の契約書の第一条に、著作権及び著作者人格権米長邦雄に帰属する。と書いてあります。」
とご自分のHPに発表しました。


武者野
「甲(株式会社米長企画)の作成した詰め将棋の問題及び実戦棋譜解説らに
含む表現についての著作権及び著作人格権は甲に帰属する」との
限定的な表現はあります。
「(一部は)米長に帰属)」の「(一部は)」を省いて記述すると、
意味が全く反対になりませんか?


こばやし
確かに米長HPだけを読んだ人にとっては反対の意味に受け取れますね。

世の中そんなもんです。
そうでなければ、ここの契約書の話はでたのか?ということを考えると…
そもそも、武者野氏のサイトを読んでいる人は原告の一方的な主張を聞いているだけ。
筆者ももちろんそうですが…。

武者野
第一条の意味するところは『将棋セミナー21』に収録された
入門講座や上達講座、それに連動する問題集とは一線を画して、
米長氏著作の本から収録した詰め将棋と、実戦棋譜解説の表現についての
米長氏の著作権を認めたものです。
それでさえもデジタル化権(著作隣接権)は別のものですし、ソフト全般にわたる
著作権の全てが米長氏にのみあるという考え方は無理がありすぎます。