チンパンジーの書いた絵。

【こぼれ話】「サル世界のセザンヌ」の絵が高額で落札
【ロンドン20日】ロンドンの美術品競売商ボナムズで20日チンパンジーが描いた抽象絵画3点が予想価格の何倍もの1万4400ポンド(約290万円)で落札された。「コンゴ」という名前のチンパンジーの作品で、フランス印象派ルノワール、米ポップアーティストのアンディ・ウォーホルなどの作品とともに競売に出品された。
(以下、略)
時事通信) - 6月21日12時8分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050621-00000040-jij-ent

このチンパンジーの書いた絵に著作権はない、ってことでいいですよね?
まさか、こども書いた絵に著作権があるのと同様、チンパンジーのそれにもあるとかという議論はないよね?

 それから思想又は感情はというのは、社会通念上人間の思想又は感情を指します。したがって、ここでは動物の思想・感情というのは念頭においていない。例えばチンパンジーが絵を描いたといっても、それはチンパンジーの思想・感情をそこで表現したとは、私どもは理解しない。思想・感情は人間の固有のものであって、動物にはないという大前提というかドグマがあるからでございます。
加戸守行『著作権法逐条講義四訂新版』20頁(著作権情報センター,2003)

チンパンジーに人権があるのか?チンパンジーインセンティブを与える必要があるのか?ということを考えても、
この結論で問題ないように思います。
そのチンパンジーの没年にかかわりなく、自由につかってよいと。


では、この絵画の写真(をデータ化したもの)に著作権はあるか?

写真の著作物と言い得るためには、カメラを用いて人物や風景などの視覚的現象をフィルム等に固定するに当たり、その人なりの創作性が表現されていることが必要である。例えば絵画をそのまま写真にとっただけでは、通常、その写真は当該絵画の複製物であり、その写真自体に新たな著作物性が生じるわけではない*16。原画の色彩をできるかぎり忠実に写真で再現することには高度な技術が要求されるであろうが、それをもって写真の創作性とは評価されない。つまり、原画の創作性に写真の創作者の新たな創作的表現が加わったとは評価されない。
作花文雄『詳解著作権法 第3版』105頁(ぎょうせい,2004)


*16 東京地裁平成10年11月30日判決「版画写真」事件判例時報1679号153〜161頁、判例タイムズ994号258〜266頁では、「撮影対象が平面的な作品である場合には、正面から撮影する以外に撮影位置を選択する余地がない上、右認定のような技術的な配慮も、原画をできるだけ忠実に再現するためにされるものであって、独自に何かを付け加えるというものではないから、そのような写真は、『思想又は感情を創作的に表現したもの』…ということはできない。」と判示されている。)
作花文雄『詳解著作権法 第3版』111頁(ぎょうせい,2004)

つまり、このチンパンジーの絵画にもその写真にも著作物性はないと。


【こぼれ話】「サル世界のセザンヌ」の絵が高額で落札

【こぼれ話】「サル世界のセザンヌ」の絵が高額で落札(Copyright (C) 2004 〔AFP=時事〕 All Rights Reserved.)12時08分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050621-00000040-jij-ent.view-000

ってことで、この画像は自由に使って良いということになる。
この画像をどう使っても、原画の著作権も問題にならないし、写真の著作権も問題にならない。


ところで、タイトルには著作権がないとすると、この記事のどこに著作権を主張する必要があるのだろう?
タイトルの著作権があるとの主張なのかな?