野菜の通信販売

question:1132238473
うちの畑で採れた野菜類をインターネットを通じて少し売ろうと思っています。下手なりに紹介用のホームページを作っていたのですが、同じように個人でこういったものをお売りになっている方のホームページを見ると「特定商取引法に基づく標記」 とか、「訪問販売法に基づく表記」 とか、売買に必要そうな表がありました。特定商取引法とか訪問販売法とか存在も知りませんでした。何なのでしょうか。野菜類(に限らず?)を個人でインターネット(に限らず?)で売る際に、注意すべきことを教えていただけませんでしょうか。

野菜の販売に特定商取引法の適用があるのだろうか?
質問中の「特定商取引法に基づく標記」「訪問販売法に基づく表記」というのは、特定商取引法第11条に基づく表示のことだろう。
(ちなみに、平成12年の法改正で、訪問販売法から特定商取引法に改称された。
 http://www.meti.go.jp/policy/consumer/tokusho_amend.html
そこで、法第11条をみると、

特定商取引に関する法律(昭和五十一年六月四日法律第五十七号)
  第二章 訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売
    第三節 通信販
(通信販売についての広告)
第十一条  販売業者又は役務提供事業者は、信販売をする場合の指定商品若しくは指定権利の販売条件又は指定役務の提供条件について広告をするときは、経済産業省令で定めるところにより、当該広告に、当該商品若しくは当該権利又は当該役務に関する次の事項を表示しなければならない。ただし、当該広告に、請求により、これらの事項を記載した書面を遅滞なく交付し、又はこれらの事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)を遅滞なく提供する旨の表示をする場合には、販売業者又は役務提供事業者は、経済産業省令で定めるところにより、これらの事項の一部を表示しないことができる。
 一  商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価(販売価格に商品の送料が含まれない場合には、販売価格及び商品の送料)
 二  商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法
 三  商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期
 四  商品の引渡し又は権利の移転後におけるその引取り又は返還についての特約に関する事項(その特約がない場合には、その旨)
 五  前各号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項
2  (略)

とある。
あくまでも「“通信販売”をする場合」「“指定商品”若しくは“指定権利”の販売条件又は“指定役務”の提供条件について」、
一定の表示が必要というのである。
では、そもそも法律のいう「通信販売」とは何か。
法第2条2項をみると、

特定商取引に関する法律(昭和五十一年六月四日法律第五十七号)
    第一節 定義
(定義)
第二条
2  この章及び第六十六条第三項において「通信販売」とは、販売業者又は役務提供事業者が郵便その他の経済産業省令で定める方法(以下「郵便等」という。)により売買契約又は役務提供契約の申込みを受けて行う指定商品若しくは指定権利の販売又は指定役務の提供であつて電話勧誘販売に該当しないものをいう。

とある。
つまり、「通信販売」とは、販売業者又は役務提供事業者が特定の方法で行う、
“指定商品若しくは指定権利の販売又は指定役務の提供であつて”電話勧誘販売に該当しないものであって、
結局のところ、 「指定商品」「指定権利」「指定役務」とは何かということが重要になるのである。
そこで、法第2条4項をみると、

特定商取引に関する法律(昭和五十一年六月四日法律第五十七号)
    第一節 定義
(定義)
第二条
4  この章及び第六十七条第一項において「指定商品」とは、国民の日常生活に係る取引において販売される物品であつて政令で定めるものをいい、「指定権利」とは、施設を利用し又は役務の提供を受ける権利のうち国民の日常生活に係る取引において販売されるものであつて政令で定めるものをいい、「指定役務」とは、国民の日常生活に係る取引において有償で提供される役務であつて政令で定めるものをいう。

と規定されている。つまり、
・「指定商品」とは、国民の日常生活に係る取引において販売される物品であつて
・「指定権利」とは、施設を利用し又は役務の提供を受ける権利のうち国民の日常生活に係る取引において販売されるものであつて
・「指定役務」とは、国民の日常生活に係る取引において有償で提供される役務であつて
政令で定めるもの 
をいい、政令をみなければわからない。
そこで政令特定商取引に関する法律施行令)をみると、

特定商取引に関する法律施行令(昭和五十一年十一月二十四日政令第二百九十五号)
(指定商品等)
第三条  法第二条第四項 の指定商品は、別表第一に掲げる物品とする。
2  法第二条第四項 の指定権利は、別表第二に掲げる権利とする。
3  法第二条第四項 の指定役務は、別表第三に掲げる役務とする。

