管理職選考受験資格確認等請求事件(3)

最大判平成17年1月25日(平成10年(行ツ)第93号) 管理職選考受験資格確認等請求事件
http://courtdomino.courts.go.jp/judge.nsf/dc6df38c7aabdcb149256a6a00167303/f3cd7fd4599ab8af49256f9500263dc3?OpenDocument


目 次
管理職選考受験資格確認等請求事件(1)判決要旨
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050126#p3
管理職選考受験資格確認等請求事件(2)事案の概要
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050127#p4
管理職選考受験資格確認等請求事件(3)判旨(多数意見、補足意見、意見)
 本 稿


判旨(多数意見)
 破棄自判。
 「地方公務員法は,一般職の地方公務員(以下「職員」という。)に本邦に在留する外国人(以下「在留外国人」という。)を任命することができるかどうかについて明文の規定を置いていないが,普通地方公共団体が,法による制限の下で,条例,人事委員会規則等の定めるところにより職員に在留外国人を任命することを禁止するものではない。普通地方公共団体は,職員に採用した在留外国人について,国籍を理由として,給与,勤務時間その他の勤務条件につき差別的取扱いをしてはならないものとされており,…昇格等も…勤務条件に含まれるものというべきである。しかし,上記の定めは,普通地方公共団体が職員に採用した在留外国人の処遇につき合理的な理由に基づいて日本国民と異なる取扱いをすることまで許されないとするものではな」く,「合理的な理由に基づくものである限り,憲法14条1項に違反するものでもない。
 「管理職への昇任は,昇格等を伴うのが通例であるから,在留外国人を職員に採用するに当たって管理職への昇任を前提としない条件の下でのみ就任を認めることとする場合には,そのように取り扱うことにつき合理的な理由が存在することが必要である。地方公務員のうち,住民の権利義務を直接形成し,その範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い,若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い,又はこれらに参画することを職務とするもの(以下「公権力行使等地方公務員」という。)については,次のように解するのが相当である。すなわち,公権力行使等地方公務員の職務の遂行は,住民の権利義務や法的地位の内容を定め,あるいはこれらに事実上大きな影響を及ぼすなど,住民の生活に直接間接に重大なかかわりを有するものである。それゆえ,国民主権の原理に基づき,国及び普通地方公共団体による統治の在り方については日本国の統治者としての国民が最終的な責任を負うべきものであること(憲法1条,15条1項参照)に照らし,原則として日本の国籍を有する者が公権力行使等地方公務員に就任することが想定されているとみるべきであり,我が国以外の国家に帰属し,その国家との間でその国民としての権利義務を有する外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは,本来我が国の法体系の想定するところではないものというべきである。そして,普通地方公共団体が,公務員制度を構築するに当たって,公権力行使等地方公務員の職とこれに昇任するのに必要な職務経験を積むために経るべき職とを包含する一体的な管理職の任用制度を構築して人事の適正な運用を図ることも,その判断により行うことができるものというべきである。そうすると,普通地方公共団体が上記のような管理職の任用制度を構築した上で,日本国民である職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることは,合理的な理由に基づいて日本国民である職員と在留外国人である職員とを区別するものであり,上記の措置は,労働基準法3条にも,憲法14条1項にも違反するものではないと解するのが相当である。そして,この理は,前記の特別永住者についても異なるものではない。
 「これを本件についてみると,…当時,…甲は,公権力行使等地方公務員の職に当たる管理職のほか,これに関連する職を包含する一体的な管理職の任用制度を設けているということができる。そうすると,甲において…,合理的な理由に基づいて日本の国籍を有する職員と在留外国人である職員とを区別するものであり,上記の措置は,労働基準法3条にも,憲法14条1項にも違反するものではない。原審がいうように,上告人の管理職のうちに,企画や専門分野の研究を行うなどの職務を行うにとどまり,公権力行使等地方公務員には当たらないものも若干存在していたとしても,上記判断を左右するものではない。」


裁判官藤田宙靖の補足意見
