第20回最高裁判所裁判官国民審査 その2

最高裁判所裁判官国民審査 その1
 1.公告
 2.関係法令
http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050830/1125370133

マスコミによる出演者側の「国民審査よくわからないです」っていうコメントはきわめて遺憾。
なら報道きちんとしろよ。報道しちゃいけないわけではないでしょ?
小選挙区みたいには一地域だけの判断材料ではないんだし、
全国一律なんだから、全国ニュースで扱えばいいんじゃない、と思います。
特定小選挙区の候補者の声を拾うよりよっぽど有意義です。
どの裁判官が、裁判官としてどういう判示をしたか、
下級審出身なら下級審判決も(もっとも個人的に法廷意見とは限らないのだが)、
官僚出身ならどういうことをしてきたかなどを、報道して欲しいものです。
それこそ、インターネットにしか情報がないわけで。
かなり書きかけなんですけど、い時間がないし、いろんなサイトが紹介されているしかなり挫折。
でもせっかく書いたしということで。


3.審査に付される各裁判官(公示順)

古田 佑紀(ふるた ゆうき)  平成17年 8月 2日任官 第二小法廷
中川 了滋(なかがわ りようじ)平成17年 1月19日任官 第二小法廷
堀籠 幸男(ほりごめ ゆきお) 平成17年 5月17日任官 第三小法廷
今井  功(いまい いさお)  平成16年12月27日任官 第二小法廷
津野  修(つの おさむ)   平成16年 2月26日任官 第二小法廷
才口 千晴(さいぐち ちはる) 平成16年 1月 6日任官 第一小法廷


3−1 関連サイト

question:1125557796
衆議院選挙が9/11に行われることで注目されていますが、いつも密かに行われている感じのある最高裁判所裁判官国民審査についても投票するので質問します。今回誰が出てくるかとかの詳細や裁判官が何の裁判をしたかとかの焦点を教えてくれますでしょうか。私の事情により、遅くて9/4までの質問となります。よろしくお願いいたします。

2005年9月11日 「最高裁判所裁判官 国民審査」に、キチンと参加したいあなたへ
http://homepage2.nifty.com/misoshiru/mg/shinsa.htm
◆ 国民審査のオカズ ◆ 最高裁判所 裁判官 全15名 【プロフィール・主要判断】
http://homepage2.nifty.com/misoshiru/mg/judgedata.htm

