尼崎列車事故について

今回のテーマはJRの対応と国土交通省の対応、マスコミの対応
なお、本ブログでは事故原因そのものについては検証しておりません。

JR福知山線脱線:
JR西日本、肝心な情報「調査中」−−「置き石」公表だけ早く


 ◇JR西、終日右往左往
 87年のJR発足以降、最悪の事故となった福知山線の快速電車脱線事故は、現地からの情報が錯そうしたのか、JR西日本の対応は25日、一日中右往左往した。


「踏切で車と列車が衝突したようだ」。大阪市北区芝田にある同社本社に入った事故の一報だ。現場が踏切の近くで、脱線車両近くに巻き添えになったとみられる大破したワンボックスカーがあったことから、踏切内に取り残された車と快速が衝突したという情報が駆けめぐった。本社内には「うちは被害者」という雰囲気さえ漂った。
 ところが、その約1時間後、脱線場所は踏切の手前という情報が入る。乗客数も当初情報の2倍以上の約580人だったことも分かった。脱線した車両数も当初は3両。その後、4両、5両に訂正を重ねた。
 同日昼に開いた会見で、JR西日本は快速が手前の伊丹駅でのオーバーランで、定刻より運行が遅れていたことを公表。現場付近でのスピードの出しすぎが脱線を招いた疑いが浮上した。「遅れを取り戻すため、急がせたのでは」との報道陣の質問に、青ざめた表情の垣内剛社長は「原因究明に努める。被害者の方々への対応に誠意を尽くしたい」と答えるのが精いっぱいだった。
 さらに、同社は、運転士が過去3年間に3度もオーバーランなどのトラブルで社内処分を受けていたことを明らかにした。その一方で、事故現場近くのレール上に石の粉砕痕が見つかったと述べ、「置き石の可能性」を示唆した。
 しかし、置き石による脱線転覆事故は80年2月の京阪電鉄の事故以外、報告されたことのないレアケース。報道陣からは「都合のいい情報しか出ないのか」と疑問の声が出た。
 その間、垣内社長は尼崎市内の遺体安置所になった同市記念公園総合体育館を訪問。3時間かけて遺族に面会した後、午後11時過ぎから再び本社で会見した。置き石の可能性をにおわせたことに、北側一雄国交相は不快感を示していた。その国交相の反応に関して会見で厳しい質問が相次いだ。しかし、垣内社長は「最悪の事態から会社を立ち直らせることが私の責任」と辞任の意向どころか、内定している関西経済同友会代表幹事への就任予定についても、あいまいな答えに終始した。
 置き石情報は公表しながら、肝心の脱線時の電車の速度は「事故調査委員会が調査中。社内に情報がない」の一点張り。報道陣から「人が何人も死んでるんですよ」とただされる場面もあった。
(中略)【宇城昇】(※つづく)

 まずは会見での置き石に関して。
 筆者は、会見で置き石を発表したときの中継を見ていたが、それほどの疑問はもたなかった。
むしろ言葉を選んでいるという印象をすら受けた、というのが感想である。
それより疑問に思ったのは、なぜJR関係者がそのようなものを発見できたか?ということの方だ。
現場に被疑者/参考人であるJR関係者が立ち入れたことの方が疑問だった。
置き石の可能性をにおわせたことに、北側一雄国交相は不快感を示し」たそうだが、
筆者からすれば、事故調査委員会も管理する国土交通省がJR関係者を立ち入らせたことの方が不快であり、
そのことに疑問をもたない国土交通省最高責任者に不信感を覚える。
もちろん、本当にあの会見で公表したことには賛否両論あろう。
ただ、国土交通省関係者にそのこと自体を責める資格はない。
むしろ立ち入らせた現場責任者を処分するべきであろう(警察関係者も同様である)。
あの時点での発表云々以前に、あの時点でJR関係者が知ったこと自体問題だったのである。


 JRの会見はできるだけ生中継でみた。残念なことに途中で切られたりもしたが…。
どうしてもキャスターを介すると少しニュアンスがぼけてしまう。
筆者の印象としては、「粉砕痕」があった。そのことと事故との因果関係は不明。
粉砕痕」は「置き石」による可能性が高い、という発表と認識している。
記者会見をすべて検証しないとなんともいえないが、「置き石」報道は「粉砕痕」発表をマスコミが、
摺り替え、誇張した可能性も検証する必要があるのではないか?とさえ思っている。


