8000枚の通貨偽造・同行使でも懲役6年の実刑。

通貨偽造、懲役6年=「8000枚以上使用」と被告−前橋地裁支部
 パソコンで1万円札などを偽造し使用したとして通貨偽造、同行使の罪に問われた無職野迫正隆被告(43)に対する判決が14日、前橋地裁高崎支部であった。大島哲雄裁判長は「通貨への信用性を甚だしく害した悪質な犯行」として、懲役6年(求刑懲役8年)を言い渡した。
 野迫被告は公判の中で、偽造した1万円札と1000円札計約8000枚以上を使用したことを認めていた。 
時事通信) - 1月14日11時0分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050114-00000783-jij-soci

「求刑懲役8年」だからそれとくらべると「6年」短いと言うことはないだろうけど、
刑法上は、

刑法(明治四十年四月二十四日法律第四十五号)

第十六章 通貨偽造の罪

(通貨偽造及び行使等)
第百四十八条  行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2  偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。

第百四十九条 (外国通貨偽造及び行使等)


(偽造通貨等収得)
第百五十条  行使の目的で、偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を収得した者は、三年以下の懲役に処する。

(未遂罪)
第百五十一条  前三条の罪の未遂は、罰する。

(収得後知情行使等)
第百五十二条  貨幣、紙幣又は銀行券を収得した後に、それが偽造又は変造のものであることを知って、これを行使し、又は行使の目的で人に交付した者は、その額面価格の三倍以下の罰金又は科料に処する。ただし、二千円以下にすることはできない。

(通貨偽造等準備)
第百五十三条  貨幣、紙幣又は銀行券の偽造又は変造の用に供する目的で、器械又は原料を準備した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

となっており、偽造、行使はともに「無期又は三年以上の懲役」が法定刑で、
両者は目的手段の関係にあるので、牽連犯ということでいいのでしょうか。

(一個の行為が二個以上の罪名に触れる場合等の処理)
第五十四条  一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
2  第四十九条第二項の規定は、前項の場合にも、適用する。

ということなので、やっぱり法定刑は、「無期又は三年以上の懲役」。
8000枚(一千円もあるので8000万円ではなさそうだが、全部1000円も800万)の
偽造通貨の行使による個人法益の侵害がどうなってのかは、わかりませんが(あっても観念的競合か?)
これで6年とは…
8000枚の紙幣っていうとすごい量。情状判断かもしれませんが、ちょっとどうかなと。