〜まだまだこれから〜

とりあえずのストは回避された。
しかし、まだまだ問題は多いようである。
NPB選手会交渉での合意事項に関して、なんだか解釈にズレあるようである。

日刊スポーツ 2004年9月12日(日) 9時38分
巨人が新規参入に異論、スト回避破綻も
 選手会側と経営者側の認識の「ズレ」が、深刻になりそうな気配が漂ってきた。巨人桃井恒和球団社長(57)が11日、都内の球団事務所で、前日の協議・交渉委員会での暫定合意事項について私見を披露。「新規参入球団の加盟促進を積極的に検討する」との項目について、「(申請があれば)阻害しないという意味」と説明した。現段階では新規参入について「聞いていない」とし、公募する案もないという。あえて「積極的に」の文言にこだわった選手会サイドとの温度差は否めない。16、17日の労使交渉が、厳しい攻防となるのは必至だ。
 桃井社長はこの日午後、球団事務所近くで清武代表から、前日の協議・交渉委員会の報告を受けた。その上で、6つの合意事項のうち「新規参入球団の加盟促進を積極的に検討する」について、「(新規参入の申請があれば)阻害しないという意味」と説明した。現段階では、新規参入を希望し、実行委員会に申請した企業はないとの前提と強調したが、新規参入球団を公募するといった能動的な具体的アイデアもないとした。選手会側との温度差がにじんだ。
 「積極的に」の文言は、前日の労使交渉の中で選手会側の要望で入れられたものではある。しかし最終的に経営者側も受け入れている。暫定合意とはいえ、1日たっただけでその解釈に微妙な影響を与えるような発言がなされた。
 またも「ズレ」が表面化した格好だ。前日も、合意事項1をめぐり、温度差があった。古田会長は、オリックス近鉄の合併を凍結した場合のシミュレーションをすることを経営者側が受け入れたことで「近鉄というチームが大阪に残る可能性がある」と判断し、スト延期を決断した。会見でも、そう明かした。しかし、会見後になって選手関係委員長のロッテ瀬戸山代表らから「合併は覆らない」などの発言があった。合意事項3の「来季はセ6、パ5以上」についても、オーナー会議で“ダイエー待ち”の可能性が消えなかった経緯から、古田会長が瀬戸山代表に執ように確認する場面があった。
 微妙な温度差は、さらに広がりかねない状況になってきた。桃井社長はまた、新規参入球団の条件として、まず「永続的に球団を保有できる」ことを挙げ、「社会的に批判される企業ではいけない」と、審査の必要性を強調した。この点については、大筋で選手会側の考えと一致するところだ。ただし「第3者が審査するのはどうかと思う」と疑問を投げかけ、「12球団で話し合えばいい」との見解を示した。このことが、新規参入促進の妨げになるのではとの疑念を選手会に与えかねない。
 同社長はさらに、前日に選手会の山崎弁護士が「0・1%でも(近鉄が)残る可能性があると判断したから(ストを延期した)」とコメントしたことを挙げ、「0・1%と言っているんだから、そう(凍結は困難と)認識していると思う」とも語った。
 また、経営者と選手会でともに協議していくことになったドラフト改革については、早くも衝突必至だ。「自由枠もそうだけど、職業選択の自由など、いろいろの経緯があって(現行制度が)できているから」と、選手会が主張する完全ウエーバー制への移行に否定的な見解を示した。18日以降のストをめぐる交渉期限は、17日午後5時。今週末のストはぎりぎりで回避されたが、予断を許さない状況であることは間違いない。
[ 9月12日 9時38分 更新 ]
http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=sports&d=20040912&a=20040912-00000006-nks-spo

常識的な解釈をすれば、桃井恒和球団社長の解釈はあまりにも文言を逸しており、
読賣新聞社という文字を媒体とする企業を母体とする球団社長の発言としては、
あまりにもなさけないものであって、桃井氏の見識を疑わざるを得ない。
それとも読賣新聞社では「積極的」の意味は世間で言う「消極的」にすぎないのだろうか?
私見ということなので、桃井恒和球団社長個人の国語力不足と考えるのが妥当だろうが、
読賣の看板を考えるなら、彼を球団と言う広告塔の社長としたことにも問題はあると思うが…。

単なる私見であるならいいが、そもそも合意がまとまっていない段階で、
球団社長がこのような文言からはずれる解釈を示すのは、今後の交渉を考えるとあまりよくないはずである。
企業の「偉いさん」であるはずのオーナー、球団代表がそのへんをわかってないことはないと思うだが、
だとすればなぜだろうか?
今後の交渉で選手会(やファンの多くが)が思っている「解釈」と「ズレ」があることがわかった以上、
その文言の意味についてさらなる議論も予定されるし、もっと紛糾することになるように思う。
もっといえば、この交渉態度自体の適法性も問われかねない。
裁判所が指摘し、コミッショナーに期待されたような状態とはいえないのではないだろうか?
あまりにも文言に反した主張を公の場でいうことはNPBにとって不利益事項以外の何ものでもない。
小手先だけの交渉では(ストの場合)損害賠償求めれるどころか、不当労働行為になるおそれすらあることを。
球団側は認識しなければならない。
このことについては、コミッショナーの根来氏が高裁から大役を仰せつかっているはずである。
根来氏も高裁判決をよく理解して動かないと、根来氏の「法律家」と名がけがれるであろうし、
それは、根来氏の所属した法務省検察庁公正取引委員会の名も汚すことになるのであろう。

