著作権違反での逮捕事例(3)

流れ上表記のようなタイトルですが、ちょっとずつ話題がかわってきています。
著作権違反での逮捕事例(2)/刑事事件としての著作権違反と民事事件としての著作権侵害 - 言いたい放題について、
http://himagine9.cocolog-nifty.com/watchdogs/2006/02/jasrac__a692.htmlよりトラックバックをいただきました。
まずは、前回の訂正です。

使用料規程の詳細は、上記サイトの右上「使用料規程」の4頁(PDF6頁)でも。

としましたが(演奏会)、この場合使用料規程は、社交場になるんですね(「使用料規程」の18頁(PDF20頁))。

5 社交場における演奏等
キャバレー、バー、スナック、音楽喫茶店ダンスホール、旅館その他設備を設け客に飲食又はダンスをさせる営業を行う施設(以下「社交場」という。)において、当該営業とともに著作物を演奏等する場合の使用料は、本節1、2、3及び6の規定にかかわらず、次により算出した金額に、消費税相当額を加算した額とする。
(1) 使用料の種類
 社交場における演奏等の使用料の種類は、次のとおりとする。
 1 包括的利用許諾契約を結ぶ場合
  (ア) 月額使用料
  (イ) 1日あたりの使用料
  (ウ) 1日1回あたりの使用料
 2 1によらない場合
  1曲1回の使用料
(2) 使用料の適用区分
 社交場における演奏等の使用料は、原則として1演奏場所又は1上映場所を単位 とし、次のとおりとする。
 区分1 設備を設けて客に飲食をさせる営業
  (1) 主として不特定の客を対象とするもの
   業種5 ライブハウス、音楽喫茶など音楽の鑑賞を主たる目的とするもの
    ・・・・・・・別表5、別表15又は別表16
別表5(「使用料規程」の28頁(PDF30頁))
別表15(「使用料規程」の40頁(PDF42頁))
別表16(「使用料規程」の41頁(PDF43頁))
http://www.jasrac.or.jp/profile/covenant/pdf/royalty/royalty.pdf

ちなみに、上記規程は、

使用料規程
平成13年10月2日届出
一部変更 平成14年 2月28日届出
一部変更 平成15年 6月27日届出
一部変更 平成16年 6月 1日届出
一部変更 平成17年 2月25日届出
一部変更 平成17年11月25日届出

というもの。
1曲1回という利用区分もあります。
そういうわけで、紹介されている

著作物使用料規定取扱細則(社交場)
(目的)
第1条 本細則は、昭和61年8月13日変更認可(昭和62年4月1日施行)の著作物使用料規定第2章第2節4 社交場における演奏規定(以下「規定」という。)の解釈を補充し、かつ、適用上必要な社交場共通の細目事項を定め、これにより使用料の算定に当たって社交場営業者(以下「営業者」という。)に対し公平な取扱いをするものとする。
http://www.hatatomoko.org/kuu.html

は、少なくとも現在にはあてはまらないように思います。
もっとも、過去の清算にその当時の規程に基づいた算出をするということはありうるかもしれません。
(規程の変遷は調べていません。)
その場合には、もちろん当時の規程の妥当性を争う余地はありそうですが…。
現行規程についての不満は、JASRACは指定著作権等管理事業者なので、

