船橋西図書館焚書事件最高裁判決

<速報版>を差し替えました。


なんとなく観察してましたが、すばらしく国民にとっての図書館の価値に踏み込んだ判決というとか、なんというか。
法律構成がかなりに気になっていたのだが、判決がアップされたので、すこし考察してみたい。

独断廃棄は著者の利益侵害 最高裁が初判断
 千葉県船橋市立西図書館が著書を廃棄したため、表現の自由を侵害されたとして「新しい歴史教科書をつくる会」と作家の井沢元彦さんら7人が、市に慰謝料など2400万円の支払いを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷は14日、「公立図書館は思想、意見を伝達する公的な場で、職員の独断による廃棄は著者の利益を侵害する」との初判断を示した。
 その上で、司書が廃棄を決めた今回のケースも利益侵害に当たると認め、著者側全面敗訴の2審東京高裁判決を破棄。賠償額の算定などのため、審理を同高裁に差し戻した。著者側の逆転勝訴となる見通し。
 横尾和子裁判長は判決理由で「公立図書館の職員は独断的評価や個人の好みにとらわれず、公正に資料を扱う義務がある」と指摘した。
共同通信) - 7月14日12時7分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050714-00000081-kyodo-soci

○上告審:最一小判平成17年7月14日平成16年(受)第930号 損害賠償請求事件
http://courtdomino.courts.go.jp/judge.nsf/dc6df38c7aabdcb149256a6a00167303/106ac4fd0e1593d54925703e001c8cef?OpenDocument
控訴審:東京高判平成16年3月3日?(平成15年(ネ)第5110号)
<裁判所ホームページ未登載>
○第一審:東京地裁判決平成15年9月9日平成14年(ワ)第17648号 損害賠償請求事件
http://courtdomino2.courts.go.jp/Kshanrei.nsf/webview/DD06547C7E66194949256DAC0034BA26/?OpenDocument

事実の概要については、最高裁ホームページで確認を。
ここでは判決をもとにごく簡略化して紹介したい。

1 原審の確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
(1) 上告人A会(以下「上告人A会」という。)は,「新しい歴史教科書をつくる会」であり,
  その余の上告人らは,上告人A会の役員又は賛同者である。
(2) 被上告人(船橋市)は,船橋市図書館条例(昭和56年船橋市条例第22号)に基づき,船橋市西図書館等を設置し,
  その図書館資料の除籍基準として,船橋市図書館資料除籍基準(以下「本件除籍基準」という。)を定めていた。
  本件除籍基準には,「除籍対象資料」として,

(1) 蔵書点検の結果,所在が不明となったもので,3年経過してもなお不明のもの。
(2) 貸出資料のうち督促等の努力にもかかわらず,3年以上回収不能のもの。
(3) 利用者が汚損・破損・紛失した資料で弁償の対象となったもの。
(4) 不可抗力の災害・事故により失われたもの。
(5) 汚損・破損が著しく,補修が不可能なもの。
(6) 内容が古くなり,資料的価値のなくなったもの。
(7) 利用が低下し,今後も利用される見込みがなく,資料的価値のなくなったもの。
(8) 新版・改訂版の出版により,代替が必要なもの。
(9) 雑誌は,図書館の定めた保存年限を経過したものも除籍の対象とする。

  と定められていた。
(3) 平成13年,当時船橋市西図書館に司書として勤務していた職員(以下「本件司書」という。)が,上告人A会やこれに賛同する者等及びその著書に対する否定的評価と反感から,その独断で,同図書館の蔵書のうち上告人らの執筆又は編集に係る書籍を含む合計107冊を,他の職員に指示して手元に集めた上,本件除籍基準に定められた「除籍対象資料」に該当しないにもかかわらず,コンピューターの蔵書リストから除籍する処理をして廃棄した(以下,これを「本件廃棄」という。)。
  なお、原審では、市の他にこの「本件司書」も控訴人(被告)であったが、司書に対する上告は受理されなかったようである。
  あくまで市=図書館の行為の違法性が争点とされていることになる。
(4) 本件廃棄から約8か月後,産経新聞(全国版)において報道され,これをきっかけとして本件廃棄が発覚した。
http://www.city.funabashi.chiba.jp/giji/honkaigikiroku/h14/14y2r/day4/day4_0606_3.html
(5) 本件司書は,船橋市教育委員会委員長にあてて,本件廃棄は自分がした旨の上申書を提出し,同委員会は,同月29日,本件司書に対し6か月間減給10分の1とする懲戒処分を行った。
http://www.city.funabashi.chiba.jp/home/kisha02/rinji0510.htm
(6) 本件廃棄の対象となった図書のうち103冊は,同年7月4日までに本件司書を含む船橋市教育委員会生涯学習部の職員5名からの寄付という形で再び船橋市西図書館に収蔵された。残り4冊については,入手困難であったため,上記5名が,同一著者の執筆した書籍を代替図書として寄付し,同図書館に収蔵された。

