天下り廃止と職業選択の自由

表現の自由の制約にもこれくらい慎重になって欲しいものです>内閣法制局
公務員の人権保障にはとても熱心ですよね。
もちろんそれも大事ですが、前提として国民一般の人権保障がきちんと図られていることが重要で、
公務員の人権制約には厳格な基準、国民一般には緩やかな基準という二重の基準は憲法14条にも反し、それこそ問題でしょう。

天下り根絶に法案化の壁 「廃止」明記に違憲の恐れ
2006年02月25日10時09分
 政府が約束した政府系金融機関への「天下りの廃止」の法案化作業が難航している。憲法で保障された「職業選択の自由」を制約する恐れがあるうえ、言葉の解釈にてこずっている。あいまいな規定にすれば骨抜きとの批判を招きかねない。
 政府は昨年末に決めた「行政改革の重要方針」に「政府系金融機関のトップマネジメントへの、天下りの速やかな廃止」を盛り込んだ。08年度に一つにまとまる政府系金融機関に適用するため、3月に国会に提出する行政改革推進法案で「天下り廃止」をどう表現するか検討してきた。
 ところが、「廃止」という表現は「憲法職業選択の自由との関係で問題があり、そのまま書けない」(内閣法制局)。営利企業への天下り禁止すら離職後2年間に限られており、「政府系金融だけ永久に禁じる理由が見あたらない」(同)という事情もある。
 「トップマネジメント」の意味もあいまい。最高責任者だけを意味するのか、役員全体を指すのか、政府内で意見は割れ、23日の経済財政諮問会議でも議論になった。
http://www.asahi.com/politics/update/0225/002.html

天下りとそれへの国民の批判も、天下りの内容によって様々なわけで、すべてを一律に天下り禁止とするのは確かに問題でしょう。
ただ、職業選択の自由も絶対無制約ではありませんから、一定の要件のもとで、制約することは可能でしょう。
しかも、天下りによって現実に国民財産が特定個人や特定企業の食い物にされていることに鑑みれば、
禁止することにも合理性があるように思います。
規制手段と関連性も問題になりますが、これを違憲だというなら、まずは立法事実の不存在状態をまず作りるべきでしょう。
弊害が自浄できない以上、職業選択の自由の制限とはいえ、已むを得ない側面は大きいように思います。
ところで、「政府系金融だけ永久に禁じる理由が見あたらない」のであれば、すべてを永久に禁じれば理由があるということでしょうか。
なら「営利企業への天下り禁止」を2年に限定しているのを永久にすればいいいわけで、この場合ちょっとベクトルがかわってきますが…。
要するに自分たちが困るから反対ということなんでしょうか?


私見としては、天下り(再就職)自体を禁止する必要はないと思っています。
政府系金融機関については整理統合した上で、規則で天下り率を最低限にすればいいでしょう。
報酬も身の丈にあっていれば問題ないです。政府系なら事実上の二重払いを防止する規定をつくればいいはず。
公益法人への天下りの場合、赤字なのに高額報酬なところは、即公益法人おとりつぶしにするとか、
民間企業への天下りの場合、そのような会社との取引を国が打ち切るとかすればいいわけです。
一国民としては、国民を食い物にした無駄をやめてくれれば、その手段はなんだっていいんですけど。