教師の個人情報管理能力

児童の成績控えなど盗難 教諭がパチンコ中に
 前橋市の市立小学校の50代の男性教諭が、パチンコ中に乗用車を荒らされ、担任をしている3年生の児童38人分の出席簿や、成績の控えなどを盗まれていたことが26日、分かった。
 市教委によると、教諭は22日午後5時半ごろ、帰宅途中に市内のパチンコ店駐車場に車を止め、約1時間後に車に戻ると、助手席の窓ガラスが割られていた。音楽の成績を控えた書類や児童のゴム印、出席簿がケースごとなくなっており、前橋署に届けた。
 教諭は校長とともに保護者に事情を説明し、謝罪しているという。
 市教委の砂川次郎学校教育課長は「やむを得ず書類を持ち出す場合は寄り道をしないよう指導していた。誠に残念で、再発防止に努めたい」としている。
共同通信) - 3月26日11時28分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050326-00000054-kyodo-soci

この類いの事件は後を断ちません。
市教委の砂川次郎学校教育課長の言を信じれば、
「やむを得ず書類を持ち出す場合は寄り道をしないよう指導」されていたのであるから、
この50代の男性教諭の行為は指導違反であることは間違いない。
ただ、50代というベテラン教諭であることからすれば、指導があろうとなかろうと、
このようなことに至ったのは理解し難いところである。
ほんの1時間というつもりだったのだろうか?鍵をかけているから安心だったのだろうか?
パチンコに行くなというつもりはない。ただ、どうして持ち帰った際に寄ったのか?
今までの頻繁にやっていて油断していたからであろうか?
それとも、無性にやりたくなってしまったからだろうか?
また、持ち帰るのが本当にやむをえない場合であったのか?
いろいろ検証するべき点は多いように思います。
この記事からは周辺事実はなにもわからないが、市教委は調査しているものと信じたい。


ところで検索すると、

全校生徒の個人情報盗難 岐阜県各務原市の中学教諭
 岐阜県各務原市の市立蘇原中学校(田口和男校長)の男性教諭が車上荒らしに遭い、全校生徒の個人情報を記載した名簿入りのかばんと、卒業生の成績を記録したパソコンを盗まれていたことが20日、分かった。
 各務原署が窃盗容疑で捜査している。蘇原中はこれまでに個人情報が悪用された様子はないとしている。
 同校によると、教諭は16日夜、帰宅途中に寄った岐阜市のショッピングセンターの駐車場に自家用車を止めていた。
 名簿は緊急連絡用に教諭に配布されており、生徒679人の名前や保護者名、電話番号などを記載。ノートパソコンには2001、02年度の卒業生約500人の成績が残っていた。
共同通信) - 2月20日16時47分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050220-00000050-kyodo-soci

ショッピングセンターとパチンコという生活の必要性という観点からは、
岐阜の事件の方が情状酌量の余地はあるけれでも(被害は大きいけれど…)、
鍵をかけた車だから安全というのは大間違いなわけで、
児童生徒の個人情報を預かる先生方には十分気をつけて欲しいと思うのです。
記事からはわかりませんが、ノートパソコンのデータにはパスワードがかかっていたのかどうかも重要です。
記事なっていないということからすれば、かかっていないということでしょう。
100%盗まれないようにすることは残念ながら不可能でしょうが、
どこまで盗まれないように努力しているか、ということが重要のように思います。
とはいえ、

名簿入ったパソコン盗難 静岡の小学校教諭が被害
 静岡県豊田町の町立小学校の女性教諭宅から、全校児童と新1年生の計480人分の名簿などが入ったノートパソコン1台が盗まれていたことが15日、分かった。磐田署は窃盗事件で捜査している。
 同町教委によると、被害に遭ったのは今月10日午後9時すぎで、自宅2階の仕事部屋にあったパソコンや現金入りの財布などが盗まれた。教諭や家族は1階にいたが気付かなかったという。
 パソコンには児童や保護者の氏名、住所、電話番号などの個人情報が入っていた。教諭が学級編成の作業などのため、学校のパソコンからダウンロードして自宅に持ち帰ったという。
共同通信) - 3月15日10時43分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050315-00000050-kyodo-soci

10日程前にあったこの事件の場合、在宅中の自宅での出来事で持ち帰りを許した時点でやむをえない面もあると思いますが…
それでもデータ保護をしているのかどうかでも違うとは思いますが…。