さて、本件訴訟で主張された権利侵害については、

2 本件は,上告人らが,本件廃棄によって著作者としての人格的利益等を侵害されて精神的苦痛を受けた旨主張し,被上告人に対し,国家賠償法1条1項又は民法715条に基づき,慰謝料の支払を求めるものである。

ということであり、「著作者としての人格的利益等を侵害」したといえるかどうかが問題となった。
これについて、原審の判断は、

3 原審は,上記事実関係の下で,次のとおり判断し,上告人らの請求を棄却すべきものとした。
 著作者は,自らの著作物を図書館が購入することを法的に請求することができる地位にあるとは解されないし,その著作物が図書館に購入された場合でも,当該図書館に対し,これを閲覧に供する方法について,著作権又は著作者人格権等の侵害を伴う場合は格別,それ以外には,法律上何らかの具体的な請求ができる地位に立つまでの関係には至らないと解される。したがって,被上告人の図書館に収蔵され閲覧に供されている書籍の著作者は,被上告人に対し,その著作物が図書館に収蔵され閲覧に供されることにつき,何ら法的な権利利益を有するものではない。そうすると,本件廃棄によって上告人らの権利利益が侵害されたことを前提とする上告人らの主張は,採用することができない。

というした。
原審は控訴審=東京高裁を差すが、控訴棄却(のはず)なので、実際は地裁判決とほぼ同じと思われる。
地裁判決については、http://courtdomino2.courts.go.jp/Kshanrei.nsf/webview/DD06547C7E66194949256DAC0034BA26/?OpenDocument
詳細は判決文を。ここでは一部分のみ地裁判決の判決理由を紹介したい。

※地裁判決
2 争点2(本件除籍等の違法性の有無)に対する判断
(3) 憲法21条違反について
 エ 次に,地方自治体の図書館が購入して現に市民の閲覧に供している図書を除籍してその閲覧を中止し,廃棄した場合に,当該書籍の著者の権利ないし法的利益を侵害することになるのか否かについて検討する。
  (ア) 原告(上告人)らは,地方自治体の図書館で現に書籍が閲覧に供されたりしている場合には,その著者には,公正な閲覧に供せられる利益を不当に奪われない権利や,適正・公正に閲覧に供せられ保管・管理される権利や,書籍を恣意的に廃棄されず,図書館利用者への思想・表現等の伝達を妨害されない権利などがあると主張している。
  (イ) しかし,原告らがその根拠の一つとしている「図書館の自由に関する宣言」…は,日本図書館協会という私的団体が採択した宣言文書であり,その内容は何ら法的規範性を有するものではなく,この宣言によって地方自治体の図書館が原告らが主張するような法的義務を課されるものではない。
  (ウ) また,原告らがその根拠として援用している本件除籍基準は,被告船橋市が,自ら設置している公立図書館においてその公有財産である図書などの資料を取り扱っている職員に対し,市民の閲覧に供したり保管したりしている図書などの資料のうち除籍や廃棄を相当とするものの基準を示すために定めた図書館管理の内部基準の一つにすぎないものであり,それ以上のものではない。すなわち,本件除籍基準は,被告船橋市が図書館の職員に対して図書管理上の義務を課すものではあっても,被告船橋市自身や図書館の職員に,図書館において保管・管理している書籍の著者との関係で何らかの法的義務を負わせたり,その著者に対して何らかの権利を付与したりするものではない。したがって,被告船橋市の設置する図書館において,仮に,この除籍基準に違反して図書などの資料が除籍されたり廃棄されたりした場合には,そのような行為は被告船橋市に対する違法行為となり,そのような行為をした職員は被告船橋市によって懲戒処分がなされる可能性があるとしても,除籍されたり廃棄された書籍の著者との関係において,直ちに違法として法的責任を追及されたりすることにはならないというべきである。
  (エ) これらのことから明らかなように,被告船橋市やその図書館の職員は,原告らが執筆した書籍を購入しなければならない法的義務を負うものではないし,仮に,原告らの書籍を購入したとしても,原告らとの関係で必ずこれを市民に閲覧に供しなければならない法的義務を負うわけでもない(公費で購入した図書を市民の閲覧に供しなければ,市民との関係で,公費の使途としての適切性に問題が生じることは別論である。)。結局,原告らが本件除籍等により侵害されたと主張する原告らの表現の自由ないしはそこから派生する権利や法的利益は,いずれも,被告船橋市の図書館が,その自由裁量に基づいて自らの責任と判断で原告らの書籍を購入し,市民の閲覧に供することとしたことによって反射的に生じる事実上の利益にすぎないものであって,法的に保護された権利や利益ということはできない。したがって,本件除籍等により原告らがこれらの事実上の利益を失ったとしても,何ら違法ということはできないから,原告らのこれらの主張は理由がない。


