URLのプライバシー性

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 素朴な疑問なのですが、ウェブサイトのアドレス(URL)は、プライバシーとして保護の対象になるのでしょうか?また、そこでコンテンツを発表するために使うハンドル(ハンドルネーム)についてはどうでしょうか?やはりこれも、プライバシーとして保護の対象になるのでしょうか? ちょっと考えると、URLにしてもハンドルネームにしても、もともとWWW上に公開され、コンテンツを発信することを目的としているものですから、プライバシーと言えるかどうか疑問なのですが。

まず、プライバシーの意義が問題となるが、ここでは、質問文からは「公開されない権利」として捉えておく。
その上で質問を整理すると、「URL及びその作者名」を勝手に公開されない権利があるのか?ということになる。
結論からいえば、通常このようなものを肯定するのは、極めてナンセンスと言わざるを得ない。
少なくとも、ハンドルネームと合致した形でのURL情報には、秘匿性は認められない。
この理はハンドルネームが実名である場合でも同様である。
ハンドルネームに対して「こいつの正体は○○(実名)だ」とでも言わない限り、プライバシー侵害ではない。
また、同一又は別のハンドルネームでも別人格として作成している場合に同一性を指摘される場合にも、
プライバシー侵害の余地は認められるように思う。


問題は、隠しページや公開を欲していないような場合。
WWWの特質からして、公開原則を採れば、プライバシー性否定されるべきだが、
そうは考えないなら、一応の保護は可能ということにもなる。
いろいろ議論の余地はあろうが、悪意でない限り不法行為としての違法性は認められない、
つまり損害賠償の対象とは通常ならない、というべきように思う。
では、差止(削除)を求めうるかであるが、これも難しい。
差止は一般に人格権に基づくが、本人自身がWWWに掲載した場合に、
そのような権利を保護するべき必要性は低く、認められる可能性は低いように思う。
そして、URLにいわゆる個人情報が含まれても、本人のサイトURLである限りでは同様である。
ただし、他人のそれを用いた場合には、プライバシー性があることになる。
しかし、これはURL自体のプライバシー性とは区別するべきであろう。


さて、いわしによれば、

以前、ある同人誌作者のウェブサイトの所在を尋ねる質問をしたところ、プライバシーの侵害という理由で当の本人から抗議を受け、はてなから質問削除の措置を受けたことがありました。
 最初は本人がそう言うのならそうなのだろうと納得したのですが、時間がたつにつれてだんだん釈然としない気持ちが湧いてきて、はたしてウェブサイトのURLはプライバシーに当たるのかどうか質問してみました。
 どうやらURLはプライバシーには当たらないようで、自分は悪くなかったのだと確認できてほっとしました。ありがとうございました。
http://www.hatena.ne.jp/iwashi?mode=detail&iid=48274

とある。
サイトのURLを訪ねるというのは、リアルでの住所を問うのと異なりプライバシー侵害とはいえないであろう。
はてなは削除したとのことであるが、この措置は問題であろう。
しかも、インターネット関連会社がそのような判断をするに至ったのだから、おもしろい。
はてなの中の人は法的思考力が著しく欠如しているよなぁ、というのが彼らの言動から窺えます。


こういうのにいちいち個人情報保護法を持ち出す人が多いですが、
○○さんの書いた本って何でしたっけ?
○○議員って何党所属でした?というのは、個人情報保護法とは関係ありません。