〜ストのその後〜

プロ野球再編問題は一段落した。
まだまだ問題は山積なのだが、この時点で指摘しておきたいことがある。

1.なぜ再試合の有無を決定できないのか?
そもそも、ストライキに対して再試合なんてことあり得ない。
もちろん、9/18、19の同盟罷業であって、試合自体組むことは可能という考え方もあろう。
ただ、現実問題そのような解釈をとっているとも思えず、妥当とも思わない。
その日に組まれていた日程を動かすのは妥当でなく、
その試合はストライキによってなくなった。
その代替試合をさせることは、同盟罷業という組合の正当な行為に対して、
予定外の2試合をさせるという「不利益な取扱」であって、
不当労働行為となるように思われる。
不当労働行為とまではいえなくとも、選手会に対する組合活動軽視であることは否定できない。
そのような意識がないとしか思えないが、それでも、
する、しないの決断ができないのはどういうことか?
代替試合をする場合その日程は限られている。
まさか11月にしようと目論んでいるわけでもあるまい。
とすれば、準備をする場合、急を要する必要がある。
それでなんとかなるのか?
なら、新球団もなんとかなると考えるのが通常だと思うだが…。
それに、現在の「仮に代替試合は行なわれない場合」というのは、盛り上がりを欠けさせる。
せっかくのプレイオフ、マジック点灯へのカウントダウンを確定してきないのは
プロ野球に対するエンターテインメント性からも問題がある。
選手会との歩みあいができず、ストに至らしめたのも「経営判断」の結果である。
その結果のストなんだから、甘んじて受け入れるべきである。

2.合併新球団オリックス・バファローズ
経営的には合併だが、雇用的には新球団だ。
別にオリックス1+近鉄1=2で、多少のリストラがあるわけでなく、
1+1=1であって、救済措置のプラスαである。
1+1は協約の支配下選手規定による。
そのようなもとでは球団合併は単なる経営事項ではなく、
選手雇用にも大きな問題が生じるのである(だからこそ組合の交渉事項なのだ)。

さて、球団会社的には「オリックス」が残る。
しかし、選手、チームの実質から見れば、新チームである。
いまさらの話ながら、合併によって、顧客(ファン)が2倍になるのだろうか?
ファンからみれば(球団会社もそういうが)「新球団(チーム)」である。
報道では歴史ある?近鉄バファローズばかり取り上げられるが、
ブルーウェーブがなくなるオリックスブルーウェーブだって同じである。
しかも合併前後の経緯が経緯である。
今後の経営的にもファンへの説明も必要であったのではないかと思う。
こういう経営しかできないから、赤字の増大させたと思うのだが、どうだろうか?
合併してどうなるというのか?
1の経費で2の収益が得れるのか?そういうものでもない。
ファンも作り直しである。
地域がほぼ競合するチームがないならともかく、阪神がある。
(その意味で仙台人気も理解できる。長野や愛媛よりも人口や交通の問題でも優位。)
そんななか、ファンの「大きな」反感を買って新球団をつくる意義があるのか?
経営判断での合併というなら、合併に際してそのような判断しかできないなら、
身売りした方がよかったのではないか?と思う。

ところで、今になってやっと両球団からコメントがでた。
まずは、近鉄から。

2004年 9月24日 バファローズファンの皆様へ
 ファンの皆様、シーズンを通してのご声援まことにありがとうございました。
オリックス・ブルーウェーブ大阪近鉄バファローズ両球団の統合に端を発した今回の一連の件に
つきましては、ファンの皆様に大変ご心配をおかけいたしました。私どもといたしましてもまこと
に心苦しいものであり、ファンの皆様には心からお詫び申し上げます。
今回の統合につきましては、経営的な問題から断腸の思いで決断したものでありますが、一方、大
阪に強くて魅力のあるチームが今後とも存続することを願ってのことでもありました。来シーズン
は「バファローズ」の名を継承した新チームが、大阪ドームを本拠地としてペナントレースを戦い
抜くことを心から期待しております。
ファンの皆様におかれましては、新チームに対し、引き続き一層のご声援をいただきますよう何卒
よろしくお願い申し上げます。  
大阪近鉄バファローズ
 オーナー  田代 和
 社 長   小林 哲也
http://www.buffaloes.co.jp/cgi-bin/whats_display2002.cgi?rec:1+id:news

続いてオリックス

新球団名及び専用球場についてのお知らせ
オリックス野球クラブ株式会社では、「オリックス・ブルーウェーブ」と「大阪近鉄バファローズ」との統合後の新球団
名を「オリックス・バファローズ」とし、専用球場を「大阪ドーム」とすることといたしましたのでお知らせいたします。
なお、保護地域は兵庫・大阪のダブルフランチャイズとし、試合数はヤフーBBスタジアムと大阪ドームと半数ずつ程度で
検討しております。

<小泉社長コメント>
統合新球団の球団名が『オリックス・バファローズ』と決定いたしました。それと同時に専用球場は「大阪ドーム」に決定
いたしました。来季は新しいニックネームと新しい球場で頑張っていこうと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

新球団名がオリックス・バファローズに決まった理由としましては、やはり大阪において『近鉄バファローズ』として親
しまれ、根付いている伝統の名前を使わせていただくことにしました。
専用球場を大阪ドームに決めた理由は、統合するにあたりまして、近鉄サイドからの「大阪ドームを使ってほしい」という
強いご要望もあり、決定に至りました。

尚、現在の本拠地であるヤフーBBスタジアムは、神戸および大阪のWフランチャイズの許可をいただいていますので、試合
数は半数程度と考えています。来年度は交流戦も期待されていますので、新しい組み合わせも神戸のファンの方々にお
見せできると考えています。

また、この度の統合問題に際しまして、当該球団としてファンの皆様にご心配とご迷惑をお掛けいたしましたことを深く
お詫び申し上げます。
これからは大阪府兵庫県を保護地域として、新しい野球ファンの開拓に努めさせていただきたいと思います。
http://www.bluewave.co.jp/info/info.asp?n=665

今さらながらの「お詫び」である。
実際、ごたごた中にこのようなことをするのはファンの心情を逆撫するだけであったと思うが、
オリックス」がどうなるかは未定であったと思うが、
近鉄」がなくなることだけは明白だったはずである。
なぜ、これがもっと早くできなかったのであろうか?
また、「近鉄バファローズ」の本拠地最終戦に球団が積極的に、
ファンへの感謝イベントをやるべきだったように思う。
親会社ごとの完全消滅(清算)なら切り捨てでも仕方ない。
ただ、親会社に与えるイメージ、新球団のファン確保の点から疑問が残る。
近鉄バファローズ」の消滅の最終年、
そのごたごたは「近鉄」本体へのマイナス広告にしかならなかったように思う。
近鉄バファローズ」の消滅はやむを得ないにしても、
近鉄」の名を最大限、汚さぬようにすることはできたし、するべきだったと思う。
これができなかった球団社長小林哲也は無能だったとしかいいようがない。
合併自体についてオーナーの意向があるから社長も仕方ないが、
その上でなすべきことをやったのかというと「否」である。
無能という評価に反論があるなら、是非とも一方頂きたい。
合併決定前後から、ファンに対して具体的に何をしたのかを指摘しつつ。