著作権等管理事業法(平成十二年十一月二十九日法律第百三十一号)
 第五章 使用料規程に関する協議及び裁定
(協議) 
第二十三条  文化庁長官は、著作権等管理事業者について、その使用料規程におけるいずれかの利用区分(当該利用区分における著作物等の利用の状況を勘案して当該利用区分をより細分した区分についてこの項の指定をすることが合理的であると認めるときは、当該細分した区分。以下この条において同じ。)において、すべての著作権等管理事業者の収受した使用料の総額に占めるその収受した使用料の額の割合が相当の割合であり、かつ、次に掲げる場合に該当するときは、当該著作権等管理事業者を当該利用区分に係る指定著作権等管理事業者として指定することができる。
 一  当該利用区分において収受された使用料の総額に占めるすべての著作権等管理事業者の収受した使用料の総額の割合が相当の割合である場合
 二  前号に掲げる場合のほか、当該著作権等管理事業者の使用料規程が当該利用区分における使用料の額の基準として広く用いられており、かつ、当該利用区分における著作物等の円滑な利用を図るために特に必要があると認める場合
2  指定著作権等管理事業者は、当該利用区分に係る利用者代表(一の利用区分において、利用者の総数に占めるその直接又は間接の構成員である利用者の数の割合、利用者が支払った使用料の総額に占めるその直接又は間接の構成員が支払った使用料の額の割合その他の事情から当該利用区分における利用者の利益を代表すると認められる団体又は個人をいう。以下この章において同じ。)から、第十三条第一項の規定による届出をした使用料規程(当該利用区分に係る部分に限る。以下この章において同じ。)に関する協議を求められたときは、これに応じなければならない。
3  利用者代表は、前項の協議(以下この章において「協議」という。)に際し、当該利用区分における利用者(当該利用者代表が直接又は間接の構成員を有する団体であるときは、当該構成員である利用者を除く。)から意見を聴取するように努めなければならない。
4  文化庁長官は、利用者代表が協議を求めたにもかかわらず指定著作権等管理事業者が当該協議に応じず、又は協議が成立しなかった場合であって、当該利用者代表から申立てがあったときは、当該指定著作権等管理事業者に対し、その協議の開始又は再開を命ずることができる。
5  指定著作権等管理事業者は、協議が成立したとき(当該使用料規程を変更する必要がないこととされたときを除く。次項において同じ。)は、その結果に基づき、当該使用料規程を変更しなければならない。
6  使用料規程の実施の日(第十四条第三項の規定により同条第一項の期間が延長されたときは、当該延長された同項の期間を経過する日。次条第三項において同じ。)前に協議が成立したときは、当該使用料規程のうち変更する必要があることとされた部分に係る第十三条第一項の規定による届出は、なかったものとみなす。
(裁定) 
第二十四条  前条第四項の規定による命令があった場合において、協議が成立しないときは、その当事者は、当該使用料規程について文化庁長官の裁定を申請することができる。
2  文化庁長官は、前項の裁定(以下この条において「裁定」という。)の申請があったときは、その旨を他の当事者に通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えなければならない。
3  指定著作権等管理事業者は、使用料規程の実施の日前に裁定の申請をし、又は前項の通知を受けたときは、第十四条の規定により使用料規程を実施してはならないこととされる期間を経過した後においても、当該裁定がある日までは、当該使用料規程を実施してはならない。
4  文化庁長官は、裁定をしようとするときは、文化審議会に諮問しなければならない。
5  文化庁長官は、裁定をしたときは、その旨を当事者に通知しなければならない。
6  使用料規程を変更する必要がある旨の裁定があったときは、当該使用料規程は、その裁定において定められたところに従い、変更されるものとする。
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%92%98%8d%ec%8c%a0%93%99%8a%c7%97%9d%8e%96%8b%c6%96%40&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=H12HO131&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1

あたりを使ってなんとかするしかない、ということでしょうか。
このへんは、きちんと調べていないので、反応をみつつ、やったりやらなかったりする予定。


ところで、「マルチョの女」 - 企業法務戦士の雑感で、
最近のJASRAC裁判が紹介されていた。
過去のJASRACの提起した裁判からはある程度、損害の算定方法がわかるかもしれない。
判決詳細はみていないので、あらためて書くことにしたい(が、あくまで予定)。
ざっとみた感じ損害額は(裁判所が認めた以上当然だが)規程に基づききちんと計算されている。
(ついでに「このうち調査員の求めにより演奏されたものを除いても、」ともしている。)


とりあえず、JASRACの取り立てで困らされているいう人の主張を検討したいなぁとは思うが、
請求内容や交渉状況をきちんと開示してくれないとなんともいえない。
こっそりメールでもいただけるとうれしいが。