(5) 名誉権や人格権等の侵害について
 ア 原告らは,本件除籍等により,著作権法によって保護されている原告らの著作者人格権が侵害されたなどとも主張しているが,この著作者人格権は,有体物としての書籍(本)そのものを保護の対象としているわけではなく,その書籍に文字や写真やイラストなどをもって固定されている表現内容などが著者に無断で変更されたり,使用されたりしないよう保護しているものであるところ,本件では,有体物としての書籍(本)そのものを除籍して廃棄したもので,その書籍の表現内容などに変更を加えたりしたものではないから,原告らの著作者人格権ないしは著作者の人格権そのものを侵害したという事案ではない。したがって,原告らのこの点の主張も採用することができない。
 イ また,原告らは,本件除籍等によって原告らの著書が図書館で「読むに値する良識ある作品」との評価を一方的に撤回され,原告らの名誉や名誉感情が侵害されたとも主張している。
 しかしながら,そもそも,図書館の自由に関する宣言…の第1の2(5)で,「図書館の収集した資料がどのような思想や主張をもっていようとも,それを図書館および図書館員が支持することを意味するものではない。」と明記されているように,地方自治体が設置する図書館による図書等の購入は,もともと価値中立的なものであって,購入され閲覧に供されている書籍について,一定の肯定的または否定的な社会的評価を与える行為ではないと解されるのであって,ある図書が図書館によって購入されたことをもって,図書館がその図書について「読むに値する良識ある作品」であるとの肯定的な評価を与えたものということはできないから,原告らの上記主張は,その前提を欠くものであり,採用することができない。
 ウ また,名誉毀損による不法行為責任が成立するためには,加害者が不特定多数の者に対してした言動などによって原告らの社会的評価が低下させられることが必要であるとするのが一般的な理解であるところ,本件においては,被告Aは,外形上は図書の通常の除籍等と何ら変わらない方法で,原告らの書籍について除籍等をしたものであって,その行為自体は,公然性を欠くものであり,原告らの社会的評価を低下させるようなものではなかったといわざるをえない(仮に,被告A(「本件司書」)が,原告らの書籍を図書館前に積み上げて公衆の面前で燃やしたような場合であれば,公然性などの要件を満たし,原告らとの関係でも違法と評価できる場合も考えられるが,本件では,そのような事実は認められない。)。結局のところ,被告Aの内心における独断的な評価はともかく,本件除籍等そのものによって原告らの社会的評価が低下したということはできない。したがって,本件について,被告Aについて,原告らに対して名誉毀損が成立するということはできない。
エ また,本件で提出されている証拠によれば,本件除籍等は,被告Aの個人的な行為であって,被告船橋市や同市の中枢を担う幹部職員が関与してなされたものとは認められないから,被告船橋市の独自の法的責任が生じることはないというべきである。