国民審査のための最高裁判事紹介(日本民主法律家協会
http://www.jdla.jp/state/2005shinsa.html

最高裁判事の国民審査
http://yokei-mono.no-blog.jp/weblog/2005/08/post_19e7.html


3−2 関連記事
時事通信のこんなアンケートも。

6裁判官にアンケート=国民審査
 最高裁裁判官6人の略歴と関与した主な裁判、国民審査に当たって実施されたアンケートへの回答は次の通り(告示順、年齢は11日現在)。
 質問は、(1)「裁判官は世間知らず」との批判や、「社会に情報を発信すべきだ」との指摘をどう思うか(2)死刑制度をどう考え、どう臨むか(3)憲法改正論議をどう思うか。また、望ましい国際貢献のあり方は−の3点。
 ▼古田佑紀氏(ふるた・ゆうき)=最高検刑事部長、次長検事を経て05年8月就任。北海道出身、63歳。
 就任後日が浅く、関与した裁判は特になし。
 (1)司法を身近なものにするには法曹が全体として対応することも必要。裁判官は少なくとも個別の事件に関しては裁判の中で述べるべきだ。
 (2)国民の選択に委ねられるべきもので、裁判官の立場での意見は差し控える。
 (3)最高裁判事の立場での意見は差し控える。
 ▼中川了滋氏(なかがわ・りょうじ)=元日弁連副会長、05年1月就任。石川県出身、65歳。
 連日ラジオを大音量で鳴らし続け、隣人に頭痛などを起こした行為が傷害罪に当たるとした決定に関与(05年3月)▽入院中の患者を退院させ放置した「ライフスペース元代表に対し、不作為の殺人罪の成立を認めた決定で裁判長(同7月)。
 (1)裁判官である前に一市民であるべきで、広く人と交流することを心掛けるべきだと思う。
 (2)国民が決めるべきことで、終身刑の是非も検討されてよい。現行法では適正な運用に努力するほかない。
 (3)タブー視せず、大いに議論すべきだ。国際貢献も同様であり、結局は国民の総意で決める事柄。
 ▼堀籠幸男氏(ほりごめ・ゆきお)=最高裁事務総長、大阪高裁長官を経て05年5月就任。東京都出身、65歳。
 薬害エイズ事件ミドリ十字ルートで、歴代社長2人の実刑判決を支持した決定に関与(05年6月)▽貸金業者に取引履歴の開示を義務付けた判決に関与(同7月)。
 (1)裁判官は分かりやすい裁判、親しみやすい裁判の実現に努力すべきだ。
 (2)わが国の歴史、文化、国民感情を踏まえ、最終的に国民が決定すべき問題なので、意見は差し控える。事件に臨む際は、実務の積み重ねによる基準と裁判官としての良心に従い判断する。
 (3)極めて政治的色彩の濃い政策論議であり、意見は差し控える。
 ▼今井功氏(いまい・いさお)=仙台高裁長官、東京高裁長官を経て04年12月就任。兵庫県出身、65歳。
 大学病院の研修医は労働基準法上の労働者に当たるとした判決に関与(05年6月)▽岐阜県可児市議選の電子投票トラブルで、選挙を無効とした判決で裁判長(同7月)
 (1)誤解に基づく批判もあるが、謙虚に受け止め各自が自己研さんに努めるべきだ。実情を理解してもらうため、情報発信の努力をすべきだ。
 (2)国民の意見に従うべきだ。事件に臨んでは、慎重の上にも慎重な検討を心掛けている。
 (3)最終的には国民が決めることだが、現行憲法の運用状況を検証した上での議論が望ましい。
 ▼津野修氏(つの・おさむ)=元内閣法制局長官、04年2月就任。愛媛県出身、66歳。
 水俣病被害で行政責任を認めた「水俣病関西訴訟」判決に関与(04年10月)▽東京都の管理職試験国籍制限を合憲とした大法廷判決で多数意見(05年1月)
 (1)大多数の裁判官には当てはまらない批判と感じる。裁判官の立場をわきまえて、一般的な事柄への意見は積極的に述べてもよい。
 (2)国民が最終的に決める問題。最高裁裁判官としては、回答は差し控えたい。
 (3)戦後60年、改正問題を含め、憲法に関する議論が活発になるのは当然。自衛隊だけでなく、それ以外の貢献も含めてあり方を考えていくべきだ。
 ▼才口千晴(さいぐち・ちはる)=東京弁護士会副会長、法制審議会倒産法部会委員を経て、04年1月就任。長野県出身、67歳。
 結婚していない男女の間に生まれた非嫡出子の遺産相続分を、嫡出子の半分とした民法の規定をめぐる訴訟で、「違憲」の反対意見(04年10月)▽NHK番組をめぐる名誉棄損訴訟で、放送法に基づく訂正放送の実施は、裁判では請求できないとした判決で裁判長(同11月)
 (1)世間知らずは専門家の特性であり、裁判官に限らないが、自己改革は必要だ。国民との「距離」は国民の司法参加から縮小を図るべきだ。
 (2)国民の選択に委ねる問題。死刑事件には真剣、慎重に臨む。
 (3)国民的議論とグローバル感覚の高揚が必要だ。
時事通信) - 9月3日15時0分更新/9月3日15時1分更新/9月3日15時4分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050903-00000057-jij-pol
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050903-00000058-jij-pol
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050903-00000059-jij-pol

(1)「裁判官は世間知らず」との批判や、「社会に情報を発信すべきだ」との指摘をどう思うか
(2)死刑制度をどう考え、どう臨むか
(3)憲法改正論議をどう思うか。また、望ましい国際貢献のあり方は−の3点。

(1)はともかく、(2)(3)の質問は意味がわかりません。
仮に死刑廃止論者であっても、法としてある以上、それを粛々と適用するだけだろうし、
憲法改正議論も司法府の判事にあえて聞くような問いではないし、もうちょっと考えて欲しかったなぁと。
あと判決・決定に関与、ってどう関与したのかを書かないと意味がない。
せっかくのいい企画なのに、内容的にちょっと残念。
個人的には、裁判所は「真に公正」であるべきか「公正らしく」あるべきか、ということを聞いてみたい。
その「公正」とはどういうものかとともに。


3−3 最高裁判所裁判官国民審査公報
よほどの僻地でない限り「最高裁判所裁判官国民審査公報」が発行されるので、これも参考に。
この審査公報には、裁判官の氏名、生年月日及び経歴並びに最高裁判所において関与した主要な裁判、
「その他審査に関し参考となるべき事項」を、裁判官自身が掲載文を作成して出すことになってます。
実際どれだけ自分で作成しているのかはわかりませんが、
どういうことを記載しているかもでも判断していいように思います。
誠実さの判断とでもいいましょうか。

