電気用品安全法を巡る行政の対応

このブログでは、電気用品安全法の内容そのものではなく、法律を前提に、
経過措置の終了する法律の取り扱いをめぐる行政の対応をみているわけですが、
電気用品安全法の内容そのものにも関心はありますが、他所で盛り上がっているようなのでここでは触れていません。)
経済産業省の杉山秀二事務次官が対応のまずさを認めたそうです。

安全マークない家電の販売禁止、周知不徹底認める
 電気用品安全法で「PSEマーク」が付いていない家電製品(259品目)の販売が4月から禁止される問題について、経済産業省は10日、都内で開かれた中古品販売業者らに対する説明会で、「古物商の方々に(所管の)警察を通じて周知したのは2月からだった」と説明し、業者からの問い合わせが増えるまで、周知を徹底していなかったことを認めた。
(中略)
 経産省の杉山秀二次官は9日の記者会見で、「きちんとした周知徹底をもっと早めに行うべきだった」と、対応の遅れを認めている。
(読売新聞) - 3月10日21時19分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060310-00000414-yom-bus_all

前にも書きましたが、「中古品販売業者は個人経営が多いことなどから対応が遅れた」って、
経済産業省の言い訳になるのか?という気がしてなりません。
いかに日頃大企業の方を向いてお仕事しているのかということのあらわれでしょう。
記事にもある事務次官の記者会見の概要はというと、

事務次官等会議後記者会見の概要
                       平成18年3月9日(木)
                        14:18〜14:38
                        於:記者会見室
(質疑応答)
電気用品安全法
http://www.meti.go.jp/speeches/data_ej/ej060309j.html

Q: PSEの問題でちょっと二、三点お伺いしたいんですが、業者の間でかなり混乱が起きているようなのですが、今日も集会等開かれているようですけれども、それでも4月に実施するという方針は変わりはないのでしょうか。
A: いまご質問のあった問題は、昨日の衆議院経済産業委員会でも質疑がございました。大臣の答弁のお言葉を借りれば、川を渡っている最中で、ここで馬を乗り換えたりUターンをするわけにはいかない、経過措置について、あと一月を切ったという段階でございまして、5年間の経過措置を認識した上で対応してこられた方もたくさんおられるわけで、そのような中でいまルールを変えることは適切ではないのではないかと考えておりまして、いま残された期間内で我々ができる周知徹底、PRを徹底的に行うということでいろいろな方々の各方面のご理解をいただくことが基本ではないかと思っています。その上で、法律に基づいた、いまあります法律を適用するということを実行した上で、改めて今後の対策についていろいろな方々のご意見も伺って、対応していきたいということでございます。大臣が昨日衆議院経済産業委員会で申し上げたことの繰り返しで恐縮ですけれども、いま申し上げたことが我々としての考え方でございます。

「5年間の経過措置を認識した上で対応してこられた方もたくさんおられるわけで、そのような中でいまルールを変えることは適切ではない」というのは、もっともだと思う。
法律を含む社会動向ををきちんと勉強した者が馬鹿を見るのは、それはそれで気の毒だ。
ただ、本来そのようにして準備すべきだった事柄を、
「残された期間内で我々ができる周知徹底、PRを徹底的に行」ったところで、どうしようもないのである。
「法律に基づいた、いまあります法律を適用するということを実行」するというのであれば、
法律が5年の猶予期間を与えたのだから、きっちりその期間を使って、対応を考えさせるべきだったように思うのだ。
法律は5年の間に知ればいいということを考えているのではない。単に知ればいいというのであれば5年もいらない。
知った上で対応が必要だったからこそ、5年という期間が設けられたのではないか。
事務次官がこのような考えを堂々と記者会見で披露している状況をみると、行政の怠慢は体質でないかと思えてくる。

Q: 周知は十分だったというふうにお考えでしょうか。
 A: これだけいろいろ各方面で混乱が起こったり、疑問が起こったということであれば、もっときちんとした周知徹底をもっと早めから行うべきだったと私は思っています。

「私は」というのは単に個人的感想であって、省の事務次官としては責任はない、とでもいいたいのでしょうか?
http://www.meti.go.jp/intro/data/a_plofile_Sugiyamaj.htmlでは就任時期がわかりませんが、
中小企業庁長官の経歴がおわりのようで、にもかかわらず、中小企業への配慮の視点が欠けていたのは残念でなりません。

Q: 安全確保が目的だと思うのですが、レンタルや個人売買がオーケーだったりとか、いろいろ抜け道もあるように思うのですが、それでもやる意味はあるということでしょうか。
 A: 確かに、この規制を5年前に改正をしたのは、安全問題の観点からそういった規制の変更を加えたということだと思います。従って、我々としては安全問題があるということを十分頭に置いた上で、この問題の対応を図っていくことが大事ではないかと思っています。その上で、いまさまざまご批判をいただいたり、あるいは混乱が起こっている状況でございますから、安全問題であることを十分認識した上で、どのような対応策が今後とれるのかについて、我々としては早急にかつ十分いろいろなことを考えながら、対応を図っていくことが大事ではないかと思います。
Q: これによって、不法投棄が増えるのではないかということも指摘されているわけですが、リサイクル推進という政府の流れの中に反するのではないかという指摘がされていますが。
 A: もちろんこの法規制のいろいろな考え方から見れば、もともと不法投棄が増えることを考えているわけではありません。従ってどのようにしたら安全問題などを踏まえながら、そのような問題が起こらないようにできるかということで、今後の対応策を考えていくことが大事だと思います。リサイクル、リユースも重要ですし、安全問題を確保するということも重要です。しかし法規制はきちんと、正直者がばかを見ないということも大事ですから、それらを総合的に考えながら、どのような対応策がいいのか、4月1日以降の対応策として、早急に考えていくことが重要だと思っています。

経産省は、広報不足以外にも5年間無駄に過ごしてきたようです。


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