とあり、ここでは指定商品だけみると、

別表第一 (第三条関係)
 一 動物及び植物の加工品(一般の飲食の用に供されないものに限る。)であつて、人が摂取するもの(医薬品(薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第一項の医薬品をいう。以下同じ。)を除く。)
 二 犬及び猫並びに熱帯魚その他の観賞用動物
 三 盆栽、鉢植えの草花その他の観賞用植物(切花及び切枝並びに種苗を除く。)
 四 障子、雨戸、門扉その他の建具
 五 手編み毛糸及び手芸糸
 六 不織布及び幅が十三センチメートル以上の織物
 七 真珠並びに貴石及び半貴石
 八 金、銀、白金その他の貴金属
 九 家庭用石油タンク並びにその部品及び附属品
 十 太陽光発電装置その他の発電装置
 十一 ペンチ、ドライバーその他の作業工具及び電気ドリル、電気のこぎりその他の電動工具
 十二 家庭用ミシン及び手編み機械
 十三 ぜんまい式のタイマー、家庭用ばね式指示はかり及び血圧計
 十四 時計
 十五 望遠鏡、双眼鏡及び生物顕微鏡
 十六 写真機械器具
 十七 映画機械器具及び映画用フィルム(八ミリ用のものに限る。)
 十八 複写機及びワードプロセッサ
 十九 乗車用ヘルメットその他安全帽子、繊維製の避難はしご及び避難ロープ並びに消火器及び消火器用消火薬剤
 二十 火災警報器、ガス漏れ警報器、防犯警報器その他の警報装置
 二十一 はさみ、ナイフ、包丁その他の利器及びのみ、かんな、のこぎりその他の工匠具
 二十二 ラジオ受信機、テレビジョン受信機、電気冷蔵庫、エアコンディショナーその他の家庭用電気機械器具、照明器具、漏電遮断器及び電圧調整器
 二十三 電話器、インターホン、ファクシミリ装置、携帯用非常無線装置及びアマチュア無線用機器
 二十四 超音波を用いてねずみその他の有害動物を駆除する装置
 二十五 電子式卓上計算機並びに電子計算機並びにその部品及び附属品
 二十六 乗用自動車及び自動二輪車原動機付自転車を含む。)並びにこれらの部品及び附属品
 二十七 自転車並びにその部品及び附属品
 二十八 ショッピングカート及び歩行補助車
 二十九 れんが、かわら及びコンクリートブロック並びに屋根用のパネル、壁用のパネルその他の建築用パネル
 三十 眼鏡並びにその部品及び附属品並びに補聴器
 三十一 家庭用の医療用吸入器、電気治療器、バイブレーター、指圧代用器、温きゆう器、磁気治療器、医療用物質生成器及び近視眼矯正器
 三十二 コンドーム、生理用品及び家庭用の医療用洗浄器
 三十三 防虫剤、殺虫剤、防臭剤及び脱臭剤(医薬品を除く。)並びにかび防止剤及び防湿剤
 三十四 化粧品、毛髪用剤及び石けん(医薬品を除く。)、浴用剤、合成洗剤、洗浄剤、つや出し剤、ワックス、靴クリーム並びに歯ブラシ
 三十五 衣服
 三十六 ネクタイ、マフラー、ハンドバック、かばん、傘、つえ、サングラス(視力補正用のものを除く。)その他の身の回り品、指輪、 ネックレス、カフスボタンその他の装身具、喫煙具及び化粧用具
 三十七 履物
 三十八 床敷物、カーテン、寝具、テーブル掛け、タオルその他の家庭用繊維製品及び壁紙
 三十九 家具及びついたて、びようぶ、傘立て、金庫、ロッカーその他の装備品並びに家庭用洗濯用具、屋内装飾品その他の住生活用品
 四十 住宅に附属して屋外に設置するバルコニー、車庫、物置その他これらに類する簡易なプレハブ式の工作物の部材
 四十一 ストーブ、温風機その他の暖房用具、レンジ、天火、こんろその他の料理用具及び湯沸器(電気加熱式のものを除く。)、太陽熱利用冷温熱装置並びにバーナーであつて除草に用いることができるもの
 四十二 浴槽、台所流し、便器、浄化槽、焼却炉その他の衛生用の器具又は設備並びにこれらの部品及び附属品
 四十三 融雪機その他の家庭用の融雪設備
 四十四 なべ、かま、湯沸かしその他の台所用具及び食卓用ナイフ、食器、魔法瓶その他の食卓用具
 四十五 囲碁用具、将棋用具その他の室内娯楽用具
 四十六 おもちや及び人形
 四十七 釣漁具、テント及び運動用具
 四十八 滑り台、ぶらんこ、鉄棒及び子供用車両
 四十九 新聞紙(株式会社又は有限会社の発行するものに限る。)、雑誌、書籍及び地図
 五十 地球儀、写真(印刷したものを含む。)並びに書画及び版画の複製品
 五十一 磁気記録媒体並びにレコードプレーヤー用レコード及び磁気的方法又は光学的方法により音、影像又はプログラムを記録した物
 五十二 シャープペンシル、万年筆、ボールペン、インクスタンド、定規その他これらに類する事務用品、印章及び印肉、アルバム並びに絵画用品
 五十三 楽器
 五十四 かつら
 五十五 神棚、仏壇及び仏具並びに祭壇及び祭具
 五十六 砂利及び庭石、墓石その他の石材製品
 五十七 絵画、彫刻その他の美術工芸品及びメダルその他の収集品

となっている。
食料品の類いは、1号が、

動物及び植物の加工品(一般の飲食の用に供されないものに限る。)であつて、人が摂取するもの(医薬品(薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第一項の医薬品をいう。以下同じ。)を除く。)

としているだけであるが、動物及び植物の“加工品”であり、
しかも“(一般の飲食の用に供されないものに限る。)”という限定が付されている。
これはいわゆる健康食品(医薬品の除く)の類いをいうのであって、
http://www.pref.hiroshima.jp/ shohiseikatsu/book/pdf/kashikoi.pdf 10頁参照)
通常の食品はあたらない。
まして、加工されていない野菜については、あたりえないということになる。
したがって、野菜の販売に特定商取引法第11条に基づく表示が必要かというと、不要ということになる。

http://moriya-office.seesaa.net/article/1823852.htmlも同旨

もっとも、野菜のほか指定商品を扱う場合には結局表示が必要であるし、
そうでなくても、同様の表示をしておく方が信頼を得やすいということにはかわりないように思うけれども。