著作権法の視覚障害者のための配慮

健さんが自作エッセー朗読、CDに…盲学校などへ寄贈
 俳優の高倉健さんが、自身のエッセー「南極のペンギン」(集英社刊)を朗読したCDを自主制作した。
 出版後、全国から「目の不自由な人のために、点字にしたり、朗読の録音をしたりしていいか」との問い合わせが相次いだことから、CD化を考案。作曲家の宇崎竜童さんが無償で音楽担当を引き受け、2年がかりで仕上げた。完成したCDは今月から、全国の盲学校、公立図書館などに寄贈されている。
 「南極のペンギン」は、高倉さんが撮影で訪れた世界各地の人々や出来事をつづった全10編のエッセー集で、2001年に出版された。表題作では、南極のブリザードに遭遇した体験や巣作りに励むペンギン夫婦の姿などを情感を交えて描いている。これまでに12万部が売れるベストセラーで、今年春から小学6年生の国語の教科書にも採用されている。
 高倉さんのもとに点字化などの許可を求めてきたのは、図書館の担当者ら。「できたら健さん自身の声で聴いてみたい」という意見も多く添えられていたことから、高倉さんは自らの朗読をCDにすることを決意。「一編ずつ色合いの違う物語に合うオリジナル曲をつけたい」と、03年、親交がある宇崎さんに依頼した。
(以下、略)
(読売新聞) - 6月23日15時38分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050623-00000506-yom-ent

世の中、著作権に配慮しているのか、配慮していないのか。
「目の不自由な人のために、点字にしたり、朗読の録音をしたりしていいか」
道義的には聞いた方がよいのかもしれないが、著作権法としては、点字による複製には権利者の許諾は不要である。
また、一定の場合には、無断で視覚障害者のために録音することも可能である。

著作権法(昭和四十五年五月六日法律第四十八号)
点字による複製等)
第三十七条  公表された著作物は、点字により複製することができる。
2  公表された著作物については、電子計算機を用いて点字を処理する方式により、記録媒体に記録し、又は公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。)を行うことができる。
3  点字図書館その他の視覚障害者の福祉の増進を目的とする施設で政令で定めるものにおいては、専ら視覚障害者向けの貸出しの用に供するために、公表された著作物を録音することができる。


著作権法施行令(昭和四十五年十二月十日政令第三百三十五号)
(著作物等の録音が認められる施設)
第二条  法第三十七条第三項 (法第百二条第一項 において準用する場合を含む。)の政令で定める施設は、次に掲げるものとする。
 一  児童福祉法 (昭和二十二年法律第百六十四号)第七条 の知的障害児施設(専ら視覚障害を併せ有する児童を入所させるものに限る。)及び盲ろうあ児施設(専ら同法第四十三条の二 の盲児を入所させるものに限る。)で国、地方公共団体又は公益法人が設置するもの
 二  身体障害者福祉法 (昭和二十四年法律第二百八十三号)第五条第一項 の身体障害者更生施設(専ら視覚障害者を入所させるものに限る。)及び視聴覚障害者情報提供施設(点字刊行物及び視覚障害者用の録音物を視覚障害者の利用に供するもの並びに点字刊行物を出版するものに限る。)で国、地方公共団体又は公益法人が設置するもの
 三  学校図書館法 (昭和二十八年法律第百八十五号)第二条 の学校図書館で学校教育法第一条 の盲学校に設置されたもの
 四  老人福祉法 (昭和三十八年法律第百三十三号)第五条の三 の養護老人ホーム及び特別養護老人ホーム(専ら視覚障害者を入所させるものに限る。)
 五  学校教育法第一条 の大学(専ら視覚障害者を入学させる学部又は学科を置くものに限る。)に設置された図書館及びこれに類する施設の全部又は一部で、録音物を専ら当該学部又は学科の学生の利用に供するものとして文化庁長官が指定するもの
2  文化庁長官は、前項第五号の指定をしたときは、その旨を官報で告示する。

「高倉さんのもとに点字化などの許可を求めてきたのは、図書館の担当者ら」。
図書館職員さん、点字化に「許可」はいりませんよ。一般図書館の場合、録音には「許可」がいりますけど…。
もう少し、著作権法を勉強してね。権利を守るだけでは、文化の発展にはつながりませんよ。
高倉さんが良い人だったからよかったんだけど…。

南極のペンギン (集英社文庫)

南極のペンギン (集英社文庫)