棋泉vs米長邦雄訴訟(13)前回(12)更新からのいろいろ(1)

棋泉vs米長邦雄訴訟
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050520/1116520052
棋泉vs米長邦雄訴訟(2)
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050521/1116607505
棋泉vs米長邦雄訴訟(3)
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050523/1116786786
棋泉vs米長邦雄訴訟(4)
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050525/1116955919
棋泉vs米長邦雄訴訟(5)/法律書の発行差し止め(2)
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050526/1117047990
棋泉vs米長邦雄訴訟(6)第1回口頭弁論(2005.6.21)
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050622/1119381587
棋泉vs米長邦雄訴訟(7)訴状要旨と答弁書公表
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050630/1120062959
棋泉vs米長邦雄訴訟(8)第2回口頭弁論は延期?非公開期日?
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050729/1122573987
棋泉vs米長邦雄訴訟(9)前回(8)更新からのいろいろ(1)
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050920/1127146029
棋泉vs米長邦雄訴訟(10)前回(8)更新からのいろいろ(2)
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050922/1127323571
棋泉vs米長邦雄訴訟(11)前回(10)更新からのいろいろ
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20051117/1132159433
棋泉vs米長邦雄訴訟(12)前回(11)更新からのいろいろ
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20051124/1132761727

武者野勝巳六段が米長邦雄永世棋聖の答弁書を公開 - 勝手に将棋トピックスで紹介されて知ったのだが、
どうやら原告側のサイトでは答弁書が公開されているらしい。
http://www.koma.ne.jp/cgi-bin/nik/nik.cgi?log=0512&idc=20051202
答弁なんだから、これの対となる主張があるはずなのだが、その準備書面は公開されていない。
するなら、裁判所に提出された資料をすべて公開すべきである。
たとえば、選撮見録のクロムサイズ社やhttp://www.cyz.co.jp/news/2005/midori-saiban2.html
録画ネットのエフエービジョンhttp://www.6ga.net/x_shiryo.phpのように。
こういう恣意的な情報開示はやめた方がいい。結局原告側の盲目的な主張とさえ思えてくる。
公開するなら全資料を開示していただきたい。

米長被告からの答弁書(3-1) 2005年12月2日(金)
米長被告からの答弁書FAXが裁判所、代理人を経てマリオの自宅にFAXで送られてきた。
第2回の弁論準備会に私がソフトの中で画面表示されるすべての原稿を印刷して提出した(7月19日参照)のだが、裁判長が「(1000ページ近い)原稿すべて目を通すのは裁判の迅速化という点でいかがなものか。たった一例でも、著作権侵害が明らかになればそれで止まる(発売差し止めになるの意味か?)のだから、この部分は類似性と創作性が明らかだという比較部分を適当量提出してもらいたい」との要望があり、翌第3回口頭弁論準備会に提出したのが左メニューの『上級比較画面』と『中級比較画面』である。(この項続く)

と武者野氏自身が述べているが、答弁書だけはどの点に創作性があると主張しているのか、
おそらく本訴訟の確信部分の主張がよくわからないのである。

左メニューの『上級比較画面』と『中級比較画面』は合計で49比較画面ある。
自分の主張ばかりHPで展開するのはフェアではないと思い、米長被告の反論を併記して公開しようとじっと待ったので裁判進展の報告がだいぶ遅れた。
ところが通常1ヶ月に1度くらいのペースである口頭弁論準備会を「反論には時間が掛かる」という米長側の主張を容れて1ヶ月半ほど待った第4回の弁論準備会。
米長被告から提出されたのは16の局面に対して「他の入門書に似たような局面が掲載されており、ありふれた局面で創作性はない」という答弁資料が提出されただけだった。
16局面というのは49比較画面として提出された講座テーマにおける分岐最初の局面の数らしい。
裁判長「原告は局面図にのみ著作権があると主張しているのですか?」
武者野「いいえ、局面図と解説文言は表裏一体の存在であるのは間違いありませんが、提出した比較画面は局面にのみ著作性があると主張するものではありません」
裁判長「そうでしょうね。局面に著作権が存在したら他の人が対局でその局面を使えなくなっちゃう。それに解説文言だけで十分に理解できるものもありますからね」
概ねこのようなやりとりがあり、米長被告側は「再び詳しい答弁資料を提出します」ということで、またも1ヶ月半の準備期間が与えられた。(この項続く)

