選撮見録その4〜重大な視点の見落とし

http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050122#p1
http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050125#p1
http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050127#p5


前回までは、このシステムは適法なのではないか?と思っていたが、
1つ、私の認識しているシステムを前提としてもその適法性を疑わしめる要素があった。
前回に記述した「全局予約」である。
通常は見たい番組を選んでそれを録画設定する。このことには問題はない。
見たい番組を個人的に視聴する目的で録画するのは、私的使用を目的とした複製といえる。
録画予約機能や記憶媒体が許すのであれば、みたい番組をいくつ録画しても問題ない。
しかし、このシステムにはそれを超えて包括的な録画指示システムがある。
このような包括的な録画システムにおいては、見る予定のないもの、見たくない番組をも録画されることになる。
このように必要以上の番組を録画することが、個人的に視聴する目的の録画といえるのか?ということである。
たしかに、通常のビデオ録画でもCMは見るつもりではないのに録画するといえば、それは私的使用の範囲外であるし、
実際撮ったものの見ないこともあろう。
しかし、これらはあくまでも個別的な指示のもとに、構成上やむをえず録画されるのであるから、
権利侵害の度合いは低い。そこまで厳格に解するべきではないであろう。
(逆にCMカットを問題視する考え方もあるが、ここにはこれ以上立ち入らない。)
これに対して、「全局予約」は見ない番組があまりにたくさん複製されることになり、
使用=視聴目的を欠くに至るのではないかという懸念がある。
もちろん、個別的な指示が集積することによって、同じ結果は導きうる。
しかし、その場合でも必要以上に録画指示をすることはないように思われる。
一方で、このシステムは、「最大約1,000時間(24時間X7日)」を録画する。
不必要な番組までもを録画するのである。
この点で今流行りのキーワード録画とは決定的に異なる。
また、現実問題それだけの番組を視聴するのは不可能でもある。
(実際一定期間後に削除される。)
このような目的での複製は、私的使用目的を逸脱し、違法というべきであって、
そのようなシステムをつくることも違法複製の幇助と認定されないかいう懸念が生じるのである。
もっとも、複製しても見ないだけで削除されるのであれば、そこまで厳格に解する必要もないように思える。
「使用目的」にどの程度言及するかにもよろうが、気になる点であるので、記しておきたい。


ところで、自動削除機能は、権利保護の観点からつけられるものであるが、
それゆえに利用主体性を転換させたり、目的を否定したりおそれもある。
機能を付与した製造者等は、それによってかえって侵害といわれるおそれがあるのである。
非常に微妙な問題であり、裁判所はこの機能の評価にあたっては熟考した上で、判断するべきであろう。


なお、前回紹介した
http://ics.bb4u.ne.jp/service/yoridori.html
(インターネットマンションのBB4U:選撮見録(TVデジタル録画システム))
は、現在閲覧できないようです。