裁判官のするべきこと

まずは、この記事を紹介したい。

靖国判決」を判事が批判、週刊新潮で「蛇足、越権」
 小泉首相靖国神社参拝を「違憲」と述べた福岡地裁の判決に対し、横浜地裁の現職裁判官が、15日発売の「週刊新潮」で、「主文に影響を及ぼさない憲法問題を理由欄にあえて書くのは『蛇足』というほかはない」と、痛烈な批判を浴びせている。
 法律雑誌などで裁判官が最近の判例に評釈を加えるケースはあるが、一般週刊誌への寄稿で“同僚批判”を展開するのは異例だ。
 この裁判は、九州地方の宗教関係者、在日韓国・朝鮮人らが、首相の靖国参拝で「信教の自由を侵害された」と主張、国家賠償を求めたもの。同地裁は今月7日、「参拝は、原告らに宗教上の強制などをしたものではないから、信教の自由を侵害していない」として請求を棄却したが、判決理由の中で、「参拝は憲法が禁じる国の宗教活動に当たり、違憲」と言及した。
 これを批判しているのは、井上薫判事(49)。「結論に至った理由は、参拝が違憲かどうかということと全く関係がない」「元来、裁判所はこの点について判断する権限を持たず、それをあえてするのは裁判所の越権」などとした上で、「マスコミ向けのスタンドプレーをし、当事者の一方に肩入れしすぎる裁判官が多い」と指摘した。
 さらに、そうした「蛇足判決」によって、〈1〉勝訴した側(この場合、小泉首相)が上訴できず実質的敗訴者となり、「濡れ衣(ぬれぎぬ)」を晴らせなくなる〈2〉司法が政治化し、中立性が喪失される――などの「弊害」が生じると懸念を表明。「裁判所は裁判の独立を守るためにも政治的な動きに巻き込まれてはならない。蛇足は厳に慎まなければならない」と結んでいる。
 矛先はメディアにも。井上判事は、記事で国民を「誤導」することのないよう、「真に判決理由なのか、蛇足ではないかという問題意識を抱いて客観的な眼(め)で判決文を検討して書くべき」だとしている。
 井上判事は東大大学院・化学専門課程(修士)修了。民間企業勤務の後に司法試験に合格、任官した異色の経歴を持つ。「刑事公判の実際」「裁判の基準」(法学書院)など著書も多い。
 井上判事は読売新聞の取材に、「自分の著書で唱えた『判決理由の蛇足』理論を、今回の事件に当てはめただけ。各裁判体は独立して裁判をするのだから、たとえ裁判所の組織内の者が(別の裁判官の判決を)批判しても、『内部批判』とはいえないと思う」としている。(読売新聞)
[4月15日3時9分更新]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040414-00000414-yom-soci

まったくもってすばらしい見解です。
さすがに週刊誌に寄稿するだけのことはあります。
それでいてこの裁判官さんは、
「参拝は憲法が禁じる国の宗教活動に当たり、違憲」かどうかという点には
まったく言及していません。
あくまで、関係のない憲法判断をするべきではないと言っているにすぎないのです。
確かに原告からすれば憲法判断してほしいでしょうが、
この場合被告が控訴できない制度をとっている以上やはりするべきではないでしょう。
それにしても、違憲なのに原告敗訴はやっぱりねぇ。

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