知財高裁大合議部始動。

一太郎」訴訟、知財高裁「大合議」で審理
 松下電器産業大阪府門真市)が、パソコン用ソフト会社ジャストシステム」(徳島市)のワープロソフト「一太郎」などで特許権を侵害されたとして、同社に製造・販売の中止などを求めた訴訟の控訴審で、知財高裁は9日、裁判官5人による大合議部(篠原勝美裁判長)で審理することを決めた。
 大合議は、知財に関する判断の早期統一のため、2004年4月から東京高裁に導入されたが、審理を行うのは今回が初めてとなる。
 この訴訟では今年4月、控訴審の第1回口頭弁論が開かれている。篠原裁判長は、著名なパソコンソフトを巡る訴訟で社会的関心が高く、判決の影響が大きいことなどから、大合議で審理することとした。通常の控訴審では裁判官3人が担当するが、今回の大合議は、知財高裁の4つの部の裁判長ら計5人で審理する。
 松下電器は1998年、パソコンの画面上のアイコンに関する機能を特許登録。その後開発された一太郎に同じ機能が組み込まれているとして、昨年、提訴した。今年2月の1審・東京地裁判決は特許権侵害を認め、製造・販売の中止と在庫品の廃棄を命じた。
(読売新聞) - 5月9日21時18分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050509-00000011-yom-soci

一太郎訴訟、初の大合議に=裁判官5人で審理−知財高裁
 松下電器産業特許権侵害を理由にジャストシステム徳島市)のワープロソフト「一太郎」の製造、販売などの差し止めを求めた訴訟の控訴審で、知財高裁は9日、重要案件として裁判官5人による「大合議」で審理することを決めた。
 先月1日の同高裁発足以降、大合議の法廷が開かれるのは初めて。理由について、同高裁は(1)社会の注目を集めた重要案件(2)パソコンソフトの特許をめぐる解釈や判断を統一する必要がある−と説明している。 
時事通信) - 5月9日17時1分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050509-00000484-jij-soci

あわせて読んでちょうど良い情報という感じでしょうか。
さて、この知的財産高等裁判所の大合議部は第6特別部というそうです。
http://www.ip.courts.go.jp/aboutus/history.html
そのうち通常の第五部を増設することへの布石なのでしょうか?
4つの部の裁判長ら5人。残る1人が誰なのか気になります。


関係しそうな条文

民事訴訟法(平成八年六月二十六日法律第百九号)


第三編 上訴
 第一章 控訴
特許権等に関する訴えに係る控訴事件における合議体の構成)
第三百十条の二  第六条第一項各号に定める裁判所が第一審としてした特許権等に関する訴えについての終局判決に対する控訴が提起された東京高等裁判所においては、当該控訴に係る事件について、五人の裁判官の合議体で審理及び裁判をする旨の決定をその合議体ですることができる。ただし、第二十条の二第一項の規定により移送された訴訟に係る訴えについての終局判決に対する控訴に係る事件については、この限りでない。

知的財産高等裁判所設置法(平成十六年六月十八日法律第百十九号)
知的財産高等裁判所の設置)
第二条 東京高等裁判所の管轄に属する事件のうち、次に掲げる知的財産に関する事件を取り扱わせるため、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第二十二条第一項の規定にかかわらず、特別の支部として、東京高等裁判所知的財産高等裁判所を設ける。
 一 特許権実用新案権意匠権、商標権、回路配置利用権、著作者の権利、出版権、著作隣接権若しくは育成者権に関する訴え又は不正競争(不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)第二条第一項に規定する不正競争をいう。)による営業上の利益の侵害に係る訴えについて地方裁判所が第一審としてした終局判決に対する控訴に係る訴訟事件であってその審理に専門的な知見を要するもの
 二 特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第百七十八条第一項の訴え、実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第四十七条第一項の訴え、意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第五十九条第一項の訴え又は商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第六十三条第一項(同法第六十八条第五項において準用する場合を含む。)の訴えに係る訴訟事件
 三 前二号に掲げるもののほか、主要な争点の審理に知的財産に関する専門的な知見を要する事件
 四 第一号若しくは第二号に掲げる訴訟事件又は前号に掲げる事件で訴訟事件であるものと口頭弁論を併合して審理されるべき訴訟事件

裁判所法(昭和二十二年四月十六日法律第五十九号)
第二十二条 (支部)  最高裁判所は、高等裁判所の事務の一部を取り扱わせるため、その高等裁判所の管轄区域内に、高等裁判所支部を設けることができる。
○2  最高裁判所は、高等裁判所支部に勤務する裁判官を定める。

第一編 総則
 第二章 裁判所
  第一節 管轄
特許権等に関する訴え等の管轄)
第六条  特許権実用新案権、回路配置利用権又はプログラムの著作物についての著作者の権利に関する訴え(以下「特許権等に関する訴え」という。)について、前二条の規定によれば次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有すべき場合には、その訴えは、それぞれ当該各号に定める裁判所の管轄に専属する。
 一  東京高等裁判所名古屋高等裁判所仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所
     東京地方裁判所
 二  大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所
     大阪地方裁判所
2  特許権等に関する訴えについて、前二条の規定により前項各号に掲げる裁判所の管轄区域内に所在する簡易裁判所が管轄権を有する場合には、それぞれ当該各号に定める裁判所にも、その訴えを提起することができる。
3  第一項第二号に定める裁判所が第一審としてした特許権等に関する訴えについての終局判決に対する控訴は、東京高等裁判所の管轄に専属する。ただし、第二十条の二第一項の規定により移送された訴訟に係る訴えについての終局判決に対する控訴については、この限りでない。


特許権等に関する訴え等に係る訴訟の移送)
第二十条の二  第六条第一項各号に定める裁判所は、特許権等に関する訴えに係る訴訟が同項の規定によりその管轄に専属する場合においても、当該訴訟において審理すべき専門技術的事項を欠くことその他の事情により著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部を第四条、第五条若しくは第十一条の規定によれば管轄権を有すべき地方裁判所又は第十九条第一項の規定によれば移送を受けるべき地方裁判所に移送することができる。
2  東京高等裁判所は、第六条第三項の控訴が提起された場合において、その控訴審において審理すべき専門技術的事項を欠くことその他の事情により著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部を大阪高等裁判所に移送することができる。


<おまけ>
第七章 大規模訴訟等に関する特則
(大規模訴訟に係る事件における合議体の構成)
第二百六十九条  地方裁判所においては、前条に規定する事件について、五人の裁判官の合議体で審理及び裁判をする旨の決定をその合議体ですることができる。
2  前項の場合には、判事補は、同時に三人以上合議体に加わり、又は裁判長となることができない。
特許権等に関する訴えに係る事件における合議体の構成)
第二百六十九条の二  第六条第一項各号に定める裁判所においては、特許権等に関する訴えに係る事件について、五人の裁判官の合議体で審理及び裁判をする旨の決定をその合議体ですることができる。ただし、第二十条の二第一項の規定により移送された訴訟に係る事件については、この限りでない。
2  前条第二項の規定は、前項の場合について準用する。

なお、過去の知財高裁関連の記事ついては、
http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050401#1112353975