日本国憲法と著作権(1)〜はじめに〜

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はじめに


 ここ数年、著作権法は毎年のように改正されている。そして、著作権法の改正に際しては、権利者側と利用者側それぞれの利益が交錯する。著作権法をどのように規定するか、それは、一次的には民主主義の観点から、国民議論の上で改正されるべきであることは当然である。しかしながら、国民議論を前提にすればいかなる改正をもなしうるというものではなく、憲法に反することは許されない。また、近年の著作物の利用形態の多様化により、解釈上処理すべき事項も多くなってきているが、その解釈も憲法適合的になされるべきである。著作権法改正や現行著作権法の解釈にあたって憲法上どのような注意を払うべきであるのだろうか。
 本稿では、著作者の権利についての憲法上の根拠を確認し、その制約についての限界、及び著作者の権利に対抗する利用者の憲法上の権利など、著作権法日本国憲法との間で生じうる問題点について考察したい。なお、著作権法制は条約によっても規律され、条約の憲法適合性についても問題となるが、本稿では割愛する。