それとも裁判でも
http://www.koma.ne.jp/tousaku/joukyu01.htm
http://www.koma.ne.jp/tousaku/chukyu01.htm
という画面の比較だけを出したのだろうか?
両者の何らかの類似性はあるだろうが、著作物としての類似性はあるのか、
どの点に創作性があるのかが明らかにされる必要があるように思うのだが、裁判所はそこまで要求していないのだろうか?
もしそうだとすれば、反論に時間がかかっても仕方あるまい。主張がよくわからないのだから。
それとも、著作権侵害訴訟は原告は類似性だけ主張すれば、創作性の否定は被告が主張・立証責任を負うのだろうか?
この点、原告は、「局面図と解説文言は表裏一体の存在であるのは間違いありませんが、
提出した比較画面は局面にのみ著作性があると主張するものではありません」と釈明している。
ただ、じゃあそれらのパーツが全体として創作性があるのかというとやはり筆者にはわからない。
もっとも、裁判長の「それに解説文言だけで十分に理解できるものもありますからね」という発言からすれば、
解説文言だけで十分理解できるものにあえて局面図を付したものについては何らかの創作性があると考えているのかもしれない。

こうして期限の11月中を1日過ぎて裁判所に、しかもFAXで届けられたのがこれらの答弁書だ。
自分のHPは毎日なにがしらをアピールしておいて、裁判所に対してはこの程度の答弁書作成に3ヶ月!を要する状況がよく理解できない。
米長被告自身は1度も出廷したことがないし、ご自身のHPでわざわざ『著作権』と銘打ってコーナーを設けた反論(とも言えないが)内容とまったく違うものを提出するのは、裁判所に対して失礼なのではないだろうか。
なお左メニューの『上級・中級比較画面』と『米長答弁書』の番号を合致させるのが大変だと思うので、現在見やすく構成し直している。
近く左メニューに反映させますので、お待ちください。
答弁書の写真部分をクリックすると画面が大きくなります。OSによってはさらに『拡大キー』によって大きな文字が表示されます。

この程度の答弁書かどうかはわからないけれども、
もし仮に説明の付されていないホームページと同様の画面比較だけが準備書面として出されていたなら、
時間がある程度かかってもやむをえないように思う。
そもそも裁判につきあわされる被告が原告よりも熱心さにかけるのは仕方あるまい。
確かに、期限を過ぎたのは誉められたものではないが、「FAXで届けられた」のがいけないということはないし、
また、原告側は「米長被告自身は1度も出廷したことがない」というが必ずしも本人が出廷する必要はないし、
代理人がいるのであればそれで十分である。
「わざわざ『著作権』と銘打ってコーナーを設けた反論(とも言えないが)内容とまったく違うものを提出するのは」
受け手にとっては混乱を招くのでやめていただきたいとは思うが、別に裁判所に失礼ということではないだろう。
米長氏を擁護するわけではないが、人を非難する前にあなた自身の態度も十分おかしいですよ、と言いたい。
まあ裁判の原告というのは頭に血がのぼっていることが多くそれもまた仕方ないのかもしれないが…。

答弁書を公開したところ、早速掲示板において「米長被告からの答弁書はこれだけですか?」という質問があった。
正確を期すためインデックス部分に当たる答弁書(3-0)も公開する。
将棋ファンが読めばすぐに違和感を感じるだろうが、将棋の定跡を「定石」と記述している部分が2カ所ある。
いずれも「じょうせき」と読むのだが、将棋は「定跡」囲碁は「定石」と記述するのが常になっていることくらい(社)日本将棋連盟の会長が知らぬはずはないから、代理人の弁護士が答弁書を書き、米長被告はそれをチェックすらしないのかなと想像されてしまう。
もっとも掲示板では
>「裁判所に失礼」ということはないと思いますよ。「不熱心訴訟追行」の場合は、その報いは(米長被告)自ら受けるだけのことですから
との指摘を頂いた。なるほどマリオが腹を立てる筋合いのものでもないか。

代理人に任せたとどれだけ本人が関与するのか人それぞれでしょうけど、
本件の場合、本人でなくとも将棋にくわしい人とある程度のやりとりがないと反論も難しいのではないかと思っています。
本人が日本将棋連盟の会長ということがすれば、本人と多少のやりとりはあってもいいと思いますけど…。
それに「定跡」だろうと「定石」だろうとわかればいいんですけど。恥はかくかもしれませんが。
ちなみに筆者はそんなこと知りませんでした。
「不熱心訴訟追行」が何をいうのかわかりませんが、いくら熱心でも勝ちにつがなるとは限りません。
原告の「不熱心」は敗訴になりやすいですが、被告の「不熱心」は必ずしもそうはいえないでしょう。
原告のからまわりで終わる訴訟はいくらでもあります。


答弁書の内容については次回。