小田原市で断水、損害賠償できるの?

小田原市で6300世帯が断水4日、市に苦情殺到
 神奈川県小田原市で、水道管の漏水により約6300世帯(約1万7000人)が12日から断水となり、4日目の15日になっても、市民は風呂や洗濯、食器洗いなどに不自由を強いられている。
 給食が作れず休校する学校や、休業を迫られた飲食店も出ている。順調なら17日朝に復旧予定というが、市民のイライラは高まり、市への不満や苦情が殺到している。
 「可能なら損失の埋め合わせをしてほしい」。同市南町でラーメン店を営む橋本省三さん(72)は15日、がらんとした店内でつぶやいた。普段は行列ができ、1日に100杯は出るというが、この日は休業状態。「復旧のめどが立たないとスープの仕込みもできない」と途方に暮れていた。
 小田原市のほか、横浜市川崎市からも給水車が駆け付け、飲み水は行き渡ったが、「風呂に入れない」「洗濯や洗い物ができない」などの不満は解消されていない。
 トイレや給食準備に支障があるとして14日に休校した市立の五つの小中学校は、15日、弁当持参で授業を再開させるなどしたが、小田原女子短大、関東学院大(小田原キャンパス)、小田原高校などは休校。国立病院機構箱根病院でも14日、水が足りず患者の入浴を中止した。
 小田原市には、「対応が遅すぎる」などと、13〜15日の3日間で約630件の苦情や要望の電話が殺到。市は、風呂に入れない市民のために、市の総合体育館など3か所の施設を無料開放した。15日夜、家族4人で入浴施設を訪れた同市城山、主婦小池あすかさん(32)は「早く自宅の水道が使えるようにしてほしい」と話していた。
 漏水か所は小田急線の線路下にあるため、復旧に手間取っている。市は15日、漏水か所を迂回(うかい)させた仮設の水道管設置工事に入ったが、本格的な修復工事はまだ先になるという。
(読売新聞) - 4月16日0時14分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050415-00000516-yom-soci

さて、この断水で損害賠償できるか?が今回のテーマ。
ちなみにネットから法文だけをたよりに、調べただけなので、内容には一切責任はもてません。あしからず。
また、条例はすべて小田原市のものでやっています。どこも同じ感じような感じでしょうが…。


まずは、水道の事業主体。

水道法(昭和三十二年六月十五日法律第百七十七号)
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%90%85%93%b9%96%40&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=S32HO177&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1


第一章 総則
(この法律の目的)
第一条  この法律は、水道の布設及び管理を適正かつ合理的ならしめるとともに、水道を計画的に整備し、及び水道事業を保護育成することによつて、清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もつて公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与することを目的とする。
(責務)
第二条  国及び地方公共団体は、水道が国民の日常生活に直結し、その健康を守るために欠くことのできないものであり、かつ、水が貴重な資源であることにかんがみ、水源及び水道施設並びにこれらの周辺の清潔保持並びに水の適正かつ合理的な使用に関し必要な施策を講じなければならない。
2  国民は、前項の国及び地方公共団体の施策に協力するとともに、自らも、水源及び水道施設並びにこれらの周辺の清潔保持並びに水の適正かつ合理的な使用に努めなければならない。
第二条の二  地方公共団体は、当該地域の自然的社会的諸条件に応じて、水道の計画的整備に関する施策を策定し、及びこれを実施するとともに、水道事業及び水道用水供給事業を経営するに当たつては、その適正かつ能率的な運営に努めなければならない。
2  国は、水源の開発その他の水道の整備に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを推進するとともに、地方公共団体並びに水道事業者及び水道用水供給事業者に対し、必要な技術的及び財政的援助を行うよう努めなければならない。
(用語の定義)
第三条  この法律において「水道」とは、導管及びその他の工作物により、水を人の飲用に適する水として供給する施設の総体をいう。ただし、臨時に施設されたものを除く。
2  この法律において「水道事業」とは、一般の需要に応じて、水道により水を供給する事業をいう。ただし、給水人口が百人以下である水道によるものを除く。
5  この法律において「水道事業者」とは、第六条第一項の規定による認可を受けて水道事業を経営する者をいい、「水道用水供給事業者」とは、第二十六条の規定による認可を受けて水道用水供給事業を経営する者をいう。


