メディア学教授vsマスコミ

http://d.hatena.ne.jp/akehyon/20050707でも話題になったＷ教授こと渡辺武達教授の逆襲？

名誉棄損と新潮社を提訴　同志社大・渡辺教授
　週刊誌に誤った事実を掲載され、名誉を棄損されたとして、同志社大社会学部の渡辺武達教授(61)が「週刊新潮」出版元の新潮社（東京都新宿区）と編集長、記者を相手に１３日、誌上と新聞への謝罪文の掲載と慰謝料３２００万円を求めて京都地裁に提訴した。
　訴状によると、今月７日に発売された週刊新潮は「（渡辺）教授の教材はＡＶビデオ」などと誤った事実を見出しに付け「とんでもない講義をしている」と不当に論評。教授の学問的、社会的評価を大きく低下させたとしている。
　渡辺教授は「メディアの自己規制や自立努力についての講義で、日本ビデオ倫理協会が制作した広報ビデオを使った。いわゆるＡＶビデオなるアダルトビデオでないことは明らか。今回の行為は許される範囲を超えた社会的犯罪だ」と話している。
（京都新聞） - 7月13日14時34分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050713-00000020-kyt-l26

「週刊新潮で名誉棄損」と提訴＝同志社大教授、講義でビデオ−京都
　「週刊新潮」の記事で名誉を傷つけられたとして、同志社大社会学部の渡辺武達教授（61）が13日、発行元の新潮社や執筆したジャーナリストらに計3200万円の損害賠償と謝罪文の掲載などを求める訴訟を京都地裁に起こした。
　同誌7月14日号は、渡辺教授が講義で「日本ビデオ倫理協会」制作の広報ビデオを約3分間映して「ボカシを入れればいいって問題じゃないですね」と言い、学生は意図が分からずに困惑したという内容の記事を掲載した。　
（時事通信） - 7月13日13時2分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050713-00000039-jij-soci

筆者は新潮の記事を見ていないので、あくまで上記２記事からの推測。
この記事の伝えたかったことは何？
タイトルからすると、意図がわからなかった同志社大学の学生のレベルの低さを指摘する記事ではないよね？
おそらく、「教材はＡＶビデオ」を使ったのが（その他の態様ともあわせて）問題だということなのでしょう。
そういう前提で話をすすめると、まずそもそもそのような報道が名誉毀損か？ということになる。
社会学の教授が授業で「ＡＶビデオ」を使っても必ずしもダメとはいえず、
講義との関連で必要なものであれば使うこと自体妨げられるものではないでしょう。
そういう意味では、このような報道をして、一般人をして社会的評価を低下させるという評価自体がどうかということになります。
国民の教養不足か仕方ないのか、いずれにせよ、実際上はそういうことをわかっていないわけで、名誉毀損が成り立つでしょう。
では、違法かどうか？
これも真実であればいいわけですが、重要部分真実論からすれば、
「ＡＶビデオ」そのものでなくても「日本ビデオ倫理協会」制作の広報ビデオにアダルトシーンを含んでいるだけでも、
真実性は肯定されうる。おそらくそういうシーンを見せたことが問題だ、と言いたいだろうから。
（そうではなくて、「ＡＶビデオ」だから問題だ、ということも考えられくはないけど……。）
とすれば、「日本ビデオ倫理協会」制作の広報ビデオか「ＡＶビデオ」かの違いはどうでもいいこと、となる。
（もちろん、正確性に欠くという意味では、妥当性を欠く報道ではある。）
そうだとすれば、単に「とんでもない講義をしている」と評価することかおかしいというにとどまることになる。
不当な論評は、前提となる事実に誤りがなければ、よほどの悪意がない限り、問題にはならない。
あくまで対抗言論の世界ということになろう。
もしかしたら、新潮社の記事の執筆者が馬鹿なだけで、授業の意義を理解できなかっただけでは？ということもいえる。
仮定が重なるが、そのような性質のものであるならば、あくまで対抗言論の世界である。
そういう短絡的な思考が問題だよ、と言えばいい。ここは社会学の講義で小学校の授業ではない、ということを言えばいい。
専門が専門だけに、自分でメディア相手に名誉毀損訴訟をやってみるのとそれはそれで意義があるのかもしれませんが、
訴えるより先に対抗言論してもいいのではないないでしょうか？とかなり思ってしまいます。
以上、記事全体がわからないので、あくまで上記２記事からの推測での見解。
記事のコピーでも入手できればいいのだが…。

Doshisha University Prof. Takesato Watanabe's Seminar Room!(Media & Journalism)
http://www1.doshisha.ac.jp/~twatanab/

メディアの法理と社会的責任 (叢書 現代のメディアとジャーナリズム)