(6) これまでに認定し,説示したところを総合すれば,本件における被告Aには,公務員として当然に有すべき中立公正や不偏不党の精神が欠如していたことは明らかであるといわざるをえない。また,被告船橋市は,本件除籍等が発覚すると,被告Aを含む教育委員会の職員に費用を支出させて除籍等がなされた書籍を図書館に寄付させて事態の収束を図ろうとしたり,本件訴訟においても,被告Aによる本件除籍等の経緯について関係者から事情を聴取して把握しているにもかかわらず,その内容を明らかにしようとせず,結果的に責任の所在を曖昧にしたまま幕を引こうとしており,このような被告船橋市の姿勢に原告らが強く反発するのも理解し得ないではない。
 しかし,これまで縷々説示したとおり,原告らは,その著書が被告船橋市が設置している図書館で閲覧に供されていたとしても,被告船橋市に対して閲覧に供することを求める法的権利までは認められていないのであるから,このような状況の下においては,被告Aが単独でした本件除籍等の行為は,被告船橋市の定める除籍基準に反したものとして,被告船橋市との関係において違法となることはあっても,その著者である原告らとの関係において違法となることはない。被告船橋市の法的責任が生じないことも前述のとおりである。したがって,原告らの本件請求は,いずれも理由がない。

つまり、有体物たる本をどう扱うはその所有者の勝手であって、著者との関係では何らの問題も生じません、ということである。
しかし、最高裁は以下のように述べている。

最高裁判決です。
4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
 (1) 図書館は,「図書,記録その他必要な資料を収集し,整理し,保存して,一般公衆の利用に供し,その教養,調査研究,レクリエーション等に資することを目的とする施設」であり(図書館法2条1項),「社会教育のための機関」であって(社会教育法9条1項),国及び地方公共団体が国民の文化的教養を高め得るような環境を醸成するための施設として位置付けられている(同法3条1項,教育基本法7条2項参照)。公立図書館は,この目的を達成するために地方公共団体が設置した公の施設である(図書館法2条2項,地方自治法244条,地方教育行政の組織及び運営に関する法律30条)。そして,図書館は,図書館奉仕(図書館サービス)のため,i)図書館資料を収集して一般公衆の利用に供すること,ii)図書館資料の分類排列を適切にし,その目録を整備することなどに努めなければならないものとされ(図書館法3条),特に,公立図書館については,その設置及び運営上の望ましい基準が文部科学大臣によって定められ,教育委員会に提示するとともに一般公衆に対して示すものとされており(同法18条),平成13年7月18日に文部科学大臣によって告示された「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」(文部科学省告示第132号)は,公立図書館の設置者に対し,同基準に基づき,図書館奉仕(図書館サービス)の実施に努めなければならないものとしている。同基準によれば,公立図書館は,図書館資料の収集,提供等につき,i) 住民の学習活動等を適切に援助するため,住民の高度化・多様化する要求に十分に配慮すること,ii) 広く住民の利用に供するため,情報処理機能の向上を図り,有効かつ迅速なサービスを行うことができる体制を整えるよう努めること,iii) 住民の要求に応えるため,新刊図書及び雑誌の迅速な確保並びに他の図書館との連携・協力により図書館の機能を十分発揮できる種類及び量の資料の整備に努めることなどとされている。
 公立図書館の上記のような役割,機能等に照らせば,公立図書館は,住民に対して思想,意見その他の種々の情報を含む図書館資料を提供してその教養を高めること等を目的とする公的な場ということができる。そして,公立図書館の図書館職員は,公立図書館が上記のような役割を果たせるように,独断的な評価や個人的な好みにとらわれることなく,公正に図書館資料を取り扱うべき職務上の義務を負うものというべきであり,閲覧に供されている図書について,独断的な評価や個人的な好みによってこれを廃棄することは,図書館職員としての基本的な職務上の義務に反するものといわなければならない。
 (2) 他方,公立図書館が,上記のとおり,住民に図書館資料を提供するための公的な場であるということは,そこで閲覧に供された図書の著作者にとって,その思想,意見等を公衆に伝達する公的な場でもあるということができる。したがって,公立図書館の図書館職員が閲覧に供されている図書を著作者の思想や信条を理由とするなど不公正な取扱いによって廃棄することは,当該著作者が著作物によってその思想,意見等を公衆に伝達する利益を不当に損なうものといわなければならない。そして,著作者の思想の自由,表現の自由憲法により保障された基本的人権であることにもかんがみると,公立図書館において,その著作物が閲覧に供されている著作者が有する上記利益は,法的保護に値する人格的利益であると解するのが相当であり,公立図書館の図書館職員である公務員が,図書の廃棄について,基本的な職務上の義務に反し,著作者又は著作物に対する独断的な評価や個人的な好みによって不公正な取扱いをしたときは,当該図書の著作者の上記人格的利益を侵害するものとして国家賠償法上違法となるというべきである。