第二章 水道事業
    第一節 事業の認可等
(事業の認可及び経営主体)
第六条  水道事業を経営しようとする者は、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
2  水道事業は、原則として市町村が経営するものとし、市町村以外の者は、給水しようとする区域をその区域に含む市町村の同意を得た場合に限り、水道事業を経営することができるものとする。

地方公営企業法(昭和二十七年八月一日法律第二百九十二号)
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%92%6e%95%fb%8c%f6%89%63%8a%e9%8b%c6%96%40&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=S27HO292&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1


第一章 総則
(この法律の目的)
第一条  この法律は、地方公共団体の経営する企業の組織、財務及びこれに従事する職員の身分取扱いその他企業の経営の根本基準、企業の経営に関する事務を処理する地方自治法 の規定による一部事務組合及び広域連合に関する特例並びに企業の財政の再建に関する措置を定め、地方自治の発達に資することを目的とする。
(この法律の適用を受ける企業の範囲)
第二条  この法律は、地方公共団体の経営する企業のうち次に掲げる事業(これらに附帯する事業を含む。以下「地方公営企業」という。)に適用する。
一  水道事業(簡易水道事業を除く。)


第二章 組織
(管理者の設置)
第七条  地方公営企業を経営する地方公共団体に、地方公営企業の業務を執行させるため、第二条第一項の事業ごとに管理者を置く。ただし、条例で定めるところにより、政令で定める地方公営企業について管理者を置かず、又は二以上の事業を通じて管理者一人を置くことができる。なお、水道事業(簡易水道事業を除く。)及び工業用水道事業を併せて経営する場合又は軌道事業、自動車運送事業及び鉄道事業のうち二以上の事業を併せて経営する場合においては、それぞれ当該併せて経営する事業を通じて管理者一人を置くことを常例とするものとする。

地方公営企業法施行令(昭和二十七年九月三日政令第四百三号)
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%92%6e%95%fb%8c%f6%89%63%8a%e9%8b%c6%96%40&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=S27SE403&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1
(管理者を置かないことができる企業)
第八条の二  法第七条 ただし書に規定する政令で定める地方公営企業は、次に掲げる事業(普通地方公共団体の設置があつた場合において、当該普通地方公共団体の長が選挙されるまでの間に限り、当該普通地方公共団体の経営する事業を除く。)以外の事業とする。
一  水道事業(簡易水道事業を除く。第八条の四及び第二十六条の六において同じ。)で、常時雇用される職員の数が二百人以上であり、かつ、給水戸数が五万戸(水道用水供給事業にあつては、給水能力が一日二十万立方メートル)以上であるもの

(事務処理のための組織)
第十四条  地方公営企業を経営する地方公共団体に、管理者の権限に属する事務を処理させるため、条例で必要な組織を設ける。

小田原市水道事業の設置等に関する条例(昭和41年12月26日条例第58号)
http://reiki.city.odawara.kanagawa.jp/cgi-bin/D1W_SAVVY/D1W_resdata.exe?PROCID=1671952271&CALLTYPE=4&REFID=34190101005800000000&KSNO=41690101003100000000&HANSUU=3&UKEY=1113591972188


(趣旨)
第1条 この条例は、水道事業の設置等に関し必要な事項を定めるものとする。
(設置)
第2条 小田原市は、主として市民に生活用水その他の浄水を供給するため小田原市水道事業(以下「水道事業」という。)を設置する。
(組織)
第4条 地方公営企業法(昭和27年法律第292号。以下「法」という。)第7条ただし書及び地方公営企業法施行令(昭和27年政令第403号)第8条の2の規定に基づき、水道事業管理者(以下「管理者」という。)を置かないものとする。
2 法第14条の規定に基づき、管理者の権限に属する事務を処理させるため水道局を置く。

ということで、やっと水道事業管理者の権限に属する事務を処理させるため水道局がでてきました。
水道事業管理者=水道局と読めばいいようです。ただし、1項からすると水道事業管理者そのものではないということ?
わかりにくいです。法律って。
では、次に、水道契約について。

