ライブドアvsフジテレビ〜ニッポン放送をめぐる攻防〜その9

その1
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050212#1108151898
その2
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050223#1109154089
その3
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050224#1109193675
その4
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050225#1109271054
その5
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050226#1109352342
その6
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050227#1109440504
その7
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050304#1109872566
その8
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050310#1110393768
関連記事
 新株の有利発行
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050307#1110129677

仮処分が認められました。

新株予約権発行を差し止め 東京地裁ライブドアの申請認める
 ニッポン放送株をめぐりライブドアが、フジテレビジョンに対する同放送の新株予約権発行を差し止めるよう求めた仮処分申し立てについて、東京地裁(鹿子木康裁判長)は11日、「フジサンケイグループ経営陣の支配権維持が主たる目的」と判断、発行を差し止める決定をした。
 今回の司法判断により、ライブドアは50%超まで株を買い増して同放送の経営権奪取を狙う。ニッポン放送は、決定を不服として同地裁に即日、保全異議を申し立てる。
 決定理由で鹿子木裁判長は、大量の新株予約権発行が、商法で差し止めの対象とされる「著しく不公正な方法で、一般株主に損害を与える新株発行」に当たると判断。
 ニッポン放送側は「グループにとどまることが企業価値を高め、株主の利益となる」と主張したが、鹿子木裁判長は「企業価値が著しく棄損されることが明らかであるとまでは認められない」とした。
 また、ライブドア時間外取引によるニッポン放送株の大量取得は、証券取引法に違反しない、と判断した。
 フジテレビは株式公開買い付け(TOB)成立により、議決権ベースで39・26%のニッポン放送株を取得し、合併など重要な経営事項について拒否権を握っている。
 ニッポン放送は2月23日、ライブドアが株式をどれだけ買い進めても過半数を制することができないよう、発行済み株式を上回る大量の新株予約権をフジに割り当てる防衛策を打ち出した。
 ライブドアは翌日、ニッポン放送の防御策に対し、支配権維持のみが目的などとの理由で「著しく不公正」と差し止めを求める仮処分を申請。ニッポン放送側は時間外取引を利用したライブドアの株取得も違法だと主張していた。(共同)
 ■商法二八○条ノ一○ 会社が、法令もしくは定款に違反し、または著しく不公正な方法によって株式を発行し、これによって株主が不利益を受ける恐れがある場合は、株主は会社に対してその発行を止めるよう請求することができる。(共同)

 ≪新株予約権仮処分決定骨子≫
 一、新株予約権の発行は、現経営陣の支配権の維持を主たる目的としており、許されない
 一、ライブドアの支配権取得により、ニッポン放送企業価値が著しく棄損されることが明らかとはいえない
 一、ライブドアが行った時間外取引は、証券取引法に違反しない
 一、したがって新株予約権の発行は、商法で差し止めの対象とされる「著しく不公正な方法」にあたる
 一、ライブドアの担保金は5億円とする
(共同)

 ニッポン放送亀渕昭信社長は11日夕、東京地裁新株予約権発行に対する差し止めの仮処分決定をしたことに対して「主張が認められず残念だ」と語った。(共同)

 ≪ニッポン放送株めぐる動き≫
 ・1月17日 フジテレビがニッポン放送株の公開買い付け(TOB)実施発表
 ・18日 TOB期間スタート
 ・2月8日 ライブドアニッポン放送株の約35%を取得し筆頭株主
 ・10日 フジテレビがTOBの目標を50%超から25%超に引き下げ
 ・23日 ニッポン放送がフジテレビに大量の新株予約権の発行を決定▽ライブドアニッポン放送株の保有比率が約42・5%に
 ・24日 ライブドア新株予約権の発行差し止めを東京地裁に申請
 ・3月1日 東京地裁で第1回審尋
 ・4日 第2回審尋
 ・7日 フジテレビのTOBの応募締め切り
 ・8日 フジテレビがニッポン放送株の36・47%を確保しTOB成立
 ・11日 東京地裁新株予約権発行差し止めを決定
 ・24日 新株予約権発行(予定)
 ・25日 新株予約権の行使請求期間開始(6月24日まで)
 ・31日 ニッポン放送の株主名簿確定
 ・6月下旬予定 ニッポン放送の定時株主総会
(共同)
(03/11 18:18)
http://www.sankei.co.jp/news/050311/sha098.htm

仮処分の第一歩で、そんなにかわった判決がでるというのも無理だろうからこの判決こそ“想定の範囲内”でしょう。
ただ、鹿子木康裁判長は民事第8部でいわゆる商事部さんのようなので、
それを考えると、保全部よりはかわった判決がでる可能性はあったはずなので、
その意味では、異議審以降どうなるのかなぁ?という感じですね。
異議審って、同じ民事8部の別構成ですの?
一応6人いるみたいだし?
西岡清一郎:山口和宏:名島亨卓:鹿子木康:佐々木宗啓:大寄久(平成16年10月1日現在)


さて、骨子については、結論しかないので、なんともいえないが、
ニッポン放送側としては、「ライブドアの支配権取得により、ニッポン放送企業価値が著しく棄損されることが明らか」
といえれば、勝訴できる可能性があるということなのだろうか?
本件とは離れるが、「証券取引法に違反する」株取引に対する対抗としてはないうるということだろうか?
こんな骨子からすると、教科書どおりの決定ということのような気がします。


ちなみに、異議審で債務者の逆転勝訴となった高知のイチヤの新株予約権発行差止仮処分事件があります。
高知地決平成16年6月1日(井野憲司裁判官)に対する、高知地決平成16年7月8日(西村修裁判官)。
ただ、この事件は具体的事情から資金調達の必要性を認めたもので、やはり本件への参考にはならないものと思います。
(参考:商事法務1706、51頁)


決定書をアップしてくれるのを待ちたいところです。
すでに送達されているようです。
http://www.jolf.co.jp/company/IR1242/PDF/2005_3_11lose.pdf
(なんて自虐的なファイル名)
なお、http://www.jolf.co.jp/company/IR1242/index.htmlには、
先日の別の株主からの件も掲載されています。
http://www.jolf.co.jp/company/IR1242/PDF/20050309.pdf

2. 仮処分の申立てをした株主の氏名等
債権者
(1) 氏名下野順一郎
(2) 所有株式数(所有割合) 1,500 株(0.005%)
(3) 当社との事業上の関係株主
3.申立ての内容
平成17 年2 月23 日開催の当社取締役会において決議されたフジテレビに対する本新株予約権の発行につき、そ
の発行を差止める仮処分の申立て。
4.今後の見通し
当社は、本新株予約権の発行に法的な瑕疵は無く、何ら問題はないことから、当社の正当性を主張、立証してま
いる所存であります。

ということは、法律上は発行後に株を取得した株主でも差止請求できるということ?
ライブドアはあるとすればhttp://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2005_0228_01/headlinesか?
決定文はきっとライブドアなり、ニッポン放送なりがスキャンしてアップしてくれることでしょう。
(一部書き改めました。2005.3.12)