 「乙が,日本国で出生・成育し,日本社会で何の問題も無く生活を営んで来た者であり,また,我が国での永住を法律上認められている者であることを考慮するならば,本人が日本国籍を有しないとの一事をもって,地方公務員の管理職に就任する機会をおよそ与えないという措置が,果たしてそれ自体妥当と言えるかどうかには,確かに,疑問が抱かれないではない。しかし…,最終的には,それは,各地方公共団体が採る人事政策の当不当の問題であって,本件において甲が執った措置が,このことを理由として,我が国現行法上当然に違法と判断されるべきものとまでは言えないのではないかと考える。その理由は,」「入管特例法の定める特別永住者の制度は,それ自体としてはあくまでも,現行出入国管理制度の例外を設け,一定範囲の外国籍の者に,出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)2条の2に定める在留資格を持たずして本邦に在留(永住)することのできる地位を付与する制度であるにとどまり,これらの者の本邦内における就労の可能性についても,上記の結果,法定の各在留資格に伴う制限…が及ばないこととなるものであるにすぎない。…また,現行法上の諸規定を見ると,許可制等の採られている事業ないし職業に関しては,各個の業法において,日本国籍を有することが許可等を受けるための資格要件とされることがあるが…,これらの規定で,特別永住者を他の外国人と区別し,日本国民と同様に扱うこととしたものは無い。他方,日本の国籍を有しない者の国家公務員試験受験資格を否定する人事院規則…において,日本郵政公社職員への採用に関しては,特別永住者もまた郵政一般職採用試験を受験することができることとされるが,このことについては,特に明文の規定が置かれている…。以上に照らして見るならば,我が国現行法上,地方公務員への就任につき,特別永住者がそれ以外の外国籍の者から区別され,特に優遇さるべきものとされていると考えるべき根拠は無く,そのような明文の規定が無い限り,事は,外国籍の者一般の就任可能性の問題として考察されるべきものと考える。
 「ところで,外国籍の者の公務員就任可能性について,原審は,日本国憲法上,外国人には,公務員に就任する権利は保障されていない,との出発点に立ちながらも,憲法上の国民主権の原理に抵触しない範囲の職については,憲法22条,14条等により,外国籍の者もまた,日本国民と同様,当然にこれに就任する権利を,憲法上保障される,との考え方を採るものであるように見受けられる。しかし,例えば,?外国人に公務員への就任資格(以下「公務就任権」という。)が憲法上保障されていることを否定する理由として理論的に考え得るのは,必ずしも,原審のいう国民主権の原理のみに限られるわけではない(例えば,一定の職域について外国人の就労を禁じるのは,それ自体一国の主権に属する権能であろう。)こと,また,?「憲法上,外国人には,公務員の一定の職に就任することが禁じられている」ということは,必ずしも,理論的に当然に「こうした禁止の対象外の職については,外国人もまた,就任する権利を憲法上当然に有する」ということと同義ではないこと,更に,?職業選択の自由,平等原則等は,いずれも自由権としての性格を有するものであって,本来,もともと有している権利や自由をそれに対する制限から守るという機能を果たすにとどまり,もともと有していない権利を積極的に生み出すようなものではないこと,等にかんがみると,原審の上記の考え方には,幾つかの論理的飛躍があるように思われ,我が国憲法上,そもそも外国人に(一定範囲での)公務就任権が保障されているか否か,という問題は,それ自体としては,なお重大な問題として残されていると言わなければならない。しかしいずれにせよ,本件は,外国籍の者が新規に地方公務員として就任しようとするケースではなく,既に正規の職員として採用され勤務してきた外国人が管理職への昇任の機会を求めるケースであって,このような場合に,労働基準法3条の規定の適用が排除されると考える合理的な理由の無いことは,多数意見の言うとおりであるから,上記の問題の帰すうは,必ずしも,本件の解決に直接の影響を及ぼすものではない。」
 「そこで,進んで,本件の場合に,労働基準法の同条の規定の存在にもかかわらず,外国籍の者を管理職に昇任させないとすることにつき,合理的な理由が認められるかどうかについて考える。記録を参照すると,甲がこのような措置を執ったのは,「地方公務員の職のうち公権力の行使又は地方公共団体の意思の形成に携わるものについては,日本の国籍を有しない者を任用することができない」といういわゆる「公務員に関する当然の法理」に沿った判断をしたためであることがうかがわれる(参照,昭和48年5月28日自治公一第28号大阪府総務部長宛公務員第一課長回答)。しかし,一般に,「公権力の行使」あるいは「地方公共団体の意思の形成」という概念は,その外延のあまりにも広い概念であって,文字どおりにこの要件を満たす職のすべてに就任することが許されないというのでは,外国籍の者が地方公務員となる可能性は,皆無と言わないまでも少なくとも極めて少ないこととなり,また,そのことに合理的な理由があるとも考えられない。その意味においては,職務の内容,権限と統治作用とのかかわり方,その程度によって,外国人を任用することが許されない管理職とそれが許される管理職とを分別して考える必要がある,とする原審の説示にも,その限りにおいて傾聴に値するものがあることを否定できないし,また,多数意見の用いる「公権力行使等地方公務員」の概念も,この点についての周到な注意を払った上で定義されたものであることが,改めて確認されるべきである。