最高裁判所裁判官国民審査法(昭和二十二年十一月二十日法律第百三十六号)
第五十三条 (審査公報の発行)  都道府県の選挙管理委員会は、政令の定めるところにより、審査に付される裁判官の氏名、経歴その他審査に関し参考となるべき事項を掲載した審査公報を発行しなければならない。
これを定める。

最高裁判所裁判官国民審査法施行令(昭和二十三年五月二十五日政令第百二十二号)
   第七章 審査公報の発行
第二十五条  裁判官国民審査法第五十三条 の規定による審査公報は、審査(審査の一部が無効となり更に行う審査を除く。)ごとに一回これを発行しなければならない。
○2  島、山間のへき地その他交通至難の区域に関しては、審査公報は、これを発行しない。
○3  前項の規定により審査公報を発行しない区域は、総務省令でこれを定める。
第二十六条  審査公報には、審査に付される裁判官の氏名、生年月日及び経歴並びに最高裁判所において関与した主要な裁判その他審査に関し参考となるべき事項を掲載するものとする。
第二十七条  審査に付される裁判官は、審査公報の掲載文を審査の期日の告示があつた日に中央選挙管理会に提出しなければならない。 ○2  前項の規定による掲載文の提出がないときは、中央選挙管理会は、審査に付される当該裁判官につき、掲載文を調製しなければならない。この場合においては、その旨を掲載文に付記しなければならない。
○3  前項の規定により掲載文を調製するため必要があるときは、中央選挙管理会は、関係人に対し資料の提出又は事実の説明を要求することができる。
第二十八条  前条第一項の規定により掲載文の提出があつたとき、又は同条第二項の規定により掲載文を調製したときは、中央選挙管理会は、その掲載文の写し二通を審査の期日前九日までに都道府県の選挙管理委員会に送付しなければならない。
第二十九条  前条の規定により掲載文の写の送付があつたときは、都道府県の選挙管理委員会は、掲載文の写を原文のまま、審査公報に掲載しなければならない。
第三十条  一の用紙に二人以上の審査に付される裁判官の掲載文を掲載する場合においては、その掲載の順序は、第二条第一項の規定による通知の順序による。
第三十一条  審査公報は、都道府県の選挙管理委員会の定めるところにより、市町村の選挙管理委員会が、当該市町村における裁判官国民審査法第八条 の選挙人名簿に記載された者の属する各世帯に対して、審査の期日前二日までに、配布するものとする。ただし、当該各世帯に審査公報を配布することが困難であると認められる特別の事情があるときにおける審査公報の配布に関しては、公職選挙法第百七十条第二項 の選挙公報の配布の例による。
第三十二条  天災その他避けることのできない事故に因り第二十八条の期限までに掲載文の写の送付がないとき、その他特別の事情があるときは、当該都道府県の全部又は一部の区域における審査公報の発行の手続は、これを中止する。
第三十三条  本章に定めるものの外、審査公報の発行の手続に関し必要な事項は、中央選挙管理会がこれを定める。

手元にない方は、区市町村に問い合わせてください。


3−4 雑感
ここに書くことは、筆者の個人的雑感。なるほど〜、と思った人は国民審査の参考にどうぞ。
さて、最高裁判事の年齢要件は40歳なのに(裁判所法41条)、15人とも昭和20年より前の生まれ。どうなの?と思う。
これは内閣の任命権の問題で、内閣の政治責任をとうべきなのかもしれないけれど。
まあ、ちょうど衆議院選挙と同じことだし、政権与党の政治責任ということで、
投票行動の一環として考えてもいいんだろうけど。
関与した判決ってもいわれてもその内容がどうなの?となること必至。
1月の東京都の在留外国人の管理職選考受験資格確認等請求事件判決なんかはわかりやすいかもしれないけど。
ちなみに、関与した裁判については、「最高裁判例集の検索」
http://courtdomino2.courts.go.jp/schanrei.nsf/VM2/$SearchForm?SearchViewで、
【民刑区分】すべてにチェックした上で、【全文】に裁判官名をいれると検索できます。
判決文読んでどうするか判断できる人、しようとする人は少ないと思うけど…。


3−4−1 古田 佑紀(ふるた ゆうき)
 8月2日に任官されたところなのだけど、「最近の主な最高裁判決」に関与したのがありました。

平成17年08月23日 第二小法廷決定 平成17年(し)第346号 検察官送致決定に対する特別抗告事件
要旨:
 少年法20条による検察官送致決定に対しては,特別抗告をすることはできない