ちなみに、盗難被害にあった先生の処遇としては、

個人情報:内申書持ち出し盗難被害 高校教諭を戒告処分−−県教育局 /埼玉
 県西部の県立高校の男性教諭(43)が昨年10月、10人分の生徒の大学入試の内申書と推薦書の入ったバッグを盗まれていたことが14日、分かった。同日現在で発見されていない。県教育局は同日付でこの男性教諭を戒告処分にした。
 同局の調べでは、男性教諭は昨年10月15日、担任する生徒の内申書10人分と、このうち8人分の推薦書を無許可で学校から持ち出した。その後、東武東上線北坂戸駅近くの飲食店2店で約6時間にわたって飲酒し、同日午前3時ごろ、始発電車を待つため同駅前のベンチで約1時間寝ている間に、抱え持っていたショルダーバッグを盗まれた。
 内申書には生徒の名前、住所、生年月日、成績などが、推薦書には名前が書かれていた。同局は、被害に遭った昨年10月時点では公表せず、生徒や保護者に事実関係を伝え謝罪した。こうした対応について同局は「個人情報紛失だが、生徒の動揺を少なくするために進路が決まってからの発表とした。被害は出ていない」と話している。【小原綾子】
3月15日朝刊
毎日新聞) - 3月15日16時25分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050315-00000030-mailo-l11

があります。
内申書10人分と、このうち8人分の推薦書」「無許可で学校から持ち出し」
「飲酒し、午前3時ごろ、始発電車を待つためベンチで約1時間寝ている間に、
 抱え持っていたショルダーバッグを盗まれた。」
という事例で「戒告処分」。適当なのかどうか判断が難しいところです。
横浜市教育委員会のホームページには
http://www.city.yokohama.jp/me/kyoiku/jinjika/jinji/shobunrei.htmlが掲載されており、
ここでは、教育公務員として不適切な行為として、
「児童・生徒等の個人情報等の不適切な管理」は「戒告」「減給」「停職」だそうです。
「免職」はありませんが、「本市教育に対し、重大な信用失墜を与えた場合」には「減給」「停職」「免職」なので、
著しい場合にはこの項に該当する場合があるかもしれません。
埼玉県の基準はわかりませんが、同様だとすると、
少し軽いような気がします。
「無許可で学校から持ち出し」「飲酒してベンチで睡眠中」ということからすると、軽いような気がします。
ところで、埼玉県教育委員会には、「埼玉県教育委員会懲戒処分公表基準」なるものがあるようです。
http://www.pref.saitama.jp/kyouiku/contents/kyousyokuin_j_1/news_02082901.html
あくまで原則なので、例外ということなんでしょうけどねぇ…。

【処分5】
 1 処分内容   懲戒処分(戒告)
 2 処分年月日  平成17年3月14日
 3 職名・年齢・性別  教諭・43歳・男性
 4 地域・校種 西部地区・県立高校
 5 発生年月日 平成16年10月16日
 6 事件・事故の概要
   当該教諭は、平成16年10月15日、担任する学級の生徒の大学入学試験出願
  用調査書10名分及び推薦書8名分を自宅において記入するため、ショルダーバッ
  グに入れて退勤した。その後、事故者は同調査書及び同推薦書を入れたショルダー
  バッグを持ったまま、同日午後9時ごろから東武東上線北坂戸駅近くの2軒の飲食
  店で飲酒等をした。同教諭は、翌16日午前3時ごろ店を出て、同駅前のベンチで
  始発電車を待っていたが、同日午前4時ごろまで眠ってしまい、その間に同調査書
  及び同推薦書の入ったショルダーバッグを盗まれた。
http://www.pref.saitama.jp/kyouiku/contents/news_sorce/n05031401.html

どうせなら、公表の際になぜ例外的に処理したのか、という項目を付すべきでしょう。
上記記事を読まないと
「個人情報紛失だが、生徒の動揺を少なくするために進路が決まってからの発表とした。」という判断がわかりません。


教育委員会などはどのようにして個人情報管理について教師に指導しているのかわかりませんが、
今のままですと、同種の事件はまだまだ続きそうです。
もちろん、教師ひとりひとりの意識が大事なのは言うまでもありませんが、
組織としてもなんらかの防止策を考えて欲しいものです。