ただ,その具体的な範囲をどう取るかは別として,いずれにせよ,少なくとも地方公共団体の枢要な意思決定にかかわる一定の職について,外国籍の者を就任させないこととしても,必ずしも違憲又は違法とはならないことについては,我が国において広く了解が存在するところであり,私もまた,そのこと自体に対し異を唱えるものではない。そして,本件の場合,甲は,一たび管理職に昇任させると,その職員に終始特定の職種の職務内容だけを担当させるという任用管理をするのではなく,したがってまた,外国人の任用が許されないとされる職務を担当させることになる可能性もあった,というのである。この点につき,原審は,管理職に在る者が事案の決定過程に関与すると言っても,そのかかわり方及びかかわりの程度は様々であるから,…一律に在留外国人の任用を認めないとするのは相当ではなく,上記の基準により,在留外国人を任用することが許されない管理職とそれが許される管理職とを区別して任用管理を行う必要がある,という。もとより,そのような任用管理を行うことは,人事政策として考え得る選択肢の一つではあろうが,他方でしかし,外国籍の者についてのみ常にそのような特別の人事的配慮をしなければならないとすれば,全体としての人事の流動性を著しく損なう結果となる可能性があるということもまた,否定することができない。こういったことを考慮して,甲が,一般的に管理職への就任資格として日本国籍を要求したことは,それが人事政策として最適のものであったか否かはさておくとして,なお,その行政組織権及び人事管理権の行使として許される範囲内にとどまるものであった,ということができよう。もっともこの点,専ら,本件における乙の立場についてのみ考えるならば,本件において,乙を管理職に昇任させることが,現実に全体としての人事の流動性を著しく損なう結果となるおそれが大きかったか否かについては,原審において必ずしも十分な認定がなされているとは言い難く,したがって,この点について審理を尽くさせるために,原判決を破棄して本件を差し戻す,という選択をすることも,考えられないではない。しかし,いうまでも無く,在留外国人に管理職就任の道を制度として開くかどうかは,独り乙との関係のみでなく,在留外国人一般の問題として考えなければならないことであって…,こういったことをも考慮するならば,甲が,本件当時において外国籍の者一般につき管理職選考の受験を拒否したことが,直ちに,法的に許された人事政策の範囲を超えることになるとは,必ずしも言えず,また,少なくともそこに過失を認めることはできないのではないか,と考える。」



裁判官金谷利廣の意見
 「憲法は,我が国の公務員に就任できる地位(以下「公務員就任権」という。)について,これを一般的に保障する規定を置いてはいないが,日本国民の公務員就任権については,憲法が当然の前提とするものとして,あるいは,国民主権の原理,14条等を根拠として,解釈上これを認めることができると考える。
しかし,公務員(地方公務員を含む。)制度をどのように構築するかは国の統治作用に重大な関係を有すること,公務員の種類は多種多様で,その中には,外国人が就任することが国民主権の原理からし憲法上許容されないと解されるもの(ただし,その範囲をどう考えるかは議論が分かれる難しい問題である。)や外国人の就任が不相当なものが少なくないこと,また,外国人にも就任を認めるのが妥当であるか否かは当該具体的職種の職務内容,人事運用の実態等により左右されること,さらには,これまでの内外の法制の歴史等にかんがみると,日本国民に対し解釈上認められる憲法上の公務員就任権の保障は,その権利の性質上,外国人に対しては及ばないものと解するのが相当である(国の基本法である憲法において公務員の職種を区別してその一部については外国人の公務員就任権を保障していると解することは,明文の規定がない以上,妥当であるとは思われない。)。憲法は,外国人に対しては,公務員就任権を保障するものではなく,憲法上の制限の範囲内において,外国人が公務員に就任することができることとするかどうかの決定を立法府の裁量にゆだねているものというべきである。
 「そこで,地方公務員に関する法制をみると,地方公務員法は,外国人を一般の地方公務員に就任させることができるかどうかについて規定を置いていないし,その就任を禁止する規定も置いていないから,地方公共団体は,外国人を当該地方公共団体の職員に採用できることとするか否かについて,裁量により決めることができるものといわなければならない。すなわち,我が国の現行法制上,外国人に地方公務員となり得るみちを開くか否かは,当該地方公共団体の条例,人事委員会規則等の定めるところにゆだねられているのである。そして,地方公共団体のこの裁量権は,オール・オア・ナッシングの裁量のみが認められるものではなく,一定の職種のみに限って外国人に公務員となる機会を与えることはもちろん,職務の内容と責任を考慮し昇任の上限を定めてその限度内で採用の機会を与えること,さらには,一定の職種のみに限り,かつ,一定の昇任の上限を定めてその限度内で採用の機会を与えることも許されると解されるのであって,その判断については,裁量権を逸脱し,あるいは濫用したと評価される場合を除き,違法の問題を生じることはないと解される(この点に関する詳細については,上田裁判官の意見を援用する。)。