まとめると、
1.公立図書館は、住民に対して広く図書館資料を提供してその教養を高めること等を目的とする公的な場である。
2.公立図書館の図書館職員は、そのような役割を果たせるように、公正に図書館資料を取り扱うべき職務上の義務を負う。
3.閲覧に供されている図書について、独断的な評価や個人的な好みによってこれを廃棄することは、
  図書館職員としての基本的な職務上の義務に反するものとなる。
4.不公正な取扱いによって廃棄することは、
  当該著作者が著作物によってその思想、意見等を公衆に伝達する利益を不当に損なうものである。
5.著作者の思想の自由・表現の自由憲法により保障された基本的人権であることにもかんがみると、
  公立図書館において、その著作物が閲覧に供されている著作者が有する上記利益は、法的保護に値する人格的利益である。
ということになろう。
4を認めたことが、原審と判断を分けたところであり、本判決の意義ということができよう。
ただ、判決が認めた人格的利益は、著作物を通じた「公衆に伝達する利益」である。
著作権法上の著作者人格権は表現されたもの(著作物)対する人格権であるから、それとは区別する必要があろう。
また、図書館に積極的に著作物を受け入れることまでを肯定したものともいうことはできない。
あくまで「閲覧に供されている」ものである必要がある。
公共図書館」において、「閲覧に供され」た以上、その著作物を通じた表現行為を「恣意的に妨げることは」人格権侵害になる、
ということであって、これは著作者の思想の自由,表現の自由に基礎付けられるということであろう。
「閲覧に供れた」時点で、具体的権利性を有し、内容ゆえに排除されることはないということか。
わかったような、わからないような判決というのがとりあえずの感想。
いずれに機会があれば考えてみたい。


最後に、判決主文に触れておくと、

原判決のうち被上告人に関する部分を破棄する。
前項の部分につき,本件を東京高等裁判所に差し戻す

というものである。
最高裁は、原判決(上告人敗訴部分)と異なって、権利侵害を認めます。
だけど、そうすると、損害賠償額の算定が必要になるが、それは最高裁の仕事ではないから、東京高裁でやり直してね、
ということである。大雑把にいうと。


図書館関係者はこの裁判をどう思っているのだろう?
図書館の価値が認められたから歓迎かな?

その他参考資料
http://www.megaegg.ne.jp/~nitiroku/kako19.html
http://nishio.main.jp/blog/archives/cat3/index.html
船橋市西図書館の蔵書廃棄問題(平成14年度臨時記者発表(5/10))
http://www.city.funabashi.chiba.jp/home/kisha02/rinji0510.htm
船橋市西図書館図書「破棄」事件関連資料
http://page.freett.com/postx/funahaki/top.html

船橋西図書館焚書事件 最高裁で逆転勝訴の可能性が見えてきた(二)
 この事件については、私が『正論』平成16年新年号に、「船橋西図書館焚書事件一審判決と『はぐらかし』の病理」を書いている。同論文は昨年出版した拙著日本がアメリカから見捨てられる日(徳間書店)に「あなたは公立図書館の焚書事件を知っていますか」と改題して、全文を掲載している。
 事件の説明はもとより、第一審の判決文からのかなりの量の引用と分析、裁判所へ提出した私の意見書の全文がこの論文に収録されている。
http://nishio.main.jp/blog/archives/2005/04/post_141.html