またまた立法府の財政問題。

国会職員、議員のお相手で緊張!? “お疲れ”手当6億7500万円
 衆参両院と国立国会図書館の職員計約三千九百人に対して、本給や残業手当とは別に「国会会期中の勤労の強度が著しい事務」を名目として「国会特別手当」が支給されている。戦前の帝国議会からの慣行として続いているもので、平成十七年度政府予算案にも約六億七千五百万円が計上されている。国会側は「議員との接触に緊張を強いられる」(国立国会図書館)などと説明しているが、「勤労の強度」の定義はあいまいで“お手盛り”との指摘も出ている。
 来年度に支給される「国会特別手当」は、中央省庁の課長級以下に当たる職員が対象。月給に対する支給割合は課長級にあたる管理職が0・4カ月分(国立国会図書館員は0・316カ月分)、非管理職が0・55カ月分(同0・435カ月分)となっている。
 予算案には衆院約三億六百万円、参院約二億四千五百万円、国会図書館約一億二千四百万円、計六億七千五百万円を計上。単純計算で、一人当たり平均一七・三万円が本給に上乗せされる。
 戦前の帝国議会からの慣行とされるが、支給の根拠は、昭和三十五年に改定された「国会職員の給与等に関する規程」の八条「国会会期中に勤労の強度が著しい事務に従事した国会職員に国会特別手当を支給することができる」という一文だ。これに基づき三十五年度以降、月給一カ月未満の手当が毎年支給されることになった。
 もっとも、この規程は手当を与えることが「できる」ことを定めているだけで、必ずしも支給する必要はない。国会特別手当の支給を疑問視した自民党政治制度改革本部の国会改革委員会が平成十二年三月、手当を三年から五年かけて全廃するリストラ策を示し、改善を求めた。
 その結果、十三年度から支給割合を漸減し、十六年度からは衆参両院の事務総長や事務次長、国立国会図書館の館長などの幹部に限って廃止された。
 しかし、それ以外の職員の手当については、支給割合が下がったものの継続されている。
 国会職員であれば、国会議員を相手にするのは通常の業務と考えられるが、支給を受ける理由について当事者側は「国会が始まると理事会や委員会がいつ開催されるか分からず、職員の勤務体制も不規則になり、事実上、休暇も取れない状態となる」(衆院人事課)、「議員に突然呼ばれても、説明に行かなくてはならない」「不定期に議員に接しなければならないほか、運転手は国会議員が同乗しているので運転中、緊張を強いられる」(参院同)などと説明している。
産経新聞) - 2月9日3時6分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050209-00000002-san-soci

確かに、「国会職員の給与等に関する規程」の法文規定そのものについて、
著しく不合理というわけではない。
しかし、規程は内部の事務取扱いについて定めたものである。法令自体は、

特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年十二月十二日法律第二百五十二号)
(国会職員の給与)
第十一条
 第一条第三十号に掲げる特別職の職員の受ける給与の種類、額、支給条件及び支給方法は、国会職員法(昭和二十二年法律第八十五号)及び同法の規定に基く国会職員の給与等に関する規程の定めるところによる。

とするだけなのである。
しかも、この規程ネット上で見れないからさらにたちが悪い。
さらにいえば、以前国立国会図書館の記事についてコメントしたときにも書いたように、
http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050207#1107755244
国会職員法の規定も包括的でそれ以降は調べることができなかった。
参議院http://www.sangiin.go.jp/japanese/guide/houki/3.htm
衆議院:不明
国立国会国会図書館http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/laws.html
調べたのにこれでは、理解もなにもあったものではない。
ひとりひとりの給料を公開せよとは言わないが、すべての法令はネット上で公表していただきたいと思う。
行政府はだいたいできているんだけどねぇ〜。

※「国会職員の給与等に関する規程(抄)」を別途
 http://page.freett.com/okeydokey/に掲載しました。
                   2005/2/18追記

さて、話を戻そう。
規程で定めていることの是非はともかく、
「国会会期中に勤労の強度が著しい事務に従事した国会職員に国会特別手当を支給することができる」
という文言を根拠に、
「国会が始まると理事会や委員会がいつ開催されるか分からず、職員の勤務体制も不規則になり、
 事実上、休暇も取れない状態となる」
「議員に突然呼ばれても、説明に行かなくてはならない」
不定期に議員に接しなければならないほか、運転手は国会議員が同乗しているので運転中、
 緊張を強いられる」
などと、という。
そこで、まず思うのが、通常の職員の給与の額である。
これを見てると、残業手当の変わりですか?と思いたくもなるし、
国会職員である以上、国会議員との接触は当然であるし、
そもそもなぜ国会議員との接触を緊張する必要があるのかすら疑問である。
国民からみれば、そらは本来の業務であって、給料に反映されているのではないか?
というのが率直な疑問であろう。
しかし、その検討すらできず、妥当なものかどうかがわからない。
わからない以上、あえて別途支給することの不当性を推認するしかないであろう。
本来業務である以上、給料に含まれていると解するべきだからである。
本来業務でないというのなら、職務内容ごとに支払うべきであろう。
しかし、記事によれば管理職、非管理職で一律支給なのであるから、
合理性はないものと言わざるを得ないのである。
また、文言的に解釈しても、
「国会会期中に」「勤労の強度が著しい事務に従事した」国会職員であって、
国会会期中にある程度の勤労の強度が増すことが当然予定されていると考えられる。
予定される以上の「著しい事務」でなければならないのである。
以上のように、考えると規程の実体制度を評価することは困難である。
給与が著しく安く、残業手当ももないのであれば、それでもいいかと思うが、
そんなことはないでしょう?
一部仮定はあるものの、仮定になったのは、ネット上で公表していないからである。
(今日、現行法令を図書館で調べろ、というのは余りにナンセンスです)


いずれにせよ、現状を評価することはできないので、早急に改善していただきたいものです。
給料もホームページも。


なお、今回は触れていませんし、調べてもいませんが、
「国会職員の給与等に関する規程 会議録」で検索すると、議運委や予算委の会議録もみれます。
直接http://kokkai.ndl.go.jp/で調査してもいいんでしょうが…。
http://www.google.co.jp/search?q=%E5%9B%BD%E4%BC%9A%E8%81%B7%E5%93%A1%E3%81%AE%E7%B5%A6%E4%B8%8E%E7%AD%89%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E8%A6%8F%E7%A8%8B%E3%80%80%E4%BC%9A%E8%AD%B0%E9%8C%B2&hl=ja&lr=&ie=UTF-8&inlang=ja&c2coff=1&filter=0