 「労働基準法112条により地方公務員にも適用があるものとされる同法3条との関係についていうと,外国人に地方公務員に就任する門戸を開くか否かについては地方公共団体の判断にゆだねられていると考える私のような見解によると,外国人に対し一定の職種の地方公務員に就任するみちを全く開放しないこととしても,原則として違法の問題が生じないのに,その一部開放である昇任限度を定めた開放措置については裁量に関し制約が伴うこととなるのは,甚だ不合理なことであり,また,それでは外国人に対する公務員となるみちの門戸開放を不必要に慎重にさせるおそれもあると思われる。したがって,労働基準法3条は,門戸を開く裁量については適用がなく,開かれた門戸に係るその枠の中での運用において適用されるにとどまるものと解することになる。」 本件においては…,裁量権の逸脱・濫用として違法性を帯びることはなく,…違法はないと考える次第である。」
 「なお,付言すると,公務員の職種の中には外国人が就任しても支障がないと認められるものがあり,国際化が進展する現代において,定住外国人に対しそれらの公務員となるみちの門戸を相当な範囲で開放してゆくことは,時代の流れに沿うものということができるし,また,乙のような特別永住者がその一層の門戸開放を強く主張すること自体については,よく理解できる。しかし,この問題は,私の見解からすると,基本的には,政治的ないしは政策的な選択の当否のレベルで議論されるべきことであって,違憲,違法の問題が生ずる事柄ではないということである。」


裁判官上田豊三の意見
 「憲法は,在留外国人につき我が国の公務員に就任することができる地位を保障するものではなく,在留外国人が公務員に就任することができることとするかどうかの決定を立法府の裁量にゆだねているものと解するのが相当である。
 「ところで,地方公務員法は,在留外国人の地方公務員への就任につき,これを就任させなければならないとする規定も,逆にこれを就任させてはならないとする規定も置いていない。したがって,同法は,この問題につき,それぞれの地方公共団体が条例ないし人事委員会規則等において定め得るという立場(すなわち,当該地方公共団体の裁量にゆだねるという立場)に立っているものと解されるのである。
 「それぞれの地方公共団体は,在留外国人の地方公務員への就任の問題を定めるに当たり,ある職種について在留外国人の就任を認めるかどうかという裁量(便宜「横軸の裁量」という。)を有するのみならず,職務の内容と責任に応じた級についてどの程度・レベルのものにまでの就任(昇任)を認めるかどうかについての裁量(便宜「縦軸の裁量」という。)をも有するものと解すべきである。換言すれば,在留外国人の地方公務員への就任の問題をどのような制度として(横軸・縦軸の両面において)構築するかは,それぞれの地方公共団体の裁量にゆだねられていると解されるのである…。この地方公共団体の裁量にも限界があり,裁量権を逸脱したり,濫用したと評価される場合には,違法性を帯びることになる。縦軸の裁量における限界については,私は,現在,次のように理解すべきものと考えている。すなわち,当該地方公共団体が縦軸の裁量として行使したところが,地方公務員法を中心とする地方公務員制度全体から見ておよそ許容することができないと思われる場合には,裁量の限界を超えていると解することになる。例えば,地方公務員のうち,地方公共団体の公権力の行使に当たる行為若しくは地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い,又はこれに関与する者について,解釈上,その就任に日本国籍を有することを必要とするものがあるとされる場合に,地方公共団体がそのような地方公務員にも在留外国人の就任を認めることとしたとき(すなわち,在留外国人への門戸を開放しすぎた場合,換言すれば縦軸の裁量の行使が広すぎた場合)には,裁量の限界を超えていると解することになる。また,逆に,例えば,在留外国人については,その給与を特段の事情もないのに初任給程度に限定することとし,そのような級に相当する職務を専ら行うものと位置付けて地方公務員への就任を認めることとしたような場合(すなわち,門戸の開放が極端に狭い場合,換言すれば縦軸の裁量の行使があまりにも狭すぎる場合)には,在留外国人を蔑視し,在留外国人に苦痛のみを与える制度として,あるいは在留外国人の労働力を搾取する制度として構築したものとして地方公務員制度上のいわば公序良俗に反し,裁量の限界を超えていると解することになろう。そして,在留外国人の地方公務員への採用につき当該地方公共団体の構築した制度が裁量の限界を超えていないと判断される場合には,在留外国人に対しその制度上許容される範囲を超えた取扱いをしなくても,違法の問題は起きないことになる。なお,その構築した制度の範囲内においては,労働基準法3条や地方公務員法13条の平等取扱いの原則の精神に基づき,在留外国人同士あるいは在留外国人と日本人との間において平等取扱い等の要請が働くことになる。
 「本件においては…その制度は,上記に述べたような縦軸の裁量の限界を超えているものではなく,その裁量の範囲内にあるものとして,違法性を帯びることはないというべきである。したがって,違法はないと解すべきである。」