内容:
件名 検察官送致決定に対する特別抗告事件 (最高裁判所 平成17年(し)第346号 平成17年08月23日 第二小法廷決定 棄却)
原審 東京家庭裁判所 (平成17年(少)第3054号)
主    文
       本件抗告を棄却する。
         
理    由
 少年法20条による検察官送致決定に対しては,特別抗告をすることはできないと解されるから,本件抗告の申立ては不適法である。
 よって,刑訴法434条,426条1項により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
 (裁判長裁判官 古田佑紀 裁判官 滝井繁男 裁判官 津野 修)
http://courtdomino.courts.go.jp/judge.nsf/dc6df38c7aabdcb149256a6a00167303/6c4defd04c25f95b4925707300093477?OpenDocument

というもので、最高裁での裁判だけを判断にするのであれば、ネット公開されているものはこれだけです。
よくあることだけど、上記決定には「○○なので」の部分が(ある程度わかるとはいえ)欠落しているので、
こういう判決(決定)文がまかりとおっていることに対して「×」というのも可だと思う。
ちなみに津野修裁判官も今回の審査対象です(後述)。
 ただ、もちろん最高裁判決だけを判断材料にする必要はないわけで、

 44年 検事任官
その後,東京地検法務省刑事局札幌地検,名古屋地検,浦和地検川越支部法務省刑事局で勤務
 59年 法務省刑事局参事官
 62年 東京地検検事
平成2年 法務省刑事局青少年課長
  3年 法務省刑事局国際課長
  5年 法務大臣官房審議官(刑事局担当)
 10年 宇都宮地検検事正
 11年 最高検検事
  同年 法務省刑事局
 14年 最高検刑事部
15年 最高検次長検事
16年 退官
17年 同志社大学法科大学院教授

という経歴の中でやってきたことも参考とすることも可能です。
まぁ、議事録をみるか、個人サイトかとなるでしょうけど、後者は批判的ななのが必然的に多いかと。
例)http://www.seirokyo.com/archive/folder1/singi/ronten/021106seihu-point.html
他には経歴的には避けられないのだろうけど、通信傍受法とかKSD事件関係が多いかな?
通信傍受法制定に関与したことは一般人の心証は悪いかなと思ったり。なんとなくだけど。

裁判官の紹介(最高裁判所ホームページ)
http://courtdomino2.courts.go.jp/shokai_J.nsf/View01/15?OpenDocument

3−4−2 中川 了滋(なかがわ りようじ)
 弁護士出身。とくに印象がないですねぇ。
amazonなんかで検索しても著書があるわけでもなさそうですい、
あえて評するなら、庶民感覚に近いのでは?ということでしょうか。
悪く言えば、同僚裁判官や調査官のいいなり、ということにもなります。

裁判官の紹介(最高裁判所ホームページ)
http://courtdomino2.courts.go.jp/shokai_J.nsf/View01/13?OpenDocument


3−4−3 堀籠 幸男(ほりごめ ゆきお)
 裁判官出身。最高裁事務総長・大阪高裁長を歴任。司法行政的にはエリート裁判官。
 ただ、司法行政的にどうかと裁判官としてどうかは別もの。
 個人的な思い込みですが、事務総局って悪者っていうイメージ。それで「×」はつけませんが…。

裁判官の紹介(最高裁判所ホームページ)
http://courtdomino2.courts.go.jp/shokai_J.nsf/View01/14?OpenDocument


3−4 今井  功(いまい いさお)
 裁判官出身。

裁判官の紹介(最高裁判所ホームページ)
http://courtdomino2.courts.go.jp/shokai_J.nsf/View01/12?OpenDocument

3−5 津野  修(つの おさむ)
 元内閣法制局長官
 個人的には内閣法制局違憲だ、合憲だ、と言っていた人が、
 最高裁判所違憲審査するというのは、とっても違和感があります。
 そのへんのところをご本人がどう考えているのか、知りたいです。
 横滑り監査役ではないけれども、一国民としてはちょっと支持しかねます。

裁判官の紹介(最高裁判所ホームページ)最高裁において関与した主要な裁判付
http://courtdomino2.courts.go.jp/shokai_J.nsf/View01/11?OpenDocument


3−6 才口 千晴(さいぐち ちはる)
 弁護士出身なだけに、もうちょっと思いきって欲しいですね。これも思い込みですけど。

裁判官の紹介(最高裁判所ホームページ)最高裁において関与した主要な裁判付
http://courtdomino2.courts.go.jp/shokai_J.nsf/View01/10?OpenDocument

国民審査関連サイト
国民審査〜フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』〜
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E6%B0%91%E5%AF%A9%E6%9F%BB