ノンフィクション作品の著作物としての創作性

著作権侵害講談社が回収 小説「死してなお君を」
 講談社は23日、昨年末に刊行した作家赤井三尋さんの小説「死してなお君を」に、著作権侵害に当たる記述があるとして、回収を始めたことを明らかにした。
 同社によると、物語の根幹に当たる部分に、ノンフィクション作家の故本田靖春さんの著書「不当逮捕」の内容を使用したが、その際に本田さんの著作権継承者である遺族の許諾を得なかった。同社はこの使用が著作権侵害に当たると自主的に判断、書店からの回収を決めたという。
 「死してなお君を」は、昭和30年代の東京を舞台に、政官を巻き込む汚職事件や検察内部の抗争を描き、初版8000部で刊行された。
共同通信) - 1月23日19時22分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060123-00000187-kyodo-ent

「物語の根幹に当たる部分に…内容を使用した」というところが、
著作権侵害に当たる記述がある」という判断の理由なのでしょう。
該当部分を見比べていないのでなんともいえませんが、
歴史的事実そのものについては著作権の対象となりえませんから、
その歴史的な事実についての表現のうち、本質的な部分をそのまま用いたか、
もしくは、脚色部分をそのまま用いたかということでしょうか。
自主判断ですが、著作権は表現活動を制約するという側面も有しますので、
慎重に判断した結果、明白な侵害性が認められた結果であって欲しいと思います。
(場合によっては著作者人格権たる同一性保持権も問題になりますが、故人ですしあまり問題にならないでしょう。)