日本国憲法と著作権(6)〜総 括〜

総 括

言いたい放題

 本稿では著作権法に関して憲法上問題となり得る点について概観してきた。日本国憲法著作権法の関係については今まであまり論じられてきたところではないように思われる。しかし、だからとって現在の著作権法制が憲法適合的であって、日本国憲法との抵触の余地がなく議論の必要性がない、というわけではないことは、ここまでみたとおりである。
 憲法著作権法とでは憲法が優位することは法学にとっての基本中の基本事項であるはずである。それにもかかわらず、憲法的価値、特に明文のある表現の自由との調整を怠ってきたことは法学として大いに問題があるように思う。社会の変化とともに、政策的に権利者保護と利用者の便宜の調和をどのように図るべきか、そのために法をどのように定律し、解釈すべきなのかということも重要であるが、それは憲法の枠を超えてすることは許されないのである。
 日本国憲法施行50年が経過した。憲法改正議論も起こる中、本稿が憲法の枠組みとして著作権をどのようなものとするかについて、検討するきっかけになればとよいと思う。

(平成17年3月20日*1

*1:誤植ではありません。1年前に書いたもの