水道法
第二節 業務
(供給規程)
第十四条  水道事業者は、料金、給水装置工事の費用の負担区分その他の供給条件について、供給規程を定めなければならない。
2  前項の供給規程は、次の各号に掲げる要件に適合するものでなければならない。
一  料金が、能率的な経営の下における適正な原価に照らし公正妥当なものであること。
二  料金が、定率又は定額をもつて明確に定められていること。
三  水道事業者及び水道の需要者の責任に関する事項並びに給水装置工事の費用の負担区分及びその額の算出方法が、適正かつ明確に定められていること。
四  特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。
五  貯水槽水道(水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であつて、水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするものをいう。以下この号において同じ。)が設置される場合においては、貯水槽水道に関し、水道事業者及び当該貯水槽水道の設置者の責任に関する事項が、適正かつ明確に定められていること。
3  前項各号に規定する基準を適用するについて必要な技術的細目は、厚生労働省令で定める。
4  水道事業者は、供給規程を、その実施の日までに一般に周知させる措置をとらなければならない。
5  水道事業者が地方公共団体である場合にあつては、供給規程に定められた事項のうち料金を変更したときは、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
6  水道事業者が地方公共団体以外の者である場合にあつては、供給規程に定められた供給条件を変更しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
7  厚生労働大臣は、前項の認可の申請が第二項各号に掲げる要件に適合していると認めるときは、その認可を与えなければならない。
(給水義務)
第十五条  水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならない。
2  水道事業者は、当該水道により給水を受ける者に対し、常時水を供給しなければならない。ただし、第四十条第一項の規定による水の供給命令を受けたため、又は災害その他正当な理由があつてやむを得ない場合には、給水区域の全部又は一部につきその間給水を停止することができる。この場合には、やむを得ない事情がある場合を除き、給水を停止しようとする区域及び期間をあらかじめ関係者に周知させる措置をとらなければならない。
3  水道事業者は、当該水道により給水を受ける者が料金を支払わないとき、正当な理由なしに給水装置の検査を拒んだとき、その他正当な理由があるときは、前項本文の規定にかかわらず、その理由が継続する間、供給規程の定めるところにより、その者に対する給水を停止することができる。

小田原市水道給水条例(平成2年12月25日条例第24号)
http://reiki.city.odawara.kanagawa.jp/cgi-bin/D1W_SAVVY/D1W_resdata.exe?PROCID=1671952271&CALLTYPE=1&RESNO=24&UKEY=1113591909708


第1章 総則
(趣旨)
第1条 この条例は、水道法(昭和32年法律第177号。以下「法」という。)第14条第1項の規定に基づき、小田原市水道事業の設置等に関する条例(昭和41年小田原市条例第58号)による水道事業における水道料金(以下「料金」という。)、給水装置工事の費用の負担区分その他の供給条件に関し必要な事項を定めるものとする。
一部改正〔平成9年条例42号・16年31号〕
(定義)
第2条 この条例における用語の意義は、法の例による。


第2章 給水装置の工事及び費用
(給水装置工事の申込み)
第4条 給水装置工事…をしようとする者は、あらかじめ水道事業管理者(以下「事業管理者」という。)に申し込み、その承認を受けなければならない。


第3章 給水
(給水の原則)
第11条 給水は、非常災害、水道施設の損傷その他公益上やむを得ない事情がある場合及び法令又はこの条例の規定による場合のほか、制限し、又は停止することができない。
2 事業管理者は、給水を制限し、又は停止しようとするときは、その日時及び区域を定めて、その都度これを予告するものとする。ただし、緊急かつやむを得ないときは、この限りでない。
3 給水の制限又は停止により生じた損害については、事業管理者は、その責めを負わないものとする。
(給水装置の管理等)
第14条 給水装置の使用者(以下「使用者」という。)又は給水装置の所有者(以下「所有者」という。)は、善良な管理者の注意をもって給水装置を管理し、これに異状があるときは、直ちに事業管理者に届け出なければならない。
2 公道部分に布設した給水管の管理は、事業管理者が行うものとする。

