兵庫県主催のミュージカル公演中止

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県主催のミュージカル、公演中止 著作権問題で

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2005/01/22
 阪神・淡路大震災十周年事業として、兵庫県などでつくる実行委員会が主催、神戸、西宮、洲本の三会場で三月に公演予定だった市民参加型ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾きハイライト―アナテフカ物語」が、著作権問題から、中止となったことが二十一日、明らかになった。
 県によると、公演は「東京オペラ協会」(事務局・東京都新宿区)と県、神戸市、西宮市、洲本市などで実行委員会を構成し計画。出演者は同協会所属のプロの劇団員以外に、会場ごとに一般市民を募集。三会場で計約百七十人が応募し、昨秋から練習を続けていた。
 ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」は、帝政ロシアの寒村を舞台にロシア人から迫害を受けるユダヤ人家族の愛情を描く。もともと米国で上演され、世界各国で三千万人以上を動員した傑作。日本国内では森繁久弥西田敏行らを主役に東宝が独占的に上演。著作権は管理会社「IMI」(東京都渋谷区)に業務委託している。
 一方、同協会によると、「アナテフカ物語」は「屋根の上のヴァイオリン弾き」の原作小説を基に創作。数年前から東京、京都、福岡など十二カ所で、地元自治体と協力するなどして上演してきた。
 ところが昨年夏、IMIが「演劇全体の著作権侵害に当たる」などと同協会に抗議し、著作権料の支払いを要求。同協会は「音楽のみ著作権料の支払い義務があると考える」と説明したというが、県などは「問題が解消されなければ公演はできない」と判断、中止を決定した。年明けから各地区で出演予定だった市民らに事情を説明、参加費などを返還したという。
 同協会は、「行政側の決定は残念。続行を希望している参加者も多く、対応を考えている」とコメント。舞台に立つはずだった洲本市内の女性(47)は「練習も盛り上がっていたのに残念」と話している。
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sougou05/0122ke73780.html神戸新聞

さてまず、原作小説『屋根の上のヴァイオリン弾き』の原作者は、
ショラム・アレイヘム(Sholom Aleichem 、1859―1916)という方だそうで、
1916年没で死後50年以上経過しているので、著作権は消滅しています。
参考:http://www3.toyama-u.ac.jp/~nichiro/tevie.html
よって、「屋根の上のヴァイオリン弾きハイライト―アナテフカ物語」が原作を独自に
ミュージカル化(翻案)したものであるなら、それを上映するのに何ら著作権法上問題はないということになります。
但し、日本語訳を翻案したとすれば、そちらの著作権は問題となります。
しかし、ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」の著作権管理会社「IMI」の抗議に対し、
「東京オペラ協会」が「音楽のみ著作権料の支払い義務があると考える」と説明したという。
すなわち、楽曲のみはミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」にのものを採用しているということになる。
「アナテフカ物語」は原作小説を基に創作したとはいえ、音楽は「屋根の上のヴァイオリン弾き」と同じということなのだろうか?
ミュージカルということからすれば、音楽が同じということから、
屋根の上のヴァイオリン弾き」をさらに翻案したもののように思われ、致命的なように思われる。
素材としてはおもしろい事件である。