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橋梁談合事件、道路公団の金子恒夫理事を逮捕
日本道路公団発注の鋼鉄製橋梁（きょうりょう）工事を巡る談合事件で、東京地検特捜部は１日、独占禁止法違反（不当な取引制限）のほう助容疑などで逮捕された公団副総裁の内田道雄容疑者（６０）と共謀し、業者間の受注調整を助けたなどとして、公団理事の金子恒夫容疑者（５７）を同法違反のほう助と背任の疑いで逮捕した。
現職役員の逮捕は２人目で、「官製談合」が公団内部で組織的に行われていた構図が浮き彫りとなった。
特捜部の調べによると、金子容疑者は２００４年５月、当時、技師長だった内田容疑者と共謀、元公団理事の神田創造容疑者（７０）（元横河ブリッジ顧問）から依頼を受けて、静岡建設局（現関東第２支社）が一括発注する予定だった第２東名「富士高架橋」工事を分割発注するよう同局職員に指示し、談合を手助けした疑い（独禁法違反のほう助）。また、分割発注で少なくとも５０００万円を余計に支出させ、公団に損害を与えた疑い（背任）も持たれている。
金子容疑者は内田容疑者とは別に、神田容疑者から分割発注の依頼を受け、５月中旬に公団本社で開かれた富士高架橋工事に関する理事への説明会議に、内田容疑者とともに出席。内田容疑者が発注担当者の意向に反して分割発注するよう指示した際、それに賛同する発言をしていた。また、金子容疑者は会議後、分割発注すれば余分に工事費がかかることを職員から指摘されたが、「これでいい」と押し切り、分割発注を決裁した。
金子容疑者は１９７０年に公団に入社。２００４年２月に理事に就任後、橋梁業界の担当を内田容疑者から引き継いでおり、神田容疑者が受注調整役をしていることも認識していた。また、神田容疑者から富士高架橋の分割発注だけでなく、発注の前倒しなど、業界の利益につながる依頼を複数回にわたって受けて、応じていたという。
◇
東京高検は１日、公団ルートで神田容疑者ら５人と法人６社を独禁法違反の罪で東京高裁に起訴した。
個人で起訴されたのは、神田容疑者のほか、三菱重工業元橋梁部次長・田中隆容疑者（５４）、石川島播磨重工業元橋梁営業部長・清宮正美（４９）、横河ブリッジ理事・横山隆（５９）、川田工業元執行役員・清水賢一（５８）の各被告（国土交通省ルートで起訴）。
法人は、横河ブリッジ、三菱重工業、石川島播磨重工業、川田工業、ＪＦＥエンジニアリング、宮地鉄工所。談合には計４７社が関与したが、起訴対象は２００３、０４年度の公団発注の橋梁工事で、受注額が多い上位６社に絞られた。
（読売新聞） - 8月1日21時12分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050801-00000012-yom-soci
公団理事の金子恒夫容疑者が逮捕されたとのこと。
ちなみに、金子恒夫容疑者についても、内田道雄容疑者同様公団生え抜き理事である。
理 事 金子 恒夫
昭和４５年４月 公団入社
平成１３年４月 公団東北支社長
平成１６年２月１日 公団理事
http://www.jhnet.go.jp/about/act/intro/org/taisyoku/yakuin.html
今改めて、日本道路公団組織図（http://www.jhnet.go.jp/about/act/intro/org/index.html）をみると、
副総裁 内 田 道 雄 休職
となっている。なお、彼の担当事務であった
中日本会社移行本部の事務並びに監査室及び管理事業統括部の事務
（管理グループ、保全グループ、施設グループ及び交通グループの事務に限る。
については、現在井上啓一理事・技師長が担当しているようである。
ちなみに金子恒夫容疑者については、現在
理 事 金 子 恒 夫 建設事業統括部の事務
となっている。
ところで、http://www.jhnet.go.jp/index.htmlをみると、
「8月1日 総裁からのメッセージを更新」とある。
7月26日付で「国民の皆様に深くお詫びいたします」という文章が掲載されていることは、
以前に書いたが（http://www.jhnet.go.jp/about/aisatu/22.html）、
あらためて「談合という病巣を手術します」という文章が掲載されている。
http://www.jhnet.go.jp/about/aisatu/index.html
ただ、この文章には、金子恒夫容疑者逮捕のことは触れられていない。
内田容疑者が25日逮捕、26日に文章掲載であってことからすると、
あくまで内田容疑者逮捕をうけて再度掲載した文章であろう。
決意表明をしたその日に理事がまた逮捕されるとは、公団の膿はまだまだあるのかもしれない。
最後に、神田容疑者らは東京高検に逮捕されて、東京高検に起訴。
一方、内田副総裁、金子理事は東京地検（特捜部）に逮捕。
