カラ給与と詐欺

秘書給与詐取で実刑佐藤観樹・元自治相の控訴棄却
 勤務実態のない女性を公設第2秘書に登録し、国から秘書給与約1700万円をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた元自治佐藤観樹被告(62)の控訴審判決が28日、名古屋高裁であった。
 川原誠裁判長は「国会議員に対する国民の信頼を悪用した犯行で、背信性は著しい」として、懲役1年4月の実刑判決を言い渡した1審・名古屋地裁判決を支持し、佐藤被告の控訴を棄却した。佐藤被告は上告しない方針。
 佐藤被告は控訴審で、1審と同様に起訴事実を認めたうえで、執行猶予付きの有罪判決が確定した辻元清美・元衆院議員らの判決文などを証拠として提出。
 「だまし取った秘書給与は全額返還し、議員を辞職して政界から引退した。社会的制裁も受けており、実刑は重すぎる」として、刑の執行を猶予するよう求めていた。
 これに対し、川原裁判長は「自ら計画し、終始、主体的かつ積極的に推進した犯行だ」と退けた。
 判決によると、佐藤被告は2000年7月、愛知県尾西市の元市議会議長(66)(あっせん収賄罪などの有罪確定)の妻の名義を借り、公設第2秘書に採用したとする虚偽の書類を衆院事務局に提出。2003年4月まで43回分の秘書給与計約1700万円をだまし取った。
(読売新聞) - 1月28日12時39分更新

勤務実態のない公設秘書で給与を受け取る行為と、
勤務実態のない残業で手当を受け取るのと何がどうちがうのか?
大阪市の残業費不正受給は詐欺ではないか?
国会議員である佐藤観樹被告より市職員の方が情状面で異なっても、
実体部分は異ならないのではないか?という疑問がある。
おそらく、被欺罔者を誰とみるかでそもそも「欺罔」の有無にあるのではないか?
つまり大阪市の場合、組織ぐるみであるので、大阪市担当職員なりを被欺罔者とすれば、
「欺罔」がなく、詐欺罪にあたらないと。
広く抽象的な「市」とみれば、詐欺といえるが、厳密にいえばいえない。
そういうことではないかと。(間違っていて明確に詐欺ならうれしいが)
ただそれでも、出納長や部長クラスだと背任とかいう構成も可能ではないか?
と、刑事処分を望みたくなる。
罪刑法定主義からは、あまり広義には解されないのであろうが、
詐欺を構成すれば、返還の有無は量刑資料にしかならないよ。


私企業の場合、商法上の限界や対株主の限界を超えなければ、何をしてもいい。
赤字にはできないから自然と是正力が働くし、株主のチェックもいれやすい。
しかし、公の場合、そうはいかない。それは、大阪市が証明している。
赤字でも民間ほどは困らないし、チェックもそれほどはいらないのである。
後者が一次的には市議会の仕事である。彼らが給与に見合うだけの仕事をすればよい。
しかし、前者は、特に体質が腐っているばあい、自浄力ではなんともならない。
赤字でもつぶれないし、リストラもないし、で給与水増しである。
不正受給にも理由がある。
これだけ大規模なのだから単に「手当が欲しい」だけでなく、
それを容易にする構造的欠陥があるのではないだろうか?
システムとしてそれを是正する必要もあろう。


ところで、今朝の読売新聞朝刊(大阪本社18691号13版、2005.1.28)の一面には、
大阪市の職員厚遇削減180億円」の記事があり、その中に
八木賢三・市労働組合連合会書記長の話として、
「一方的な通告に等しい。これまでの労使関係を無視したやり方で
 至急、傘下の組合幹部らと対応を協議する」と紹介されている。
八木賢三氏は、民間労働組合と勘違いされているのではないかい?
公務員の場合、単に市(執行機関)と労組の話あいだけで何でもできるわけではないだよ。
あくまで民主主義のもと、市議会(議決機関)がチェックしていなければいけない。
それを今までごまかしておいて、できあがった「これまでの労使関係」など、無視して当然である。
もちろん、かつての執行機関側にも問題がある。
しかし、そのような労使関係は常態化させてはいけないのである。
裏の話し合いだけで議会や市民を欺いてきた人間がよくこのような発言ができたなと思う。
今は、大阪市職員の信頼回復ために、大阪市労組も一丸となってまずは信頼回復に努めるべきではないか?
単に既得権益だけを守ろうとするこの八木賢三氏の発言が今の大阪市の腐敗の一部を示しているといえよう。
労働権行使の一環としての発言であっても、内容を評価することはできない。