井上判事は再任不適格

少し前の記事だが、喋り足りない?井上薫判事vs浅生重機横浜地裁所長 - 言いたい放題の続報。

判決理由短すぎる”横浜地裁判事、再任不適格に
 地裁所長から「判決理由が短すぎる」との人事評価を受けたのは不当と主張していた横浜地裁井上薫判事(51)について、地裁判事などの再任の適否を審査する最高裁下級裁判所裁判官指名諮問委員会(委員長・奥田昌道元最高裁判事)は、再任不適格とする判断をした。
 14日の最高裁裁判官会議に答申される。来年3月一杯で任期切れとなる井上判事は、再任されないことがほぼ確実になった。
 井上判事などによると、同判事は今年7月、同地裁の浅生重機所長(63)から「判決理由が短すぎるが、改善が見られないので再任は困難」との見通しを伝えられた。このため井上判事は9月、「判決文の長短をもとに減点評価することは、裁判の内容に対する干渉で、裁判官の独立を害する」として、浅生所長の人事評価に対する不服申立書を提出したが、退けられていた。
 裁判官の任期は10年で、同委員会で再任の適否が審議される。
 12月9日開かれた同委員会では、来春任期が切れる再任希望者について審議。井上判事については、浅生所長らの人事評価や、弁護士から集まった外部評価などをもとに審議した結果、不適格との結論に至った。<1>争点に即して判断されていないなど、判決文が当事者に結論の理由を示すという要請を満たしていない<2>当事者の言い分に耳を傾けないといった不満が弁護士から多数寄せられている――などが理由とみられる。
(読売新聞) - 12月10日12時4分更新

人事評価の妥当性と下級裁判所裁判官指名諮問委員会の判断の妥当性はわけて考える必要があるように思うが、
下級裁判所裁判官指名諮問委員会は、
<1>争点に即して判断されていないなど、判決文が当事者に結論の理由を示すという要請を満たしていない
<2>当事者の言い分に耳を傾けないといった不満が弁護士から多数寄せられている
ということを理由に再任不適格との判断に至ったということだ。
「争点に即して判断されていない」ということが、争点の一部の判断で十分だということであれば、
井上判事の理論でいけば十分だが、そうでなければ手続保障の点から問題がある。
「当事者の言い分に耳を傾けない」ということも具体的にどういうことかわからないが、
弁護士からでていることからすれば、改善すべき状況であるのかもしれない。
すべてが公にされているわけではないだろうが、場合によっては再任不適格は已むを得ないかもしれない。
ただ、そうだとすれば、その判断が恣意的なものでないことを十分に開示することが重要であると思う。