保護者撮影卒業式ビデオ、校長がテープ保管

最近、よくわからない事例が多いです。

保護者撮影卒業式ビデオ、校長がテープ保管 都立戸山高
2006年03月09日15時53分
http://www.asahi.com/life/update/0309/008.html

 東京都立高校の卒業式で、式の様子を保護者の代表が撮影したビデオテープについて、「外部流出のおそれがある」として同校の校長が預かっていることが9日、分かった。保護者からは保護者が撮ったビデオを学校側が管理していることに、反発の声もあがっている。

だそうです。「保護者の代表」ということですが、

 問題となったのは、4日にあった都立戸山高校(新宿区、佐藤徹校長)の卒業式。同校などによると、会場全体を見渡せる2階からのビデオ撮影を希望する声が保護者からあがり、佐藤校長は、撮影者を代表1人とした上で、撮影テープを学校側に一時預けることを条件に許可した。保護者側もこれを了承して撮影。テープは現在、佐藤校長が管理しているという。

とのこと。
「撮影テープを学校側に一時預けることを条件に許可した」というのがよくわかりませんが、

 佐藤校長は「国旗・国歌など、昨今の卒業式を巡る様々な動向がある中で、外部流出のおそれがあり、一定期間預からせてもらうことにした。会場後部の保護者席からの撮影は自由に認めている」と主張。その上で、「テープは返却せず、希望者が校内で視聴できるようにしたい」と保護者側に申し出たという。内容を精査した結果、「本来、学校が管理すべき記録だった。肖像権、著作権の問題もある」という。

「外部流出のおそれがあり」といいますが、外部に漏れてまずいことでもしているんですか?都立戸山高の卒業式は。
しかも一方で「国旗・国歌など、昨今の卒業式を巡る様々な動向がある中で、外部流出のおそれがあり、一定期間預からせてもらうことにした。
会場後部の保護者席からの撮影は自由に認めている」と言っているので、言っていること自体がよくわかりません。
会場の管理権で統制することに校長の裁量はあるんでしょうけど、合理性がいまいちわかりません。
さて、「テープは返却せず、希望者が校内で視聴できるようにしたい」とのことですが、
(預かることは妥当としても、)テープは学校が用意したもの?でなければ、テープの所有権は保護者側になりますよね?横領ですね。
「希望者が校内で視聴できるようにしたい」公表権はその撮影した保護者(側)にありますよね?
もっとも、公表を前提に撮影したので、同意があるという解釈のできそうですけど。
「本来、学校が管理すべき記録だった。」というのはそれはそうでしょう。
「肖像権、著作権の問題もある」というのは、著作権についてはむしろ学校が管理していることに問題があるでしょう。
職務著作の可能性も「本来、学校が管理すべき記録だった」とあるので否定されるように思います。
また、肖像権についても、卒業式というある程度この場ですから、よほど特異な用い方をしないかぎりは問題にはならないように思います。
言っていることがいまいち理解できません。

 この事態に対し、保護者の一人が8日、都教委に対し、校長に指示をしたかどうかなど、見解をただす質問状を出した。この保護者は「一時預かることも問題なのに、保護者の私物を返さないなんておかしい」と話している。

あー、私物って書いてますね。告訴しましょう。

 同校の昨年の卒業式では、複数の卒業生が「東京都教育委員会のみなさんにお願いがあります。これ以上、先生たちをいじめないでほしい」「教師を人質にとった思想統制と私は考えます」などと訴えて話題となった。保護者によると、今年の式では、こうした事態は起きなかったという。
 都内の公立学校の卒業式を巡っては、都教委が国旗の掲揚、国歌の起立斉唱を各学校に強く指導。一昨年の卒業式では教職員約200人、昨年は約50人が職務命令に従わなかったとして戒告などの処分を受けた。

校長はこのような事情に敏感になっているのかもしれませんが、それ以上に法律にもっと敏感であるべきように思います。