おそらく、水道供給契約といわれるものは、この条例ということのようです。
どこを探しても「水道供給契約」「水道供給契約約款」なるものは見つかりません。


さて、小田原市水道給水条例第4条は、単に定義を確認するために掲載しました。
つまり、「事業管理者」=「水道事業管理者」ということを確認するためのものです。
ただし、上でみたように小田原市は「水道事業管理者(以下「管理者」という。)を置かないものと」し、
「管理者の権限に属する事務を処理させるため水道局を置く」としたにもかからず、
本条例では、置かないはずの「水道事業管理者」がでてきていることはよくわかりませんでした。
私の理解不足なのか、ミスなのか、そういうものなのかはわかりませんが、
「(水道)事業管理者」=水道局と読めばいいのでしょうか?以下、その前提ですすめます。
(再度断りますが完全なる私見です。)


さて、まず本条例第11条第1項により「給水は、原則として、制限し又は停止することができない」とされている。
そして「事業管理者は、給水を制限し、又は停止しようとするときは、その日時及び区域を定めて、
その都度これを予告するものとする。ただし、緊急かつやむを得ないときは、この限りでない。」(本条例第11条第2項)
本件の場合は、「緊急かつやむを得ない」といえるから予告の云々するまでもなく、給水を停止できる。
そして、「給水の制限又は停止により生じた損害については、事業管理者は、その責めを負わないものとする。」
(本条例第11条第3項)
この条文をそのまま読めば、あたかも損害賠償してもらえないように思われる。
しかし、この条文は「給水の制限又は停止」により生じた損害ができないにすぎない。
「給水の制限又は停止」するに至った事情に責任があれば、そのことについての責任は免れないように思われる。
そこで注目すべきは「公道部分に布設した給水管の管理は、事業管理者が行うものとする。」とする条例第11条第2項である。
そして、この条文と第1項をあわせて読めば、
「公道部分に布設した給水管の管理は、事業管理者が」「善良な管理者の注意をもって」行うべきとなるのである。
とするならば、今回の水道管破裂が「公道部分に布設した給水管」で、
管理者たる水道局が善良な管理者の注意を怠っていた場合には、義務違反があるということになる。
つまり、水道管を必要に応じて停止する立場にある水道局はその停止に対して責任は負わないが、
水道管を管理する立場にある水道局は、その管理不履行により、
停止する立場にある水道局に停止せしめ、利用者に責任者を生じさせたと。

今回は、市内扇町1丁目地内の第一破損箇所の補修が済んで送水を開始した後に、その発見箇所に近い小田急鉄道線路真下の送水管が破損し、そこから漏れていることが発見されました。その後、小田急電鉄と協議し、再び送水を停止した結果、断水となりました。徹夜で破損状況の確認をし、その補修方法等について検討した結果、完全に復旧するまでには、毎日運行している電車の鉄道線路真下を工事しなければならないことから、数週間程度の期間がかかることが判明いたしました。
そこで、一刻も早く給水を再開するため、破損箇所を迂回した仮設送水管を設置すべく関係者と協議をしております。しかし、破損した送水管は水源地と小峯配水池を結ぶ大動脈ともいえる直径600mmの管であるため、仮設とはいえこの工事にも最低あと3日程度の期間を要する見込みです。
http://www.city.odawara.kanagawa.jp/dansui/siryou.html

小田急鉄道線路真下の送水管」の管理者は誰なのか、その破裂に水道局の義務違反があるのか、微妙ですが、
それが認められるなら、水道局の水道契約上の賠償責任は否定できないようにも思われます。


#以上、あくまで勝手に考えてみただけです。
 興味のある方は別途きちんと調べて下さい。

小田原市水道局
http://www.city.odawara.kanagawa.jp/suidou/index.html
断水のお知らせ
http://www.city.odawara.kanagawa.jp/dansui/bousaimusen.html

それにしても、断水のお知らせの電話番号、
緊急対策本部 (防災対策課) 電話33−1855
水道局給水対策本部(水道局) 電話41−1202
普通の番号だよ。企業ならフリーダイヤル用意するよ。
どうせ税金からでるからあんまりかわりないんだろうけど、
断水地域の人だけが負担するのも変だから、やっぱりこれはおかしいですね。
苦情の電話は、コレクトコールでかけましょう。>お困りの市民のみなさん。