尼崎列車事故と女性専用車両

目次
女性専用車両終日導入
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20040906#p1
東京でも導入。
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050328#1111935912
首都圏女性専用車両プレスリリース
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050404#1112596977
埼京線女性専用車両拡大導入。
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050404#1112608926
なぜ女は男をみると痴漢だと思うのか なぜ男は女の不快感がわからないのか―痴漢大論争!
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050408#1112886956
公明党女性専用車両賛成?
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050409#1112980652
参考記事
IC定期券の今後?
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050204#1107496367

まずは、この記事。

JR福知山線で電車横転事故、死者16人・負傷者も多数
 [東京 25日 ロイター] 25日午前9時過ぎ、JR福知山線の尼崎─塚口間で電車脱線事故が発生した。NHKは、兵庫県警察本部の話として、この事故で男性10人、女性6人のあわせて16人が死亡、185人が負傷したと伝えている。
(略)
 共同通信などの報道によると、25日午前9時18分ごろ、宝塚発同志社前行きの快速電車(7両編成)が脱線し乗用車と衝突、先頭車両が線路脇のマンション1階部分に激突、大破した。  兵庫県警や尼崎市消防局によると、女性専用車両を含む電車の前3両が脱線。事故の重軽傷者は数十人に上るとみられ、消防などがけが人の救助に当たっている。
(ロイター) - 4月25日12時7分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050425-00000525-reu-bus_all

福知山線列車事故、乗用車と衝突して脱線したのではない=国交省幹部
 [東京 25日 ロイター] 25日午前9時18分頃、兵庫県尼崎市潮江4のJR福知山線の踏み切り手前で、宝塚駅同志社前駅行きの上り快速電車(7両編成)が脱線、乗用車と衝突し、先頭車両が線路脇のマンション1階部分に激突した。先頭車両は大破した。
(略)
 国交省などによると、脱線したのは女性専用車両を含む前4両。午後1時現在で、先頭車両に10―20人程度閉じ込められている。事故発生当時、約580人の乗客乗員がいた。
 現場は、右カーブで時速70キロ以下の制限箇所。列車は、直前の停車駅だった伊丹駅で停止位置を8メートル行き過ぎ、修正のために伊丹駅を約1分30秒遅れで出発。通過した塚口駅を約1分遅れで運転していた。
(以下、略)
(ロイター) - 4月25日14時54分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050425-00000546-reu-bus_all

1本目「共同通信などの報道によると、…女性専用車両を含む電車の前3両が脱線。」
2本目「国交省などによると、脱線したのは女性専用車両を含む前4両。」
その他、いくつかのテレビ報道でもこういう報道がありました。
がしかし、この時間には女性専用車両は存在しないはず。
http://www.jr-odekake.net/guide/woman/によれば、

設定日時
平日(月〜金曜日) 始発〜9:00 17:00〜21:00

区間篠山口〜尼崎
列車種別: 普通・快速
車体が青色および青色のラインが入っている電車(7両編成)
車両位置: 三田・篠山口方面行きは前から5両目、
北新地・大阪方面行きは前から3両目

とある。
確かに9時以前にこの区間を走る快速であれば前から3両目は女性専用車両であるが、
事故があったのは9:18ころ。すでに女性専用車両はないのである。
(ちなみにこの電車が宝塚をでたのも9:00以降である。)
最初に「女性専用車両」と言い出したのが「共同通信」なのか「国交省」なのか、その他なのか…
すくなくとも女性専用車両に関与している国交省が間違うはずは無い。
(つまり国交省がもしそういう発表をしていれば誤りであり、謝って済む問題では無い。)
犯人探しはしないが、9時を境に解除される鉄道は多いので報道機関にとっては当然知りうる事項である。
にもかかわらずこのような「誤報」がなされたのはまず問題であろう。
何両目までが脱線したのかは、時の経過で明らかになっていく事項だが、これはそうではない。
3両目を「女性専用車両」と表現するのは誤報である。
今なお、そのような表現を用いているテレビ報道は、訂正謝罪するべきである。

