選挙運動とインターネット その3

その1
http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050902/1125588091
その2
http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050903/1125682997

ここまでくると、もう都市伝説のようなものではないかと。

もう解禁するしかない?=HP更新ストップ、現場に不満−ネット選挙【05衆院選
 今回の衆院選では各党の間に、公選法で禁じられているインターネットによる選挙運動の解禁を求める声が広がっている。ネットが国民に幅広く普及する中、「過剰な制限は時代にそぐわない」(与党筋)ためだ。同時に、ネットの発信力を使い、今後の選挙で一層カギを握ることになるとみられる無党派層を取り込みたいとの思惑も背景にある。
 「選挙でのネット利用を前向きに検討していく」。自民党世耕弘成幹事長補佐は1日の記者会見でこう表明。また、民主党マニフェスト政権公約)で、解禁を明記したほか、他の党も「カネのかからない選挙を目指す公選法の趣旨にもかなう」(公明党筋)「選挙活動は基本的に制限すべきでない」(共産党宣伝局)などとの立場だ。
 公選法では、規定されたはがきやビラを除く「文書図画」の配布を禁じており、選挙期間中、候補者や政党名を記載したホームページ(HP)やメールマガジンの配信は違反になる。このため、各党は衆院選が公示された先月30日以降、HPの更新を止めたが、逆にアクセス数は急増。自民党では「解散前の10倍を超えた」(関係者)。
 ただ、同法には、どこまで「政治活動」として認めるかの規定はなく、現場では戸惑うケースも少なくないという。
 実際、民主党は「4月の衆院補欠選や7月の都議選では指摘がなかった」として、先月30日のHPに岡田克也代表の第1声を掲載。ところが総務省から「公選法上、問題がある」との注意を受け、これを削除した。ただ、「なぜ今回は問題なのか」との民主党の質問状に、総務省側は「納得できる回答をしなかった」(同党筋)という。
 ネット選挙を解禁すると、ひぼう中傷が横行する恐れも指摘されているが、選挙後には見直し論議の機運が高まりそうだ。(了)
時事通信) - 9月8日6時3分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050908-00000014-jij-pol

政党、候補者、総務省、新聞社、公選法は選挙活動を包括規制→ネットについて例外規定なし、という思い込み。
条文を読んだら、とてもではないが、「文書図画の頒布の禁止」でネットが規制されているとは読めない。
憲法上の大原則に遡って考えると、これで規制されているということ自体が誤った考え方で、
憲法ではなく、その下位規範たる法律に従わないといけないと思っている議員候補や役人の法思考を疑ってしまう。
違法だとは思わないけど…という論調ならともかく、解禁というのは違法であることの前提なので、
表現の自由のもとに活動する通信者も選挙活動の自由については無関心なのかな?と思ってしまう。
何度でも書くが、私にはホームページを頒布するというのは、そのサーバーを配布することにしか思えない。
頒布の禁止でホームページでの選挙活動を制限するというのは、
民主制の根幹をなす表現の自由の制限にしては、拡大解釈をこえて不利益類推解釈である。


いずれにせよ、(多くの人が違法との誤信してしまっている以上、選挙後に法改正して)
ネットを用いた選挙活動が原則自由であることを明確にした上で、あるべきルール作りをするべきである。
個人的には掲示板の活用なんか候補者と直接やり取りできていいとは思うが、
候補者以外の支援者が候補者を名乗って回答することと(もちろんそれに限らず詐称はダメだけど)、
候補者以外の支援者が回答する場合に支援規模の差によって回答速度などに差異が生じうることを考えると、
一定のルール作りは必要と思います。


あとは個人のネット広告について

(あいさつを目的とする有料広告の禁止)
第百五十二条  公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。次項において「公職の候補者等」という。)及び第百九十九条の五第一項に規定する後援団体(次項において「後援団体」という。)は、当該選挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域。次項において同じ。)内にある者に対する主としてあいさつ(年賀、寒中見舞、暑中見舞その他これらに類するもののためにするあいさつ及び慶弔、激励、感謝その他これらに類するもののためにするあいさつに限る。次項において同じ。)を目的とする広告を、有料で、新聞紙、雑誌、ビラ、パンフレットその他これらに類するものに掲載させ、又は一般放送事業者、有線テレビジョン放送事業者(有線テレビジョン放送法 (昭和四十七年法律第百十四号)第二条第四項 の有線テレビジョン放送事業者をいう。次項において同じ。)、有線ラジオ放送(有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律 (昭和二十六年法律第百三十五号)第二条 の有線ラジオ放送をいう。次項において同じ。)の業務を行う者若しくは電気通信役務利用放送(電気通信役務利用放送法 (平成十三年法律第八十五号)第二条第一項 の電気通信役務利用放送をいう。次項において同じ。)の業務を行う者の放送設備により放送をさせることができない。
2  何人も、公職の候補者等又は後援団体に対して、当該選挙区内にある者に対する主としてあいさつを目的とする広告を、新聞紙、雑誌、ビラ、パンフレットその他これらに類するものに有料で掲載させ、又は一般放送事業者、有線テレビジョン放送事業者、有線ラジオ放送の業務を行う者若しくは電気通信役務利用放送の業務を行う者の放送設備により有料で放送をさせることを求めてはならない。

現行規定としては、「新聞紙、雑誌、ビラ、パンフレットその他これらに類するもの」にホームページが該当するのか、
放送が区別していることからもかなりあやしいのだが、
(ちなみに政党CMは政治活動でOKの解釈。なんか恣意的やね。別にこれを違法と解せよということではなく。)
おそらくこれもいけないってことになっているのだろう。
お金持ちが有利にならないようにするためには、これは禁止もしくは一定の制限をすることはいいと思います。
一方で支援者が無償でバナーをはるのはむしろ健全化と。

追記(2005.9.10):
こんな「はてな」もあった。

question:1126250470
公示日以降のWebでの選挙活動は違法ですが。http://www2.dpj.or.jp/にて9/7に民主党がサイトをオープンさせています。この件について貴方はどう思いますか?

フェアでは無い行為で勿論違法。選挙後に取り締まられるべき。 15
民主党がやってるんだから、何かしらの意図があるはず。よそが守ってるからと守る必要は無い。 13
現代のテクノロジーについて来ていない古い法律だから、破る事にむしろ勇気を感じる。 12
護憲派なのに何故、議員共々ルール違反ばっかりしてるの?疑問を感じる。 10

いわし(http://www.hatena.ne.jp/iwashi?mode=detail&iid=50916)にもあるけど
「公示日以降のWebでの選挙活動は違法ですが」って言い切りはどうかと。
そんな明文規定も判例もありません。当ブログは適法説。