 もちろんJRも問題である。自社の情報は小出しであったことは否定できない。
運転士の処分歴は当初運転士のものだけだった。
車掌時代のだからいいと思ったのか?その点くわしくはわからないが(この会見部分は見ていない)、
人事情報を一括管理してないなんてわけはないのである。
(もししていないならこういう所を改善して節約するべきである。)
なお、

高見隆二郎運転士(23)の処分歴

02年5月:車掌として勤務中、電車が停車駅を誤って通過した際、非常ブレーキをかけずに訓告処分
03年8月:指導車掌として勤務中、乗客に「目がうつろ」と言われ、厳重注意
04年6月:運転士になって間もなく、片町線で上り快速電車を運転中、
      停車予定の下狛駅(京都府)を約100メートルオーバーランしたとして、再び訓告処分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050425-00000114-yom-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050425-00000112-mai-soci参考

である。「目がうつろ」で、厳重注意?はぁ?である。
よくこれでマスコミのみなさん納得しましたね。
乗客に「目がうつろ」と言われたら厳重注意なんですか?もっと具体的に言って下さい。
どうやら「居眠り」という報道が今ではあるようですが。

(※つづき)
◇「なぜ虚偽報告したのか…」−−車掌聴取後、苦渋の会見
 JR西日本は26日、兵庫県警の事情聴取を終えた車掌から約1時間半にわたって聞いた事故当時の運転士とのやり取りなどを明らかにした。
 それによると、25日午前9時14分ごろ、伊丹駅で快速電車が約40メートルオーバーラン。車掌は、高見隆二郎運転士から車内ブザーで停止位置を直す連絡を受け、バックして乗客を乗り降りさせ、約1分半遅れて発車。しかし、高見運転士から車内連絡電話で「(オーバーランの距離を)少し短くなるように」と言われ、運転指令に「約8メートル行き過ぎた」と虚偽報告したという。車掌はその後、オーバーランで電車が遅れたことについての苦情を乗客から受け、おわびの車内放送を流していた。そのころ、急ブレーキをかけて停車したような感覚を受け、脱線したことが分かったという。運転指令は、オーバーランなどの確認をするため、車掌からの報告を受けて高見運転士に無線連絡を2回したが、応答はなかったという。同社の三浦英夫・運輸部長は「なぜ虚偽報告をしたのか理解に苦しむ」としている。
毎日新聞 2005年4月26日 大阪夕刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2005/04/26/20050426ddf010040011000c.html

「なぜ虚偽報告をしたのか理解に苦しむ」ようでは社員を管理する側としては能力不足です。
仮にわからなくても、わかるように努力しなさいよ。
こちらとしては運輸部長でありながらそのような発言を会見でするあなたの方が理解に苦しみます。
もちろん、このことは本当に本社も騙されてた側かもしれませんが、
オーバーラン」と事故との関係も言われているところですし、
もっと背景をきっちり検証、検討するべきでしょう。
こういうことは「理解に苦しむ」とし、「粉砕痕」は細かに説明する。
するなら「粉砕痕」と同じくらい考えて説明するべきでしょう。
そういう点からすれば、「置き石」強調ということも必ずしも間違いではないのでしょうが…。


そうそう、事故当時、突っ込まれたマンションに関してはほとんど報道されていませんでした。
非常に気になっていたんですけどね。住民というか列車外で事故に巻き込まれた人の情報が。
同じ情報繰り返すならそういうところの情報もきっちりして欲しいものです。


各方面とも、今はそれどころではないでしょうが、
一区切りついたときには、ここに書いたようなことを今一度検証して頂きたいと思います。

過去の関連記事
尼崎列車脱線事故+その影に隠れて?(2005.4.25 13:42)
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050425#1114404132
尼崎列車事故女性専用車両(2005.4.26 18:20)
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050426#1114507217
#当初に書いた(JR)宝塚線福知山線は愛称と正式名称?