昭和二十二年法律第五十四号（私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律）
（昭和二十二年四月十四日法律第五十四号）
第二条
６ この法律において「不当な取引制限」とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義をもつてするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。
第三条 事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。
第七十三条 公正取引委員会は、その法律の規定に違反する犯罪があると思料するときは検事総長に告発しなければならない。
２ 前項の規定による告発に係る事件について公訴を提起しない処分をしたときは、検事総長は、遅滞なく、法務大臣を経由して、その旨及びその理由を、文書を以て内閣総理大臣に報告しなければならない。
第八十九条 次の各号のいずれかに該当するものは、三年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
一 第三条の規定に違反して私的独占又は不当な取引制限をした者
二 第八条第一項第一号の規定に違反して一定の取引分野における競争を実質的に制限したもの
２ 前項の未遂罪は、罰する。
第九十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、当該各号に定める罰金刑を科する。
一 第八十九条 五億円以下の罰金刑
６月２９日 日本道路公団が発注する鋼橋上部工事の入札談合事件に係る告発について
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/05.june/05062904.pdf
８月 １日 日本道路公団が発注する鋼橋上部工事の入札談合事件に係る追加告発について
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/05.august/05080102.pdf
公取委：報道発表資料：http://www.jftc.go.jp/pressrelease/kankoku.htm
第八十五条 左の各号の一に該当する訴訟については、第一審の裁判権は、東京高等裁判所に属する。
三 第八十九条から第九十一条までの罪に係る訴訟
東京高裁に起訴＝東京高検が捜査はわかるんだけど、東京地検特捜部はなにゆえ？
背任罪があるから？
告発がないから？
第九十六条 第八十九条から第九十一条までの罪は、公正取引委員会の告発を待つて、これを論ずる。
２ 前項の告発は、文書をもつてこれを行う。
３ 公正取引委員会は、第一項の告発をするに当たり、その告発に係る犯罪について、前条第一項又は第百条第一項第一号の宣告をすることを相当と認めるときは、その旨を前項の文書に記載することができる。
４ 第一項の告発は、公訴の提起があつた後は、これを取り消すことができない。
などと考えながら検索していると、
Q．橋梁談合事件で、談合をしていた会社の捜査等は東京高等検察庁が行なっていたが、その後道路公団の副総裁の逮捕については、東京地検特捜部が行なっていた。類似の事件に、異なる検察庁が関与していたのはなぜか？
Ａ．橋梁談合事件は、公正取引委員会がその権限に基づき検事総長に告発をしました。これは、公正取引委員会の告発を待ってのみ行なわれるいわゆる専属告発といわれるもので、公正取引委員会が、このような経済事犯については専属的に判断をすべきという趣旨に基づいています。そしてこれは、迅速な結論を出すために、第１審の管轄が（地方裁判所ではなく）東京高等裁判所となっており、それに対応した検察庁である東京高等検察庁（東京高検）が捜査、検挙を行ないました。なお、公正取引委員会と検察当局が密に連絡をとるため、「告発問題協議会」が置かれています。
これに対し道路公団副総裁の罪状は、独禁法違反のほう助罪および背任罪で、公正取引委員会の専属告発事項ではなく、政治家の汚職や政官業癒着その他巨悪に対する専門的な捜査機関としての東京地方検察庁特別捜査部（東京地検特捜部）が摘発したもののようです。もちろん、国発注に関する談合も、公団発注に関する談合も、類似の事例であり、東京高検と東京地検は、密接に連絡・協力しながら、事件解明にあたっているものと思われます。
小樽商科大学商学部企業法学科道野助教授のサイト
http://www.res.otaru-uc.ac.jp/~mmichino/seikatsuroppou.html
というのがありました。
関連記事：
日本道路公団総裁の国民の皆さまへのお詫び
http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050727/1122399867
