本当にヤミならば財政民主主義違反の違法支出というべきだ。

ヤミ給与の支払いや受給が不当利得とならないのはなぜか、
財政民主主義原則からは、よくわからない。
包括的な市長や議会の承認があると考えているのだろうか?
しかし、市長も議会も市民も知らないのであるから、
財政民主主義原則からすれば、それに対する市民の同意など概念できず、
違法な支出といってもいいのではないだろうか。
それを許容する法律、条例がなるならば、違憲といってもいいと思われる。
「見直せばいい」という考えでは足りないのと思うのだが、
この重要な憲法問題を弁護士でもある大平助役はどのように考えているのだろうか?
「公費の支出が明らかになった」と表されるような類いの支出は
本来許されるべきではないと考えるところである。
これを違法と考えれば、返還にはなんら支障はないし、
むしろ当然のことだと思われるのである。
憲法違反という議論がないのには、何らかの理由があると思うのだが、
いったいどういう理屈なのか。御教授いただければ幸いである。


さて、違法でない「不適切」な支出という、
財政民主主義からはよくわからない概念を認めるとしても、
市長の返還は公職選挙法の寄附行為にあたるからできない、という考えがあるらしい。
具体的な規定がよくわからないのだが、
公職選挙法(昭和二十五年四月十五日法律第百号)の
第十四章 選挙運動に関する収入及び支出並びに寄附(第百七十九条―第二百一条)
のことであろうか?

(収入、寄附及び支出の定義)
第百七十九条  この法律において「収入」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の収受、その収受の承諾又は約束をいう。
2  この法律において「寄附」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束で党費、会費その他債務の履行としてなされるもの以外のものをいう。
3  この法律において「支出」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束をいう。
4  前三項の金銭、物品その他の財産上の利益には、花輪、供花、香典又は祝儀として供与され、又は交付されるものその他これらに類するものを含むものとする。

(届出前の寄附の受領及び支出の禁止)
第百八十四条  出納責任者…は、第百八十条第三項及び第四項、第百八十二条又は第百八十三条第三項及び第四項の規定による届出がされた後でなければ、公職の候補者の推薦、支持又は反対その他の運動のために、いかなる名義をもつてするを問わず、公職の候補者のために寄附を受け又は支出をすることができない。

第百九十七条(選挙運動に関する支出とみなされないものの範囲)
第百九十九条(特定の寄附の禁止)  

(公職の候補者等の寄附の禁止)
第百九十九条の二  公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。以下この条において「公職の候補者等」という。)は、当該選挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域。以下この条において同じ。)内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附をしてはならない。ただし、政党その他の政治団体若しくはその支部又は当該公職の候補者等の親族に対してする場合及び当該公職の候補者等が専ら政治上の主義又は施策を普及するために行う講習会その他の政治教育のための集会(参加者に対して饗応接待(通常用いられる程度の食事の提供を除く。)が行われるようなもの、当該選挙区外において行われるもの及び第百九十九条の五第四項各号の区分による当該選挙ごとに当該各号に定める期間内に行われるものを除く。以下この条において同じ。)に関し必要やむを得ない実費の補償(食事についての実費の補償を除く。以下この条において同じ。)としてする場合は、この限りでない。
2  公職の候補者等を寄附の名義人とする当該選挙区内にある者に対する寄附については、当該公職の候補者等以外の者は、いかなる名義をもつてするを問わず、これをしてはならない。ただし、当該公職の候補者等の親族に対してする場合及び当該公職の候補者等が専ら政治上の主義又は施策を普及するために行う講習会その他の政治教育のための集会に関し必要やむを得ない実費の補償としてする場合は、この限りでない。
3  何人も、公職の候補者等に対して、当該選挙区内にある者に対する寄附を勧誘し、又は要求してはならない。ただし、政党その他の政治団体若しくはその支部又は当該公職の候補者等の親族に対する寄附を勧誘し、又は要求する場合及び当該公職の候補者等が専ら政治上の主義又は施策を普及するために行う講習会その他の政治教育のための集会に関し必要やむを得ない実費の補償としてする寄附を勧誘し、又は要求する場合は、この限りでない。
4  何人も、公職の候補者等を寄附の名義人とする当該選挙区内にある者に対する寄附については、当該公職の候補者等以外の者に対して、これを勧誘し、又は要求してはならない。ただし、当該公職の候補者等の親族に対する寄附を勧誘し、又は要求する場合及び当該公職の候補者等が専ら政治上の主義又は施策を普及するために行う講習会その他の政治教育のための集会に関し必要やむを得ない実費の補償としてする寄附を勧誘し、又は要求する場合は、この限りでない。

第百九十九条の三(公職の候補者等の関係会社等の寄附の禁止)
第百九十九条の四(公職の候補者等の氏名等を冠した団体の寄附の禁止)
第百九十九条の五(後援団体に関する寄附等の禁止)
第二百条(特定人に対する寄附の勧誘、要求等の禁止)

199条の2にあたるとの考え方であろうか。
まず、「公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者
(公職にある者を含む。以下この条において「公職の候補者等」という。)は、」
とある。
「公職にある者、公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者」でないので、
「公職にある者」というだけで本条に該当することにはならない。
あくまで「公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者」でなければならない。
とするならば、「公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者」でなければよい。
要は関市長が「公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者」でなければいいいだけである。


自分が市職員の時代からそれを受け取っていたにもかかわらず、
市長になってその不適当さに気付かなかったのであるから辞任するべきであるし、
もし仮に万が一任期満了してまさか出馬するとはいうまい。
とすれば、「公職選挙法」上の障害はないと思うのだが…。


仮に返還が199条の2第1項にあたる返還にあたるとすれば、
199条の2第3項「何人も、公職の候補者等に対して、
当該選挙区内にある者に対する寄附を勧誘し、又は要求してはならない。」
にあたってしまうのではないか。
法律の錯誤は故意を阻却しないのなら、私は処罰されるのか?
これではあまりに表現の自由が制約されるではないか。
こんな憲法無視の解釈が許されるはずはないであろう。
とすれば、「財政民主主義」に反するヤミ支出もまた許されない。