小泉白紙委任選挙?

今回の選挙はかなり盛り上がっている。(マスコミが盛り上げている?)
国民が選挙に関心をもって、投票にいく、ということは、
民主政治が正常に機能しているということであり、歓迎すべきことだ。
(実際に投開票があるまではわからないが。)


さて、今回の総選挙は、小泉首相郵政民営化の是非をめぐって解散したことによるものだ。
したがって、郵政民営化の是非が、その中心になることは否定できない。
しかし、総選挙は郵政民営化法案の是非についての国民投票ではないし、
選挙後の特別国会で採決をとって、可決否決にかかわらずすぐに解散が予定されているという
実質的国民投票というわけでもない。あくまでも国民の代表たる国会議員選出の選挙である。
郵政民営化(6法案)賛成だから、与党。
郵政民営化(6法案)反対だから、野党、という単純思考で投票するわけにはいかない。
それにもかかわらず、首相である自民党小泉総裁は、郵政民営化一点であるという構図を主張し、
マスコミはそれを垂れ流し、助長してきたようにさえ感じるところである。
(ここ数日の更新のない間にいろいろかわってきたようなのだが…)
もちろん、有権者が、賛成にしろ、反対にしろ、他になにをおいても「郵政」をもとに判断し、
郵政民営化賛成=小泉内閣全面支持=小泉政権の施策に白紙的に全面支持する、というのであれば、それは構わない。
しかし、さすがに白紙委任までを認める有権者は少ないのではないだろうか?
加えて、首相である小泉総裁の任期は来年9月であるのに対し、衆議院議員の任期は4年。

総裁任期の延長 小泉首相が否定
 小泉純一郎首相は二十二日、衆院選で自公両党の獲得議席過半数を上回った場合、来年九月までの自民党総裁任期を延長して続投すべきだとの意見があることについて、「(任期延長の考えは)全くない。仮に今度の選挙で勝利を得ることができれば来年九月まで精いっぱい任期を務める。それ以降は考えていない」と改めて言明した。
 武部勤幹事長も報道各社のインタビューで「そんなこと(任期延長)は首相は全く言っていない。『自分の任期は来年九月までだ』と言っている」と語った。
産経新聞) - 8月23日3時18分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050823-00000006-san-pol

小泉総裁を全面白紙支持するとしても、小泉総裁は任期後のことは考えておらず、それ以降のことをどう考えるのか?
それは有権者だけでなく、自民党の主張としてもである。
この点を明らかにするのが(勝手の国民の知る権利を援用する)マスコミの仕事ではないか?
それにもかからず、刺客がどうのこうを伝えることに執着してきたマスコミは愚の骨頂であった。
勝谷氏はこう言っている。

実は私は今回の小泉の解散総選挙の手法を「悪徳リフォーム業者と同じだ」と主張してきている。……痴呆が始まったようなお年寄りに接近し「シロアリがいましたよ」などと言う。その一点から突破してあれこれほかにも危ないところを発見したようなフリをして契約書を作る。そして気がつかないようにあっという間にハンコをつかせてしまうのである。シロアリで始まった話のはずなのに契約書にはあらゆる不要な工事が記されていて結局お年寄りは床下に換気扇を30個もつけられて身ぐるみ剥がされてしまう。小泉のやり方はまさにこれだと私は言ってきたのである。郵政民営化というシロアリを持ち出しいつのまにか「国民投票だ」といいこれに騙された痴呆老人ならぬ愚民がハンコをつくとその契約書にはイラク派兵から増税まで全権委任の項目がずらりと並んでいるのである。あとでどう反論してもムダ。「ほらハンコおしてるでしょ」。小泉の口調まで聞こえてきそうだ。残念なことに選挙にはクーリングオフもない。
http://www.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=31174&log=20050826

筆者はこの表現は決して大袈裟ではないと思っている。
いや、筆者がもし小泉総裁の立場であり、選挙に通ったなら同じことをいうだろう。
「国民の多数は自民党に投票した」と。代表選出選挙とはまさにそういうものなのである。
別に小泉自民党に投票するな、と言っているわけではない。
小泉総裁の争点設定は、郵政民営化だし、その争点設定で出される直接的結果が郵政民営化の是非である。
しかし、それだけでは済まないのである。
あとあとすべて含めて自民党(1年後には小泉総裁とは限らない)を支持するという意思表示なのだ、
ということを理解しなければいけない。そのためには結局郵政だけではなんともならないと思うのである。


議会は政党本位の政治を選択し、政党本位の選挙制度を確立した。
そうだとすれば、極端な話個々立候補(予定)者の主張は副次的なものであって、
マスコミがまず国民に伝えるべきは、政党の政策である。
それをどれだけ国民に正確かつわかりやすく伝えることができるか、
それが選挙にあたってマスコミに求められていることではないだろうかと思う。


ところで、

1対1の党首討論、自民が再拒否=民主「争点隠し」と非難【05衆院選
 自民党武部勤幹事長は27日、同党との1対1の党首討論を再度、申し入れた民主党岡田克也代表に対し「自民党民主党だけの党首討論は他の党に公平ではない」として、改めて拒否する文書を送った。
 この中で、武部氏は(1)29日に日本記者クラブ主催で各党討論会が開催される(2)与野党政策担当の若手による公開討論会が準備中−などを挙げて、「これらにより国民に十分な判断材料が提供できる」と強調している。
 これに対し、民主党川端達夫幹事長は「わが党の申し入れを拒み続ける小泉純一郎総裁(首相)は、政策論争を回避し、争点隠しをしている」と非難するコメントを発表した。 (了)
時事通信) - 8月28日1時0分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050828-00000004-jij-pol

らしい。
政党中心選挙、小泉総裁信任選挙なんだから、
筆者に言わせれば、与党自民党は全政党と党首討論をしてもよいとさえ思っている。
はっきりいえば、今の政党政治のもとでは、各党がどう考えているかの方が、
無所属を除いて、公認候補(予定)者判断の重要な事項なのである。
これこそ、郵政民営化以外はどうでもいいということのあらわれなのだろうか?
こういう姿勢は議会制民主主義を担う者の判断としては極めて遺憾である。


そういう書いているうちに消費税増税がでてきたようだ。
この際なので書いておくと、個人的には歳出抑制措置を講じないうちのあらゆる増税には反対である。