福利厚生・給与制度の見直しに係る労使交渉の状況について(2)

福利厚生・給与制度の見直しに係る労使交渉の状況について(1)
http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050208#1107798261


「2月5日大阪市労働組合総連合(市労組連)との交渉の要旨」が公表されています。
http://www.city.osaka.jp/soumu/topics/kumiai/rousoren/050205.htm
前回の市労連とは、どう違うのか?
http://www.nikkei.co.jp/kansai/topics/24802.htmlによれば、
労働組合連合会(市労連、約4万人)  
労働組合総連合(市労組連、約3000人)
とある。
要は系統の違う2労組であって、後者は
日本自治体労働組合総連合系の
http://homepage1.nifty.com/osaka-shiro-so/の系統だと思われる。
※事実誤認があれば、ご指摘ください。


まず組合からの意見として、

1. 本日は市側からの「見直し」提案を受け、組合として討議するため交渉に臨んでいます。もともと、私たちの側から市当局として早く提案・協議するように求めていたものであり、本日に至ったことそのものが問題です。
2. 労働組合が労働条件について市当局と交渉を行うことは、労働基本権の行使であり、地方公務員法でもその必要性を述べられていることです。同時に、現在のように「大阪市の改革」が必要なときに、団体交渉内容の報告を通じて大阪市職員がその討議に参加し、自らの賃金・労働条件を納得づくで、決めていく事が求められています。その権利が保障されてこそ、大阪市の改革をすすめ、市の将来を職員一丸となって作り上げていく基礎となるものです。
3. その点からみると、今回のトップダウンによる「見直し」案の作成経過は乱暴なものです。カラ残業など不正なものの是正や条例に基づかない福利厚生事業の見直しなどは当然改めるべきですが、条例や規則で支給の根拠を持ち、さらには勤務時間の違いによって支給されてきた手当などを一括りにして「見直し」を求めることは、問題があります。
4. 市民の怒りが最も集中しているのは「カラ残業」問題です。不正な支給については返還することは当然のことです。その上で問題なのは、市当局が自らの責任を一切明らかにしようとしていないことです。
本庁部局、事業部局と異なり、区役所ではなぜ超過勤務をした本人、また命令者が超勤命令簿に記載せず、担当者が月末に一括記載処理していたなどの使用者の管理責任も問われています。また、区役所では長年にわたり、事業主管局ごとに超勤予算が細分化され、それぞれごとに個別配分を受けていたため、現場では年度途中の超勤予算執行を抑制し、年度末の繁忙期に備えるなど、いびつな配分システム、つまり「まとめどり」「翌月回し」などが行われてきた実態があります。こうした予算配分、執行システムを今日まで放置してき、改善してこなかった責任は重いものです。
5. 昨年来、都市経営諮問会議の後押しによって、市政運営が根本的に変えられようとしていますが、2月1日に開催された諮問会議で本間座長が、労使での交渉がはじまる前に「厚遇削減で生まれる180億円の一部を、来年度新設する重点政策予算枠(50億円)に上乗せすることを提案した」と報じられ、その上乗せ分を、都市再生本部がすすめる「都市再生促進助成制度」にもとめ、企業の誘致に上限3億円の補助金を10倍の30億円にする案が急浮上しています。大企業優遇の施策といえるものです。見直しを進めても、福祉を削り、一方では第3セクターの破たん処理や大規模開発に税金を投入し続けることは納得できません。

とあります。前回にも述べたように労働基本権自体は重要なものです。
「その権利が保障されてこそ、大阪市の改革をすすめ、
 市の将来を職員一丸となって作り上げていく基礎となるものです。」という考えそのものは不当とは思いません。
しかし、今回の改革は一丸となって作り上げて果たしていいものになるのか?
ということに市民のそもそもの疑問があると思うのです。
そもそも、今までの福利厚生はその基本権行使の賜物なのです。
だからといって、基本権が無視されてもいいとまではいいませんが、ある種自業自得の結果といえると思います。
さて、「カラ残業など不正なものの是正や条例に基づかない福利厚生事業の見直しなどは当然改めるべきです」。
もちろんです。市の側に問題があるのであれば、それも問題視するべきでしょうし、
労働者の側の問題も責任にするべきでしょう。
おっしゃるように「返還すれば済むと言う問題ではありません。」
万引きして「返せばいいんだろ」と言って返しても許されるものではないのです。
労働組合として、責任追及することは、結構ですが、では、あなた方はどういう責任をとったのでしょうか?
同時に市民にそのことを言うべきでしょう。そうでないと、市民の後押しは得られません。
 次に、根拠法のあるものですが、その法律の合理性が今問題となっています。
あくまで諸制度を「一括り」にしていることについて、その他、財源削減の不均衡さについて、
労働組合側は憤りを覚えているのでしょう。
第3セクターの破たん処理や大規模開発に税金を投入し続ける」ことの不可解さは市民も疑問の多いことでしょう。
その意味では、指摘の一部は理解できると思うのですが、それでも、ではそれを福利厚生にまわすかといえば、
疑問でしょう。
 確かに、条例等に基づくものとそうでないものを区別すべきであるという見解は正しいですが、
だからといって、市民の信頼回復という意味では密接不可分なことです。
ある程度の峻別は必要でしょうが、全く別ものといいきっては市民の信頼回復は難しくなると思われます。

6. これまでの労使交渉は、多数組合である市労連と市側との間でのいわゆる「労使委員会」方式によって歪められてきました。この方式がいま「労使の癒着」と批判をされ、ヤミ問題を生む根本原因でもあります。それは、交渉を形骸化し、議論を組合員から見えない密室で行い、理事者と組合幹部だけで結論を出しそれを押し付けるというものです。民主主義のルールから外れたやり方でした。議会や市民に隠れた決着ということだけではなく、組合員も労使交渉から疎外された存在にされてきたのです。これらの問題点が改善されることが必要です。市民からは自浄能力が欠けていると批判があり、市民の目線で問題を解決するためにも交渉内容をオープンにすることが求められます。
http://www.city.osaka.jp/soumu/topics/kumiai/rousoren/050205_1.htm

おっしゃるように、「交渉内容をオープンにすることが求められます。」
ここは一度、過去の不透明な交渉結果をすべていったん白紙(廃止)にした上で、
(つまり、市側の決定を受け入れた上で、)透明な交渉をして、何が市民から見ても合理的なものかを
決めていく方が市民も納得のいく制度ができ、堂々と福利厚生を得れると思うのですが、どうでしょうか?

http://www.city.osaka.jp/soumu/topics/kumiai/rousoren/050205_4.htm

民間との比較や過去の経緯をすべて、公開のテーブルですべて明らかにすれば、
市民も無茶なことは言わないでしょうし、多くの市民が納得できる制度ができると思います。