大阪府警貝塚署の対応

毎日新聞の記事。

ヤミ金融業者>65歳男性取り立て苦に自殺 大阪・貝塚市
 大阪府貝塚市で17日、家族が借りたヤミ金融業者の厳しい取り立てを苦に、同市の無職男性(65)が自殺していたことが府警貝塚署の調べで分かった。ヤミ金業者の取り立てに悩んでいた趣旨の遺書が車内に残されていた。男性が自殺したのは16日とみられ、15日までに計3回同署に相談に訪れたという。同署はヤミ金業者の違法な取り立てが自殺の背景にあるとみて調べている。
 調べでは、男性は16日午前、妻(63)に「山に行く」と言い車で外出したが、17日午前8時20分ごろ、貝塚市木積の路上に止めていた車内から、首にロープを巻いて首をつっているのが見つかった。運転席のハンドル付近に家族や警察などにあてた便せん約10枚の遺書があり、「体力的にも精神的にも限界。捜査の資料がないので手の打ちようがないことは理解しているが妻を守ってほしい」などと書かれていた。
 同署によると、男性方に昨年6月、金融業者を名乗る者から「金を融通する」と電話があり、妻は当初断ったが住所を聞き出され、数日後に2万円が郵送された。間もなく「死んでも払ってもらう」などと脅迫的な取り立てが始まり、近所の家にも「男性の所在を教えろ」などの電話もあったという。男性は度々変わる口座に現金を振り込むよう指示され、これまでに約20万円を振り込んだが、さらに利息名目の返済を求められていたという。
 男性は9月5日、同署に「利息の催促がしつこく困っている」と相談に訪れ、弁護士にも相談したという。署員は業者を特定できる書類を持参するようアドバイスした。男性は同15日にも2回、同署を訪問。同署は「電話があっても相手にせず、押しかけて来たら110番するように」などと指導したという。【石川隆宣、勝野俊一郎、野田武】
 ◇貝塚署副署長「対応に問題はなかった」
 中野宣人・貝塚署副署長は「(男性から)相談を受け、対応している中でこのような結果になり残念である。引き続き捜査を徹底していくつもりだが、今回の対応に問題はなかったと考えている」と話した。
毎日新聞) - 9月23日2時26分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050923-00000007-mai-soci

中野宣人・貝塚署副署長は「今回の対応に問題はなかったと考えている」


時を同じくした読売新聞の記事。

ヤミ金取り立て苦に男性自殺…警察、対応遅れる
 ヤミ金融業者から借金の返済を迫られていた大阪府貝塚市内の無職男性(65)が今月17日、市内の府道に止めた乗用車内で首をつって死亡していたことが22日、わかった。
 車内には厳しい取り立てがあったことを示す遺書が4通残されており、「弁護士にも警察にも相談したが、どうにもならなかった」との内容が書かれていたという。
 府警は自殺と断定した。また、貸金業規制、出資両法違反容疑で捜査する方針。
 ヤミ金融事件を巡っては、府警が特別取締本部を設置し、事件化に向け、全署への被害相談をすべて本部へ報告するよう求めていた。男性は今月5日と15日、貝塚署に相談したが、同署は報告せず、男性が自殺した17日にも「家族への事情聴取ができる状態でない」として報告を見送っていた。今井覚署長は「判断が甘かったと言われても仕方ない」と対応の遅れを認めている。
 調べによると、昨年6月、ヤミ金融業者から自宅に電話があり、妻(63)が融資を持ちかけられた。数日後に2万円が郵送され、翌月からは「1万5000円の利子を振り込め」と定期的に催促の電話があり、支払っていたが、遅れると、娘夫婦の自宅や大家の自宅、近所にも嫌がらせの電話があった。弁護士によると、督促電話をかけていた男は「殺すぞ」などと脅していた。弁護士は今月5日、電話で督促中止を要請し、男も了承したという。
 同署は、男性からの相談に「支払わなくていい。電話にも出るな」「署に資料を持ってきてほしい」などと対応していた。
(読売新聞) - 9月23日2時35分更新

今井覚署長は「判断が甘かったと言われても仕方ない」と対応の遅れを認めている。


今井署長と中野副署長とでは事件に対する認識が違うのか?
それとも、中野副署長は事件の対応は問題ないとし、
今井署長は府警特別取締本部への報告怠ったことを「判断が甘かったと言われても仕方ない」ということ?
ちょっとそのへんがわからないけれども、本件は「ヤミ金業者の取り立て」という認識は妥当ではなく、
そもそも勝手にお金を送りつけていると主張からは、民事的な権利行使=民事不介入という思考よりは、
貸金業規制、出資両法違反などではなく、端的に恐喝容疑で捜査するべきだったのではないかと?
今井署長の「判断が甘かったと言われても仕方ない」という発言はどの点の判断なのかわからないが、
「払わなくてもいいよ」なんて誰でもアドバイスできるわけで、
警察として「今回の対応に問題はなかったと考えている」とする中野宣人貝塚署副署長のコメントは明らかに失当である。
これを「問題はなかった」と考えるような副署長は警察にいてほしくないし、そんな人間に税金で給料を払う必要もない。
今すぐ免職するべきである。
ところで、相談を受けた弁護士さんはどういう対処をしたんでしょう?そっちも気になります。