さらに「0.1%」についてだが、選手会は可能性がないわけではない=要望が受け入れられる余地があるので、
可能性が0でない以上、「スト」できないというにすぎない。
「0・1%と言っているんだから、そう(凍結は困難と)認識している」かどうかななんてどうでもいい。
いえることは、「可能性が0」になった場合どうするかが問題ということである。
今度の交渉で「可能性が0」になった場合に、「(凍結は困難と)認識してい」たんでしょ?と言っても
意味のないことである。それを認識してストを回避したことは妥協でもなんでもないのである。
ここで折り合いがつけば、ストは回避できるだろうから、そうでない場合にどうすべきか?
そこを考えておく方が有意義である。もちろん、考えているだろうし、今は言えないだろうが…。

ところで、新球団の参入条件についてはいろいろ議論の余地があろう。

スポーツニッポン 2004年9月12日(日) 4時57分
パ事務局長 ライブドア参入資格なし
 パ・リーグの村田繁事務局長(64)は11日、プロ野球への新規参入を目指すライブドア社(東京・新宿区、堀江貴文
社長)が参加資格に問題があるとの見解を示した。専用球場や監督、コーチ、選手を保有していない同社は野球協約上、
球団として認められないとした。機構側首脳の見解に新規参入要件の緩和を求める選手会側の反発が予想される。
 ストライキ回避から一夜明け、選手表彰のため千葉マリンスタジアムを訪れた村田事務局長は新球団を設立しての新規
参入を目指すライブドア社について私見を述べた。
 「ライブドアが(新規)参入するにしても(堀江社長が)1人で来ても無理。協約にも“球団”というふうに書いてあ
る。たとえばシダックスは監督、選手、コーチ、オーナーがいて、草薙球場もある。そういう形だったら、資格というか
検討の余地はあるけど…」
 野球協約第31条には「新たにこの組織の参加資格を取得しようとする球団は…」とある。さらに第29条には専用球場
保有も規定されている。「球団」の定義を考えた場合、専用球場とともに、選手保有も必要だと村田事務局長は主張し
た。
 ライブドア社は先月19日に今月中にも日本プロ野球機構(NPB)へ新規加入を申請する新球団構想を発表。現在は3、
4カ所を本拠地の候補地として交渉中という。前日10日には球団の経営会社の準備を整えた上で加盟申請をすることを明
かしたが、選手雇用に関しては「合併球団のプロテクトを外れた選手やFA選手らを獲得する」としている。現時点では
球団としての形はなしていないだけに、新規参入は難しいというわけだ。
 10日の協議・交渉委員会では「新規参入球団の加盟の促進を図ること」で合意した。ライブドア社も堀江社長がホーム
ページ上で「良い風が吹いてくるであろうと感じております」とコメントしたが、球団の母体がない以上は難しい。クラ
ブチームの買収、専用球場の確保なども含めて、今後越えなければいけないハードルは高い。選手会側は近鉄、オリック
スの合併凍結が無理な場合は来季からの新規参入で「パ6堅持」を目指しているだけに16、17日の協議・交渉委員会が
紛糾することは必至だ。
 ≪選手いるの?≫巨人・桃井球団社長はパ・リーグ村田事務局長の発言を受けて「直接聞いてない」とした上で「(新
規参入を)申請してくれば“選手はどうなってるのか”と聞くのが自然。一般論として草野球の選手を連れてこられても
しようがない。(申請期限の)11月末までに出てきて選手はいませんよでは難しい」との見解を示した。ただ、ライブド
アには「情報を持ってないから答えようがない。申請されてから調べます」と語るにとどまった。
 ≪削減ありきに怒≫中日の伊藤球団代表は、ライブドアの新規参入に関するパ・リーグの村田事務局長の見解に反論し
た。「審査機関を設けてそこが判断するわけですからね。パ・リーグはチームを減らすことしか考えてない」と怒りをあ
らわにした。さらに「ある人が株式を上場してない会社はダメとか言われてましたが、ウチも巨人さんもそれならダメに
なる」とあきれ顔だった。
[ 9月12日 4時57分 更新 ]
http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=sports&d=20040912&a=20040912-00000000-spn-spo

ここでパ・リーグ会長が私見とはいえ披露するのは、混乱のもとだと思うが、
これから参入しようとするライブドアにとってもいい指摘と思う。
すでに「球団」がないと解釈するのは文言はもちろん、合理的な解釈である。
球団がない状態できても、本当に間に合うの?ということになりかねない。
もちろん、1から新球団をつくる以上、監督、選手、コーチ、専用球場を用意する必要があることは、
後先こそあれ、しなければならないが、形がないものを事前に承認するというのは、やはり困難である。
保証金を高くすることで担保するなども可能ではないだろうが、あまりにもリスクが高い。
専用球場については、参入促進の暫定規定を設けてもよさそうだが(その場合保護地域は無理かもしれないが)、
やはり「監督、選手、コーチ」といったチームの実体は必要のように思う。
球団会社という形式(会社の目的が球団運営である)だけで「球団」といえなくはないだろうが、
実質を備えることは必ずしも不合理とはいえない。
また、桃井氏が「一般論として草野球の選手を連れてこられてもしようがない。」というように、
球団の選手の能力をどのようにするか、も問題である。実際問題、プロ球団としての経営してゆくだけの
選手を集めなければならない、ということで担保されることになるのだろうか?

どうなるかわからないが、まだまだもめそうである。