<電車脱線>通勤客ら悲鳴、車両めちゃくちゃ 流血の人次々
 兵庫県尼崎市で25日午前起きたJR福知山線の脱線・横転事故。「直前の伊丹駅オーバーランした」「いつもよりもスピードが出ていた気がした」。乗客たちが不審感を感じていたその直後に、突然電車は大きく左側に傾き、乗客たちは前のめりに倒れ込んだ。血だらけで折り重なりながらも、助けを求める乗客たちの悲鳴。現場では、救急隊員らがあわただしく救出作業に追われた。脱線後に線路脇のマンションに突っ込んだ先頭の電車は大破して壁にへばりつくように横たわり、事故の衝撃の強さを物語った。なぜ、こんな事故が起きたのか――。
 ◆事故の瞬間 
 「ジェット機が着陸するようなごう音とともに、猛スピードで走って来た電車が、マンション横の立体駐車場に激突し、マンションにぶつかった。『ワー』『キャー』という悲鳴がたくさん聞えた」。事故の瞬間を目撃した現場近くの鉄工所経営の男性(65)は恐ろしそうに語った。
 脱線した電車に乗っていた通勤途中の兵庫県西宮市、会社員、林貞夫さん(52)は「急ブレーキがかかって、立っていた乗客全員が前のめりに倒れた。車内で悲鳴が響き、かばんが散乱した。左側の窓からは前方に横転した女性専用車両が見え、身動きできなくなっている女性もいた」と話していた。
 先頭車両に乗っていた男性は「普段よりカーブでスピードが出過ぎていると思った。突然、外に膨らんだ感じがして外側に傾いて、車体が浮き上がったように感じ、目の前にマンションが大きく近づいてきた。気づいたら、乗客はみんな、折り重なるように倒れていた。先頭車両には、20〜30人が乗っていたと思う」と話した。
(以下、略)
毎日新聞) - 4月25日16時6分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050425-00000033-mai-soci

毎日新聞社の記事も検索にかかった。
ただ、この記事はあくまで一被害乗客の言葉を引用したにすぎず、毎日自身の言ではない。
3両目を「女性専用車両」と表現したにすぎない。


さて、今回の記事に書きたいことは、ロイターや一部テレビ報道の誤報ということもあるが、それだけではない。
それは、この事故がもし女性専用車両実施時間帯だったどうだったか?ということである。
まだ、車両別死傷者状況というのはわからない。
もし、2両目と3両目と4両目で被害状況に差がないのであれば、問題はそれほどない。
ただ、もし差異があるなら、いやこのような事故で差異がないにしても、
男性が女性専用車両である3両目にのって、生命危機管理するという選択肢が奪われることになる。
女性の単なる性的安心感のために、男性の生命的安心感を犠牲にしていいのか?という視点が生じるのである。
駅での安全性などの観点から設置位置を決めているらしいが、万一のときの安全性という観点は聞いたことがない。
もっともこの場合、女性専用車両が安全でないところにくることになるのだが…。
そういう角度からもいろいろ検討するべきであろう。
もちろん、事故は最大限防ぐべきであるが、費用対効果の観点から100%ということはない。
企業レベルでめざす100%と個人が負担する割合、その点にも配慮が必要であろう。


今過密ダイヤも問題視されている。
乗車が500人で7両編成とすると1編成71人、600人で85人。
少なくともこの編成が当該区間では混雑とはいえない。
とするなら、この時間での車両間隔が安全性の観点から妥当かどうかということは問題になりうる。
しかし、これがラッシュ時だったらどうか?
その場合、過密にならざるを得ない。
女性専用車両を作るらないといけないくらい車内混雑していているのだから。
とすると、過密ダイヤ原因説の場合、当該列車については問題視されても、
一般論としては、事業者自身によるそれ自体の回避は困難な部類な事項にあたることになる。


筆者は以前から女性専用車両との関連でそもそもラッシュ時の混雑回避策が必要と主張してきた。
ラッシュ時過密ダイヤを避ける=混雑の分散、緩和である。
最近サマータイム制の議論があるが、例えば学校だけで実施するとかでも、
春秋のラッシュは緩和されるように思われるのである。(実際は検討してみないとわからないが)


また、安全対策の問題が指摘されている。
しかし、それも費用との関係がある。いくら安全でも運賃が高額になってはいけない。
費用対効果の問題がある。
少なくとも筆者は運賃は安い方がいいし、時間通りあって欲しい。
安全でかつ、そのような客のニーズに答える必要があると思っている。


安全確保はもちろん大事だし、今はそこに焦点があてられている。
しかし、それだけに固執しては「公共交通機関」として成り立たないということも認識しなくてはいけない。
そして、JRはもちろん、「公共」交通機関という以上、国も今一度広い視野でいろいろ考えるべきである。


さいごになりましたが、
亡くなられた方の御冥福をお祈りすると共に、怪我に遭われた方にはお見舞い申し上げます。